菅内閣の「夏期の電力需給対策」の発表が延期に
更新日:
冷房などで電力需要が増える夏に向けて、当面の電力需給対策を固めることは、喫緊の課題です。
3月の「計画停電」では、医療や介護の現場では生命に係わる事態が発生し、交通信号の消灯による痛ましい交通事故も発生し、製造業だけではなく保険業、金融業、流通業など広範な産業に多大な悪影響が出ました。
極力「計画停電」を避けることはもちろんですが、需給対策の失敗から突然の「大停電」を引き起こすことだけは、決して許されません。多くの人命が失われる可能性があるからです。
自民党エネルギー政策合同会議では、「当面の電力需給対策について」という政府に対する「第1次提言」を取りまとめ、党内手続を終了した4月22日(先週の金曜日)に、菅内閣への申し入れを行いました。
15ページの提言書の執筆作業は、エネルギー政策合同会議の事務局長を務めていることから、私自身が担当しました。
先週末から週明けにかけては、これまでの議事録や膨大な資料を山積みにして、パソコンの前で苦闘しておりました。
私が特に留意したことは、今日も衆議院で審議されている「第1次補正予算案」に絶対に盛り込むべきだと考えている具体策については、金額を明示して書き込むこと。
そして、「電力需給対策の実効性」を確保する為には13本もの法律の改正や運用改善が必要であることについても、しっかりと書き込むことでした。
加えて、社会全体に影響を及ぼす電力需要削減策については、電力需要量が比較的安定している5月~6月の間に試験的運用を行っておく必要性も指摘しました。
例えば、今夏に、工場が輪番操業や操業時間変更などをすることによって電力需要のピークカットを目指すとしたら、5月中にも試験的な実施をしてみて、本当に政府が考える電力使用量の削減目標が達成できるのか、輪番操業で発生する在庫用倉庫の必要性や、操業時間変更による夜間の公共交通機関運航の必要性など、様々なチェックをしておくべきではないでしょうか。
夏は目前に迫っており、法律の見直し作業にしても、電力需要削減策の試験的運用にしても、時間との闘いです。
だからこそ、自民党では統一地方選挙の最中であったにも関わらず何度も会議を開催し、スピード感を重視しながら、必死の思いで「第1次提言」を取りまとめたのです。
特に、電力需給対策の実効性を確保する為の法律の見直しについては、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、環境省、消防庁など、多くの役所にまたがることから、内閣の要である枝野官房長官の強力なリーダーシップと早期の着手が必要です。
そこで、去る22日、自民党が作成した提言書の説明に上がりたいということで枝野官房長官に面談を申し入れたのですが、会ってはいただけず、海江田経済産業大臣に手渡すようにというお返事でした。
あの日から今日で1週間になりますが、政府の「電力需給緊急対策本部」(本部長は枝野官房長官)の遅過ぎる作業ぶりに呆れ果てています。
4月8日に電力需給緊急対策本部が発表した「夏期の電力需給対策の骨格」というペーパーには、「4月末目途で、電力需給緊急対策本部で、全体として実効ある政策パッケージを取りまとめる」と書いてありました。
ところが、昨夜、政府に問い合わせてみたところ、「ゴールデンウィーク明けになります」という回答でした。
何を悠長なことを言っているのかと思います。
やたらに会議を乱立させた挙句に、それぞれの会議を仕切る閣僚や副大臣の責任の所在が曖昧になっているのではないかと感じます。
自民党エネルギー政策合同会議は、引き続き、第2次補正予算に向けた提言作成に着手します。
その後は、原子力発電の今後も含めたエネルギー政策全体の見直し作業を続ける予定です。