今夏の電力需給ギャップ対策は、菅内閣の1次補正予算案では不十分
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4月5日のコラムで発足のご報告を致しました「自民党エネルギー政策合同会議」は、昨日までに総会3回と役員会3回を開催し、計6回の議論を行いました。
急がなければならない「今夏の電力需給ギャップ対策」については、既に議論を尽くし、菅内閣が4月末までに国会に提出する予定の第1次補正予算に盛り込んでいただきたい事項については、昨日、自民党から政府与党に申し入れを行いました。
去る4月11日に、菅内閣から自民党に、緊急に実施するべき震災対策と原発事故対策の予算措置を盛り込んだ「第1次補正予算案に計上予定予算の概要」なるものが示されたのですが、「今夏の電力需給ギャップ対策」に限定してチェックしてみても、政府案はいかにも不十分なものでした。
政府案に掲載されていた「電力需給ギャップ対策」は、①自家発電設備の新増設・増出力支援、②地域間連系設備等による電力融通強化に向けたプラン策定、③国民・産業界に対する節電広報、④節電サポート事業(専門家による節電方法アドバイス)、だけでした。
自民党エネルギー政策合同会議の参加議員から出された意見を、党の経済産業部会でも検討していただき、自民党としては、第1次補正予算案に加えるべき電力需給ギャップ対策として、下記の案を取りまとめました。
【自民党案:電力需給ギャップの解消に向けて、政府案に追加するべき支援措置】
夏の電力需給ギャップを解消するため、7月末までの期間限定、かつ、関東・東北地域の期間限定で、以下の支援を集中的に行う。
1.自家発電設備の導入補助(事業者向け)(300億円)
夏の電力供給力を増強する観点から、事業者の自家発電設備の導入補助及び休眠中の自家発電設備の立ち上げを支援する(50万kW増強)。
2.太陽光発電設備の導入補助(事業者向け)(100億円)
夏の電力供給力を増強する観点から、ビルや工場などに7月末までに設置可能な太陽光パネルの導入補助を行う(3万kW増強)。
☆家庭用・住宅用向け太陽光発電導入支援については、23年度通常予算(350億円)の執行を加速化させ、不足が見込まれる場合には、2次補正以降に増額する。
3.LED照明設備等の導入補助(ビル・工場等)(150億円)
夏のピーク需要を抑えるため、ビルや工場における旧式蛍光灯をLED照明や高効率蛍光灯に付け替えることで、電力消費量を一定割合以上削減できる場合について、導入補助を行う(1万kW増強)。
4.ガス冷房等の導入補助(業務用)(200億円)
夏のピーク需要を抑えるため、ビルや飲食店など業務用冷房について、電気冷房からガス冷房への切り替えを支援する(20万kW増強)。
今後、自民党エネルギー政策合同会議では、第2次補正も視野に入れた「第1次提言」を、来週中に取りまとめます。
その後は、中長期的な視点で「日本のエネルギー戦略再構築」の作業に入り、6月には「第2次提言」を取りまとめる予定です。