「工業製品被曝」の風評被害は悔し過ぎる
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菅内閣の知識不足や経験不足を補完する存在でもある各府省の官僚たちを活用すべき時に、「脱官僚」「政治主導」のパフォーマンス優先によって「指示待ち状態」が続き、政府の震災対応は余りにも動きが鈍いと感じます。
先週も私の事務所には、多くの方々から、必要な対策を求める悲鳴に近いお声が寄せられました。
東日本の部品工場被災や福島の原発事故により、既に西日本経済にも多大な影響が出ています。
大阪府下に、カジノ用のトランプを製造して輸出している企業があります。
先週、輸出先のシンガポール政府から、「トランプが被曝していないことを証明する書類を添付しない限り、輸入はできない」という連絡があったそうです。
私にできることは、取り急ぎ、輸出貨物の放射線量を測定して証明書を発行してくれる機関(日本海事検定協会・関西にも窓口有り)をご紹介することくらいでしたが、同社以外の製造業者でも、「放射性物質汚染の風評被害」によってお困りの企業が出てきているようです。
自民党政権時代に「農商工連携」という施策を構築して輸出を促進してきた農産物や海産物については、更に深刻な状況です。
菅内閣から諸外国に向けて、信頼性の高い情報を早いタイミングで発信し、先ずは風評被害を最小化していただかなければなりません。
更に、公的金融による支援対象を拡大してでも中小企業の倒産を防がなければ、雇用にも大きな影響が出てきます。
東京都が乳児の水道水摂取を控えるよう発表した直後には、関西のスーパーマーケットや酒屋でも、ミネラルウォーターが姿を消しました。
東北地方に救援物資として送った方、関東地域に住む親類に送った方、東南海地震に備えて水をストックされた方など、様々な対応の中で、急激な水不足が起きたのだろうと思います。
関西の飲料メーカーによると、水は有っても、容器のキャップやラベルなどの入手が追いつかず、増産が困難になっているとのこと。
去る3月25日、りそな総合研究所は、「東日本大震災による関西経済の被害額は4月~6月の3ヶ月間で1800億円」との分析を発表しました。
今は、被災地全体の復興に向けた青写真作り、被災者の生活支援と雇用対策、被災された学齢期の子供さんの就学支援などに加え、「日本経済全体の沈下を食い止める為の大胆な経済対策」「エネルギー戦略の見直しと確立」など、併行して実施すべき事が多くあります。
自民党では、役割分担を決めて対応することとなっており、私はエネルギー戦略の担当となりました。
私たちに寄せられるお声については、谷垣総裁や石破政調会長を通じて政府与党に申し入れる他に手段が無いのですが、この時期に野党であることの悔しさともどかしさを日々痛感しています。