「安全保障土地法案(仮称)」の起草作業に入っています
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昨年12月21日のコラム欄では、森林法改正案など2法案の国会提出を終えた「日本の水源林を守る議員勉強会」を「外国人土地法改正に関する検討会」と改称して、「自衛隊基地周辺や国境離島の港湾部など国防上重要な土地について、外国資本等による買収に歯止めをかける為の法整備」に取り組む旨を書きました。
その後のご報告が遅れていましたが、去る2月10日に、新勉強会を発足させました。
会の名称については、起草する法律案の内容をあれこれ検討した結果、「安全保障と土地法制を研究する議員の会」に変更しました。
法案が完成した場合、衆議院よりも参議院に提出してもらった方が成立の可能性が高いと思いましたので、山谷えり子参議院議員に会長就任をお願いしました。
結論から書きますと、私は、「外国人土地法」の改正による法整備は下記の理由から「現実的ではない」と判断したのです。
第1に、外国人や外国法人に限って日本での土地取得を禁止することは、複数の2国間投資協定に違反する上、WTOのGATS違反にもなります。
第2に、仮に条約の見直しを前提に外国人や外国法人に限って日本での土地取得を禁止する法律を作ったとしても、某国が本気で日本の国防上重要な土地を取得しようと考えたなら、同胞の1人を日本に帰化させて取得させることも可能ですし、実態は外資である日本法人を設立して取得させることも可能ですし、国防上重要な土地を既に取得した日本法人を買収することも可能です。
抜け道が多過ぎます。
昨年中に作成してみた「外国人土地法改正案」の概要を何度も読み直すうちに、この方法は断念することにしました。
そこで、新たに作成したのが「安全保障土地法案(仮称)」の概要です。
条約違反と法の抜け道の問題をクリアする為に、国籍を問わない組み立てにしました。
国防上、特に重要な土地については「国有化」を進めることを基本に、場所によっては使用目的に基準を置いた「許可制」の導入を盛り込みました。
2月10日の勉強会では、「高市早苗私案①(外国人土地法改正案)」と「高市早苗私案②(安全保障土地法案)」の2つを提示し、参加議員に上記の理由を説明しましたところ、ご賛同をいただき、「私案②」をベースに法案作成作業を進めることとなりました。
簡単なメモですが、以下、私案②の骨格を掲載します。
【「安全保障土地法案(仮称)」の概要】
1、目的
この法律は、我が国の土地に関する権利の取得及び権利の保有に関し、「国防上必要な土地」について制限を附することをもって、日本国の安全保障及び国民の権利保護に寄与することを目的とする。
2、「土地に関する権利」の定義
所有権、地上権、賃借権、永小作権
3、土地に関する権利の取得・保有が制限される地域
①国防上、特に必要な土地で、国が所有するべき土地として政令で定める所
⇒土地に関する権利の取得及び保有を「禁止」
②国防上必要な土地で、使用目的について制限するべき土地として政令で定める所
⇒土地に関する権利の取得及び保有に「防衛大臣の許可」
4、罰則対象者
①権利の取得・保有に制限が附された土地について、その権利を許可なく取得・保有した者
②上記の取引に関与した代理人・従業員
5、法施行以前に土地に関する権利を取得・保有している者について
①許可地域
⇒法施行後3ヶ月以内に許可申請を行う。不許可の場合は、3ヶ月以内に使用目的を変更して再申請するか、1年以内に国に売却する。
②禁止地域
⇒法施行後1年以内に国に売却
6、国の責務
①「国防上必要な土地」について、特に国が保有するべき土地については、速やかに国有化を推進する。
②本法の施行により、禁止区域又は許可区域の土地に関する権利について国が取得する場合は、当該土地に関する権利を保有していた者に対し、適正な対価を支払う。
7、施行日
法律の公布後、2年が経過した日から施行する。