今でも納得できない中国漁船事件への政府の対応
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今日は、「日本の領土(竹島、尖閣諸島等)を守るため行動する議員連盟」の総会が開かれました。
9月7日に日本領海内の尖閣諸島海域で発生した「中国漁船公務執行妨害等被疑事件」に関する政府の対応について、外務省、海上保安庁、法務省から説明を受け、質疑応答を致しました。
席上、私から各省庁に質問した項目について、1問1答式で概要を紹介します。
【高市早苗】
仙谷官房長官が9月27日の記者会見で「海上保安庁の巡視船が受けた損傷の原状回復について、中国に請求する」と言っていたが、本当に請求を行ったのか?
菅内閣が中国側に請求した金額は幾らなのか?
海上保安庁巡視船2隻の損傷修理代だけではなく、詹船長出国時に中国のチャーター機に補給した燃料代や、夜中に石垣空港で働かされた空港職員の残業代くらいは中国に請求したのか?
【海上保安庁】
巡視船「みずき」は修理中だが、「よなくに」は12月に修理をする。その上で、関係省庁と協議して検討する。
【高市早苗】
法務省が作成した資料は「公務執行妨害事件」と表記してあるが、海上保安庁が作成した資料は「公務執行妨害等被疑事件について」と、事件名に「等」が付記されている。
9月にいただいた資料でも、両省の表記は違っていた。
つまり、海上保安庁は「刑法第95条(公務執行妨害罪)」違反容疑だけではなく「外国人漁業の規制に関する法律第3条(外国人による領海内漁業の罪)」違反容疑でも捜査を行ったと考えてよいのか?
法務省(検察庁)は公務執行妨害罪だけを捜査したと考えてよいのか。
【海上保安庁】
(海上保安庁は)「外国人漁業の規制に関する法律」違反容疑についても、捜査をした。
【法務省】
(検察庁は)「公務執行妨害罪」容疑で捜査をした。
【高市早苗】
多くの国民が、「あの中国人船長は、本当に普通の漁業者なのか」と疑問に思うほど、テレビカメラの前でも堂々と領有権の主張をしていた。
海上保安庁も、検察庁も、中国漁船の船内を調べたと思うが、どれくらいの量の魚が積んであったのか?
また、無線の周波数は、どこにセットされていたのか?
(本当に純粋な漁船だったかどうかという意味の質問)
【海上保安庁】
容疑(領海内漁業)を立証するために、魚は調べた。無線の周波数は、今は資料が手元に無いので、調べたかどうか分からない。
【法務省】
今、この場では分からない。
【高市早苗】
前原誠司外務大臣は、参議院の委員会で我が党の岸信夫参議院議員の質疑に対して、国連総会に行った時に日本の立場を説明したことを述べ、「バイの会談(国別に行う1対1の会談)は19ヶ国になりましたけれども、このことについてしっかりと日本の立場を説明するということをやってまいりました」と答弁している。
外務省から取り寄せた19回のバイ会談記録を全て読んだが、前原外務大臣が自分から今回の事件に言及したのは、日米外相会談だけだった。あとは、EUの上級代表とポーランド外相とのバイ会談で、先方から日中関係を問われて適宜説明したという記録しかない。
韓国では「日本の降伏宣言で幕」などと報道されているのに、何故、韓国とのバイ会談では説明をしなかったのか?
国連事務総長との会談でも説明をしていないが、何故か?
【外務省】
前原大臣は、韓国にも適宜説明をしたと…(あとは何を言っているのか分らなかった)
【高市早苗】
外務省サイトのトップページに「尖閣諸島」のバナーが無い。「竹島」、「北方領土」のバナーは表示されている。
いくら「尖閣諸島は領土問題ではない」とは言っても、内外の関心が高くなっている時期なので、工夫していただきたい。
【外務省】
順次、改善する。
【高市早苗】
事務局にお願いしたいことだが、次回は、是非、文部科学省も呼んで欲しい。領土教育の充実について、議論したい。
例えば、日本文教出版社の『中学校社会』(平成二十二年度版)という教科書では、「定まらない領土と国境」という見出しの後に尖閣諸島のことを書いている。
他社の『高等学校地理A』なども読んだが、「中国は尖閣諸島の領有を主張している」という記載だけで、歴史的経緯や国際法上の位置付けには触れていない。
【事務局長】
大切な指摘だ。次回以降、検討したい。