口蹄疫対処でも、パフォーマンス先行で自衛隊に迷惑をかけた鳩山政権
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宮崎県川南町で発生した口蹄疫への対処には、内閣官房、農水省、防衛省、警察庁、総務省、国交省、消費者庁の各省庁が当たっていますが、パフォーマンス第一の鳩山政権の計画性なき対応が、現場で混乱を招いているようです。
今後、感染が全国規模に広がる可能性も皆無ではなく、危機管理状況を精査し、対応策を改善していただかなくてはなりません。
先ず、赤松農林水産大臣は、現地の状況を十分に把握しないままに対応を開始された感があります。
当初、宮崎県は民間業者を雇って殺処分などの防疫措置を行っていましたから、宮崎県にとって最も必要だったのは、「国の財政支援」による対応の迅速化だったはずです。
4月30日、赤松農水大臣は、財政支援には触れず、農水政務官に「自衛隊にお願いしたら」と指示。農水政務官が防衛省副大臣と松井官房副長官に対して、自衛隊派遣の働きかけをしたようです。
同日夜、内閣官房は危機管理監を長とする局長級会議を開催。
5月1日に鳩山総理が九州に出張するタイミングでしたから、現地の記者会見で政府の取り組みをアピールする為に、自衛隊派遣の方向で調整を開始しました。
その際に、カメラ映りがよい重機、つまり掘削用工事機器を早急に現地に派遣しろ…という指示が内閣官房から出たそうです。
5月1日、自衛隊員たちは重機とともに宮崎県に出動したものの、農水省と宮崎県の調整が十分に行われていなかったため、同日は活動する場所も与えられないままだったそうです。
その後、自衛隊は、宮崎県からの要請で「(殺処分後の家畜の)埋設用地の掘削支援」、「輸送支援」、「牛舎や豚舎の消毒支援」を担当することになったのですが、埋設用地の手配ができていなかった為に、ずっと「家畜の糞尿の除去」が主任務だったそうです。
鳩山総理のパフォーマンスの為に急遽出動した掘削用工事機器も、埋設用地が手配できていない状態では役に立ちません。糞尿除去も、自衛隊でなくては出来ない任務とは言い難いと思います。
宮崎県や農水省としての「全体計画」が無かったことから、自衛隊は場当たり的対応を強いられました。
ようやく5月11日になってから、赤松農水大臣が宮崎県を訪問して、「殺処分に必要な経費は、国が全額支援する」と表明されました。
本来であれば、もっと早く国の財政支援を決定することで、民間業者による迅速な対応が可能だったはずです。
また、自衛隊の災害派遣については、慣習的に「緊急性」「公共性」「非代替性」の3要件に該当するかどうかを判断して対応することとなっています。
今回の派遣は、鳩山政権がアピールしている「政治主導」で行われたようですが、省庁間の連携不足、宮崎県との調整不足から、自衛隊の「非代替性」には配慮せずに無計画な対応となりました。
これでは、仮に口蹄疫感染が全国規模に被害が拡大した時には、大混乱に陥ることは必至です。
鳩山政権には、「全体計画の整備」とともに、「民間でできることと自衛隊がやるべきことの明確化」を急いでいただきたいと切望します。