民法&戸籍法改悪阻止シリーズ⑨:国際的潮流?
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夫婦別氏論者は、「既に夫婦別氏は国際的潮流であり、日本は遅れている」と主張されます。
私は、「日本は日本だ。公序良俗として定着している戸籍制度やファミリー・ネーム、家族単位の税制や福祉を堂々と守っていけばよい」と考えています。
そもそも国際的な「氏の統一ルール」など存在しないのです。
世界には、戸籍制度の無い国も、氏に関する法律の無い国も多くあります。イスラム圏など「氏が無い国」もあります。
モンゴルでは、実父の名前+子供の名前で称するらしいので、私の名前は山本拓との結婚には関係なく、生涯「大休さんの早苗さん」と呼ばれることになります。
「氏が有る国」でも、「複合氏」や「父系氏」の国など様々です。
加地伸行先生が、世界の氏の歴史を紹介した論文を発表しておられました。
加地先生によると、キリスト教文化の国では、基本的に「ファミリー・ネーム重視」なのだそうです。別氏や複合氏も可能ですが、婚姻・出産には教会が関与してオーソライズしています。
一方、儒教文化の国では、「血族重視」「父系重視」なのだそうです。墓も夫婦は別で、実家の父系墓に入るということです。
しかし、いずれの文化圏でも、「近親相姦を防ぐ」、「家族の財産を守る」という制度目的は同じであることを指摘されていました。
日本は、優れた戸籍制度を土台に諸制度を構築することによって、秩序ある婚姻と家族の財産保護を担保してきました。
国によっては、「家族単位の福祉も要らない」として、夫婦別氏とともに「個人を基礎とする身分証明制度」「国民総背番号制」を進めようとしているところもありますが、私には、日本の民意が「個人単位の社会制度」を熱望しているとは、到底思えません。