外国人参政権阻止シリーズ⑨:日本国憲法への抵触
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「日本国憲法と外国人参政権の関係」については、既に昨年11月5日の衆議院予算委員会で、弁護士でもある稲田朋美衆議院議員(自民党)が、鳩山総理大臣に質しておられます。
私は、2月9日の衆議院予算委員会では、重複を避ける為に、稲田議員に対する総理大臣答弁について更問を行う方法で鳩山総理大臣の憲法に関する考え方を質しました。
鳩山総理大臣は、昨年11月、稲田議員に対して「主権は日本国民にあります。それを譲れなどということを申し上げているつもりは毛頭ありません。主権者としての国民の権利というものは、しっかりと守らなければなりません」と答弁されていました。
○高市早苗委員
総理は(昨年11月5日の稲田委員の質問に対して)「主権者としての国民の権利というものは、しっかりと守らなければなりません」とおっしゃいました。
当然のことでございますけれども、憲法第15条1項は、国民主権の原理に基づいて、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定したものでございます。
憲法というのは、そもそも日本国民を名宛人と致しております。憲法に定められた様々な権利の中でも、特にこの参政権というのは「国家の存立」、これを前提とした権利でございます。
私は、その権利の性質上、参政権は国家の構成員にのみ保障されるべきものだと考えています。
また、最高裁判決が「地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すもの」だとしておりますから、地方参政権も「日本国民たる住民」にのみ保障された権利だと考えております。
まさに参政権こそ、総理が「しっかりと守らなければなリません」と言われた「主権者としての国民の権利」そのものだと私は思うのですけれども、総理はどうお考えでしょうか?
○鳩山由紀夫内閣総理大臣
平成7年の最高裁の判決、永住権外国人に地方参政権を付与することについてでありますけれども、「我が国に在留している外国人の中でも、特に永住者で、その居住する区域の地方公共団体と特別に非常に密接な関係を持つに至ったと認められる方々に対して、その意思を日常生活に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上においては禁止されているものではないと解するのが相当である」と述べられているわけでありまして、従いまして、まさに国の立法政策に関わる事柄であると思っております。
従いまして、まさにこの場で、永住外国人の地方参政権に関して、必ずしも、私どもとすれば、憲法に抵触するという話ではない状況の中で、それを付与するか付与するべきではないかという議論は、国会の中で大いに議論をされて結論を出されるべきものだ、そのように考えております。
○高市早苗委員
最高裁判決、これの傍論を引いて、それで憲法に違反していないとおっしゃるのはとんでもない話だと思いますし、その傍論部分の根拠を主張されておりました長尾教授も、最近、それは間違いであるということを認めておられます。
鳩山総理大臣が、平成7年2月28日の最高裁第三小法廷判決の中から、裁判官意見のうち判決理由を構成しない部分である「傍論」を引き、それを根拠として「永住外国人への地方参政権付与は、憲法に抵触しない」とする答弁をされたことには、驚きました。
鳩山総理大臣が引用された最高裁判決を、改めて読んでみましょう。
「本論」には、次のように書いてあります。
「憲法15条1項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものに他ならない」
「憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である」
「地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法93条2項にいう『住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味すると解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」
鳩山総理大臣のびっくり答弁に接し、いずれ国会で「外国人地方参政権付与法案」が審議されることになった時には、憲法解釈が大きな論点になることは間違いないと思いました。