青少年をインターネット上の有害情報から守る為の法律案骨子について
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昨秋来、私が委員長を務めております自民党青少年特別委員会で、インターネット上の有害情報から青少年を守る為の法制度を検討し、昨年末に法律案の形にしました。
個人的には約2年半の期間をかけて諸外国の法制度も含めて研究してきた課題でしたし、インターネット上の情報が誘因となって子供さんが加害者や被害者となる事件が多発している現状から、政治の不作為が許される段階ではないと考え、この半年間は殆どの時間をこの作業に費やしてきました。
今年に入ってからは、自民党内閣部会で本法律案の審査をしていただく過程で、同僚議員のご意見や業界団体のご意見も伺い、反対意見にも配慮しながら可能な限りの(骨抜きにならないギリギリまでの)条文修正を行いました。
それでも尚、インターネット業界や総務省関係者の猛反対があり、全ての与党議員のご賛同がいただける状況にないことから、今国会への提出については未だ見通しが立っていません。
この法律案については、インターネット上で様々な反対論が飛び交い、私の落選運動まで展開されていることも承知していますが、ご批判の中には、法律案の内容を読まずに書かれたとしか思えないもの(法律案と違う内容についてのご批判)も数多くあります。
条文につきましてはボリュームが大き過ぎますので、まずは「骨子」だけでもこのページに掲載させていただくこととしました。
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「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」骨子
第一 目的
この法律は、インターネットにおいて青少年の健全な成長を阻害するおそれがある情報が流通し、青少年のインターネットの利用の良好な環境を整備する必要性が生じていることにかんがみ、インターネットを利用して青少年により青少年有害情報が閲覧されることを防止するための措置、インターネットの適切な利用に関する教育の推進のための措置、関係する活動を行う民間団体への支援の措置等を講じ、もって青少年の健全な育成に資することを目的とすること。
第二 青少年有害情報等の定義
一 この法律において「青少年」とは、十八歳に満たない者をいうこと。
二 この法律において「青少年有害情報」とは、次のいずれかの情報であって青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものとして、政令で定める基準に該当するものをい
うこと。
1 人の性交等の行為又は人の性器等の卑わいな描写その他の性欲を興奮させ又は刺激する内容の情報であって、青少年に対し性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼすもの
2 殺人、傷害、暴行、処刑等の場面の陰惨な描写その他の残虐な内容の情報であって、青少年に対し著しく残虐性を助長するもの
3 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為、自殺又は売春(以下3において「犯罪等」という。)の実行の唆し、犯罪の実行の請負、犯罪等の手段の具体的な描写その他の犯罪等に関する内容の情報であって、青少年に対し著しく犯罪等を誘発するもの
4 麻薬等の薬物の濫用、自傷行為その他の自らの心身の健康を害する行為に関する内容の情報であって、青少年に対し著しくこれらの行為を誘発するもの
5 特定の青少年に対するいじめに当たる情報であって、当該青少年に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの
6 家出をし、又はしようとする青少年に向けられた情報であって、青少年の非行又は児童買春等の犯罪による青少年の被害を著しく誘発するもの
三 この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上、インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するプログラムをいうこと。
第三 青少年インターネット環境整備審議会による青少年有害情報に関する基準策定のための審議
1 内閣府に、青少年インターネット環境整備審議会を置くものとすること。
2 主務大臣は、第二の二の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、青少年インターネット環境整備審議会に諮問しなければならないものとすること。
3 青少年インターネット環境整備審議会は、2の諮問を受けた場合において、その意見を定めようとするときは、青少年のインターネットの利用の良好な環境の整備について専門的知識を有する者、関係事業者の組織する団体、父母その他の保護者の組織する団体等の意見を聴くものとすること。
第四 ウェブサイト上の青少年有害情報が青少年に閲覧されないようにするための措置
一 ウェブサイト管理者等の講ずべき措置
ウェブサイトに書き込まれる情報について管理権限を有する者(以下「ウェブサイト管理者等」という。)は、自らウェブサイトに青少年有害情報を書き込もうとするとき又はウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれたことを知ったときは、十八歳以上の者を会員とするサイトへの移行措置、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の選別に資するための措置、当該管理権限に基づく青少年有害情報の送信を防止する措置その他の青少年により青少年有害情報の閲覧がされないようにするための措置として政令で定めるもののうちいずれかを講じなければならないものとすること。
二 インターネット接続プロバイダーの講ずべき措置
インターネット接続プロバイダーは、その提供するインターネット接続役務を利用して開設されているウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれたことを知ったときは、ウェブサイト管理者等に対し一の措置を講ずるよう要求することその他の青少年により青少年有害情報の閲覧がされないようにするための措置として政令で定めるもののうちいずれかを講じなければならないものとすること。
三 損害賠償責任の制限
一のウェブサイト管理者等及び二のインターネット接続プロバイダー(以下「特定電気通信役務提供者」という。)は、ウェブサイトに書き込まれた情報について青少年により閲覧がされないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)を講じた場合において、当該青少年閲覧防止措置により当該情報をウェブサイトに書き込んだ者(以下「情報の発信者」という。)に生じた損害については、当該青少年閲覧防止措置が必要な限度において行われた場合であって、次のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じないものとすること。
1 特定電気通信役務提供者が当該ウェブサイトに書き込まれた情報が青少年有害情報であると信じるに足りる相当の理由があったとき。
2 特定電気通信役務提供者が当該情報の発信者に対し、当該情報を示して当該青少年閲覧防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該情報の発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該情報の発信者から当該青少年閲覧防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
第五 インターネット接続プロバイダーの体制整備等
一 インターネット接続プロバイダーによる業務管理者の選任義務
インターネット接続プロバイダーは、第四の措置に係る業務を適正に実施するため、当該業務を管理する者を選任しなければならないものとすること。
二 ウェブサイト管理者等による業務管理者の選任等の努力義務
ウェブサイト管理者等(一のインターネット接続プロバイダーを除く。)は、ウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれた場合に適切に対応するため、当該ウェブサイトへの書き込み数等の状況に応じて、第四の一の措置に係る業務を管理する者の選任その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第六 携帯電話会社による青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務
携帯電話会社は、携帯電話機等からインターネットに接続する役務については、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としてこれを提供しなければならないものとすること。ただし、契約の相手方が、当該携帯電話機等の使用者が青少年でない旨及び青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでないこと。
第七 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者の努力義務
青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者は、第十五の二の指針を踏まえて青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発するよう努めなければならないものとすること。
第八 青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者の努力義務
青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、青少年有害情報についてインターネットによる発信が行われたことを知ったときは、主務省令で定めるところにより、当該青少年有害情報フィルタリングサービスにより青少年による当該青少年有害情報の閲覧を制限することができるようにするため必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第九 インターネット接続機器製造事業者の努力義務
インターネットと接続する機能を有する機器であって政令で定めるものを製造する事業者は、主務省令で定めるところにより、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込んだ上で当該機器を販売するよう努めなければならないものとすること。
第十 インターネットカフェ等の規制
インターネット利用端末機器を設置し、これを不特定多数の者に使用させてインターネットを利用させる事業であって、青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものを行う者は、青少年が青少年有害情報の閲覧をすることがないよう、主務省令で定めるところにより、次に掲げる措置を講じなければならないものとすること。
1 青少年の客については、インターネット利用端末機器の使用に際して他から見通すことができる客席を利用させること。
2 青少年の客については、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させた
インターネット利用端末機器を使用させること。
第十一 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等
一 インターネットの適切な利用に関する教育の推進
国及び地方公共団体は、インターネットの不適切な利用により青少年の健全な成長が阻害されることがないようにするため、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとすること。
二 家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及
国及び地方公共団体は、家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため必要な施策を講ずるものとすること。
三 国民に対する啓発活動
国及び地方公共団体は、二のほか、青少年のインターネットの利用の良好な環境の整備の促進を図るため、その必要性について国民一般の理解を高めるための広報その他の啓発活動を行うものとすること。
第十二 国と登録青少年有害情報通報等機関等との連携等
国は、青少年のインターネットの利用の良好な環境の整備のための施策を講じるに当たっては、第十四の登録青少年有害情報通報等機関及び第十五の指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関との緊密な連携を確保するとともに、その支援に努めるものとすること。
第十三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者等に対する支援
国は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上を図るため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者に対しその支援に努めるものとすること。
第十四 登録青少年有害情報通報等機関の制度の創設(登録民間法人)
次の業務を行う登録青少年有害情報通報等機関の制度を創設すること。
① 青少年有害情報のインターネットによる発信に関する通報の受理
② 第四のウェブサイト管理者等又はインターネット接続プロバイダーへの青少年有害情報の通報
③ 第四のウェブサイト管理者等又はインターネット接続プロバイダーに対する青少年有害情報該当性の判断等に関する支援
④ 青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者への情報提供
第十五 指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関(指定民間法人)の制度の創設
一 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上を図るため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアが有するべき性能に関する指針を作成する業務を行う指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関の制度を創設すること。
二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアが有するべき性能に関する指針は、インターネットにおいて流通する青少年有害情報であって青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能に関する次に掲げる事項についての配慮がされることを旨として定められるものとすること。
1 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。
2 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより、閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。
第十六 指定青少年有害情報紛争処理機関の制度の創設(指定民間法人)
青少年有害情報の閲覧防止に係る措置に関し、ウェブサイト管理者等やインターネット接続プロバイダーと書込みを行った者の間等に紛争が多発することが想定されることにかんがみ、当該紛争の迅速な解決に資するため、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁の業務を行う指定青少年有害情報紛争処理機関の制度を創設すること。
第十七 違反者に対する制裁措置等
一 インターネット接続プロバイダーが第四又は第五の一の規制を遵守していないときは主務大臣が、インターネットカフェが第十の規制を遵守していないときは知事が、それぞれこれを改善することを命ずることができるものとし、その命令違反に対しては、インターネット接続プロバイダーについては二百万円以下の罰金、インターネットカフェについては百万円以下の罰金に処すること。
二 携帯電話会社が第六の規制を遵守していないときに主務大臣がその規制を遵守するよう勧告することができることとし、その勧告に従わない場合はその旨を公表すること。
第十八 事業者に対する主務大臣の要請
一 主務大臣は、青少年により青少年有害情報の閲覧がされることを防止するために特に必要があると認めるときは、第七から第九までに定める事業者に対し、これを防止するために必要な措置を講ずるよう要請することができるものとすること。
二 主務大臣は、必要があると認めるときは、関係事業者に対し、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアに関する啓発及び知識の普及その他第十一の施策の実施について、必要な協力を要請することができるものとすること。
第十九 雑則
一 この法律における主務大臣は、政令で定めるところにより、総務大臣、経済産業大臣又は内閣総理大臣とすること。
二 この法律における主務省令は、政令で定めるところにより、主務大臣の発する命令とすること。
第二十 法施行後の検討
政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
第二十一 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、第三の青少年インターネット環境整備審議会及び第十四の指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関の制度に関する事項は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 この法律の施行に伴い、関係法律に関し、所要の規定の整理を行うものとすること。
個人的には約2年半の期間をかけて諸外国の法制度も含めて研究してきた課題でしたし、インターネット上の情報が誘因となって子供さんが加害者や被害者となる事件が多発している現状から、政治の不作為が許される段階ではないと考え、この半年間は殆どの時間をこの作業に費やしてきました。
今年に入ってからは、自民党内閣部会で本法律案の審査をしていただく過程で、同僚議員のご意見や業界団体のご意見も伺い、反対意見にも配慮しながら可能な限りの(骨抜きにならないギリギリまでの)条文修正を行いました。
それでも尚、インターネット業界や総務省関係者の猛反対があり、全ての与党議員のご賛同がいただける状況にないことから、今国会への提出については未だ見通しが立っていません。
この法律案については、インターネット上で様々な反対論が飛び交い、私の落選運動まで展開されていることも承知していますが、ご批判の中には、法律案の内容を読まずに書かれたとしか思えないもの(法律案と違う内容についてのご批判)も数多くあります。
条文につきましてはボリュームが大き過ぎますので、まずは「骨子」だけでもこのページに掲載させていただくこととしました。
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「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」骨子
第一 目的
この法律は、インターネットにおいて青少年の健全な成長を阻害するおそれがある情報が流通し、青少年のインターネットの利用の良好な環境を整備する必要性が生じていることにかんがみ、インターネットを利用して青少年により青少年有害情報が閲覧されることを防止するための措置、インターネットの適切な利用に関する教育の推進のための措置、関係する活動を行う民間団体への支援の措置等を講じ、もって青少年の健全な育成に資することを目的とすること。
第二 青少年有害情報等の定義
一 この法律において「青少年」とは、十八歳に満たない者をいうこと。
二 この法律において「青少年有害情報」とは、次のいずれかの情報であって青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものとして、政令で定める基準に該当するものをい
うこと。
1 人の性交等の行為又は人の性器等の卑わいな描写その他の性欲を興奮させ又は刺激する内容の情報であって、青少年に対し性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼすもの
2 殺人、傷害、暴行、処刑等の場面の陰惨な描写その他の残虐な内容の情報であって、青少年に対し著しく残虐性を助長するもの
3 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為、自殺又は売春(以下3において「犯罪等」という。)の実行の唆し、犯罪の実行の請負、犯罪等の手段の具体的な描写その他の犯罪等に関する内容の情報であって、青少年に対し著しく犯罪等を誘発するもの
4 麻薬等の薬物の濫用、自傷行為その他の自らの心身の健康を害する行為に関する内容の情報であって、青少年に対し著しくこれらの行為を誘発するもの
5 特定の青少年に対するいじめに当たる情報であって、当該青少年に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの
6 家出をし、又はしようとする青少年に向けられた情報であって、青少年の非行又は児童買春等の犯罪による青少年の被害を著しく誘発するもの
三 この法律において「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報を一定の基準に基づき選別した上、インターネットを利用する者の青少年有害情報の閲覧を制限するプログラムをいうこと。
第三 青少年インターネット環境整備審議会による青少年有害情報に関する基準策定のための審議
1 内閣府に、青少年インターネット環境整備審議会を置くものとすること。
2 主務大臣は、第二の二の政令の制定又は改廃に当たってその立案をするときは、青少年インターネット環境整備審議会に諮問しなければならないものとすること。
3 青少年インターネット環境整備審議会は、2の諮問を受けた場合において、その意見を定めようとするときは、青少年のインターネットの利用の良好な環境の整備について専門的知識を有する者、関係事業者の組織する団体、父母その他の保護者の組織する団体等の意見を聴くものとすること。
第四 ウェブサイト上の青少年有害情報が青少年に閲覧されないようにするための措置
一 ウェブサイト管理者等の講ずべき措置
ウェブサイトに書き込まれる情報について管理権限を有する者(以下「ウェブサイト管理者等」という。)は、自らウェブサイトに青少年有害情報を書き込もうとするとき又はウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれたことを知ったときは、十八歳以上の者を会員とするサイトへの移行措置、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の選別に資するための措置、当該管理権限に基づく青少年有害情報の送信を防止する措置その他の青少年により青少年有害情報の閲覧がされないようにするための措置として政令で定めるもののうちいずれかを講じなければならないものとすること。
二 インターネット接続プロバイダーの講ずべき措置
インターネット接続プロバイダーは、その提供するインターネット接続役務を利用して開設されているウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれたことを知ったときは、ウェブサイト管理者等に対し一の措置を講ずるよう要求することその他の青少年により青少年有害情報の閲覧がされないようにするための措置として政令で定めるもののうちいずれかを講じなければならないものとすること。
三 損害賠償責任の制限
一のウェブサイト管理者等及び二のインターネット接続プロバイダー(以下「特定電気通信役務提供者」という。)は、ウェブサイトに書き込まれた情報について青少年により閲覧がされないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)を講じた場合において、当該青少年閲覧防止措置により当該情報をウェブサイトに書き込んだ者(以下「情報の発信者」という。)に生じた損害については、当該青少年閲覧防止措置が必要な限度において行われた場合であって、次のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じないものとすること。
1 特定電気通信役務提供者が当該ウェブサイトに書き込まれた情報が青少年有害情報であると信じるに足りる相当の理由があったとき。
2 特定電気通信役務提供者が当該情報の発信者に対し、当該情報を示して当該青少年閲覧防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該情報の発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該情報の発信者から当該青少年閲覧防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
第五 インターネット接続プロバイダーの体制整備等
一 インターネット接続プロバイダーによる業務管理者の選任義務
インターネット接続プロバイダーは、第四の措置に係る業務を適正に実施するため、当該業務を管理する者を選任しなければならないものとすること。
二 ウェブサイト管理者等による業務管理者の選任等の努力義務
ウェブサイト管理者等(一のインターネット接続プロバイダーを除く。)は、ウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれた場合に適切に対応するため、当該ウェブサイトへの書き込み数等の状況に応じて、第四の一の措置に係る業務を管理する者の選任その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第六 携帯電話会社による青少年有害情報フィルタリングサービスの提供義務
携帯電話会社は、携帯電話機等からインターネットに接続する役務については、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としてこれを提供しなければならないものとすること。ただし、契約の相手方が、当該携帯電話機等の使用者が青少年でない旨及び青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでないこと。
第七 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者の努力義務
青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者は、第十五の二の指針を踏まえて青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発するよう努めなければならないものとすること。
第八 青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者の努力義務
青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者は、青少年有害情報についてインターネットによる発信が行われたことを知ったときは、主務省令で定めるところにより、当該青少年有害情報フィルタリングサービスにより青少年による当該青少年有害情報の閲覧を制限することができるようにするため必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第九 インターネット接続機器製造事業者の努力義務
インターネットと接続する機能を有する機器であって政令で定めるものを製造する事業者は、主務省令で定めるところにより、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを組み込んだ上で当該機器を販売するよう努めなければならないものとすること。
第十 インターネットカフェ等の規制
インターネット利用端末機器を設置し、これを不特定多数の者に使用させてインターネットを利用させる事業であって、青少年がこれを利用して青少年有害情報の閲覧をする可能性が高いものとして政令で定めるものを行う者は、青少年が青少年有害情報の閲覧をすることがないよう、主務省令で定めるところにより、次に掲げる措置を講じなければならないものとすること。
1 青少年の客については、インターネット利用端末機器の使用に際して他から見通すことができる客席を利用させること。
2 青少年の客については、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを作動させた
インターネット利用端末機器を使用させること。
第十一 インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等
一 インターネットの適切な利用に関する教育の推進
国及び地方公共団体は、インターネットの不適切な利用により青少年の健全な成長が阻害されることがないようにするため、学校教育、社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとすること。
二 家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及
国及び地方公共団体は、家庭において青少年によりインターネットが利用される場合における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため必要な施策を講ずるものとすること。
三 国民に対する啓発活動
国及び地方公共団体は、二のほか、青少年のインターネットの利用の良好な環境の整備の促進を図るため、その必要性について国民一般の理解を高めるための広報その他の啓発活動を行うものとすること。
第十二 国と登録青少年有害情報通報等機関等との連携等
国は、青少年のインターネットの利用の良好な環境の整備のための施策を講じるに当たっては、第十四の登録青少年有害情報通報等機関及び第十五の指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関との緊密な連携を確保するとともに、その支援に努めるものとすること。
第十三 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者等に対する支援
国は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上を図るため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア開発事業者に対しその支援に努めるものとすること。
第十四 登録青少年有害情報通報等機関の制度の創設(登録民間法人)
次の業務を行う登録青少年有害情報通報等機関の制度を創設すること。
① 青少年有害情報のインターネットによる発信に関する通報の受理
② 第四のウェブサイト管理者等又はインターネット接続プロバイダーへの青少年有害情報の通報
③ 第四のウェブサイト管理者等又はインターネット接続プロバイダーに対する青少年有害情報該当性の判断等に関する支援
④ 青少年有害情報フィルタリングサービスを提供する事業者への情報提供
第十五 指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関(指定民間法人)の制度の創設
一 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上を図るため、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアが有するべき性能に関する指針を作成する業務を行う指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関の制度を創設すること。
二 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアが有するべき性能に関する指針は、インターネットにおいて流通する青少年有害情報であって青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能に関する次に掲げる事項についての配慮がされることを旨として定められるものとすること。
1 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること。
2 青少年有害情報フィルタリングソフトウェアにより、閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること。
第十六 指定青少年有害情報紛争処理機関の制度の創設(指定民間法人)
青少年有害情報の閲覧防止に係る措置に関し、ウェブサイト管理者等やインターネット接続プロバイダーと書込みを行った者の間等に紛争が多発することが想定されることにかんがみ、当該紛争の迅速な解決に資するため、当該紛争のあっせん、調停及び仲裁の業務を行う指定青少年有害情報紛争処理機関の制度を創設すること。
第十七 違反者に対する制裁措置等
一 インターネット接続プロバイダーが第四又は第五の一の規制を遵守していないときは主務大臣が、インターネットカフェが第十の規制を遵守していないときは知事が、それぞれこれを改善することを命ずることができるものとし、その命令違反に対しては、インターネット接続プロバイダーについては二百万円以下の罰金、インターネットカフェについては百万円以下の罰金に処すること。
二 携帯電話会社が第六の規制を遵守していないときに主務大臣がその規制を遵守するよう勧告することができることとし、その勧告に従わない場合はその旨を公表すること。
第十八 事業者に対する主務大臣の要請
一 主務大臣は、青少年により青少年有害情報の閲覧がされることを防止するために特に必要があると認めるときは、第七から第九までに定める事業者に対し、これを防止するために必要な措置を講ずるよう要請することができるものとすること。
二 主務大臣は、必要があると認めるときは、関係事業者に対し、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアに関する啓発及び知識の普及その他第十一の施策の実施について、必要な協力を要請することができるものとすること。
第十九 雑則
一 この法律における主務大臣は、政令で定めるところにより、総務大臣、経済産業大臣又は内閣総理大臣とすること。
二 この法律における主務省令は、政令で定めるところにより、主務大臣の発する命令とすること。
第二十 法施行後の検討
政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
第二十一 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。ただし、第三の青少年インターネット環境整備審議会及び第十四の指定青少年有害情報フィルタリングソフトウェア性能指針作成機関の制度に関する事項は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 この法律の施行に伴い、関係法律に関し、所要の規定の整理を行うものとすること。