外国人参政権阻止シリーズ④:国境防衛への影響
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既に3月1日に発売された『正論』に寄稿した小論にも書きましたし、最近では外国人参政権に疑問を呈する内容のテレビ番組でも紹介された事例ですが、与那国町長選挙と対馬市議会議員選挙についても、改めて整理する意味で詳細を書いておきます。
平成21年6月30日、沖縄県の与那国町長と与那国町議会議長から、当時の浜田靖一防衛大臣に対して、「与那国島への自衛隊配備」の要望書が提出されました。
与那国島は、台湾まで約110キロメートルの国境離島です。
与那国町は、主に「台湾海峡有事への備え」、「中国艦船が宮古島沖まで出てきて演習していることへの不安」、「自衛隊による急患搬送への期待」、「自衛隊誘致による、島の過疎化への歯止め・税収増・公共事業増への期待」などの理由から、100人規模の陸上自衛隊誘致を求めていました。
南西諸島防衛の手薄さは日本の国防上の大きな課題であり、尖閣諸島の領有権やガス田開発等で我が国と対立してきた中国にも近いことから、地元から「自衛隊配備反対」ではなく「誘致希望」の声が上がったことは、防衛省にとっては渡りに船。
むしろ歓迎すべきことではなかったかと思います。
ところが、平成22年1月22日の衆議院予算委員会で、小池百合子衆議院議員(自民党)が与那国島への自衛隊配備について質したところ、北澤防衛大臣の答弁は、「鳩山政権が発足していきなりそういう軍備配備をすることが近隣諸国にどういう影響を与えるかという、慎重な対応をしたわけでありますが、私は、そのこと自体を否定したわけではなくて、その後、防衛省の所要のところに、本当に必要があるのかどうかを真剣に検討してくれということで下命をしておきました」という消極的なものでした。
この与那国町で、平成21年8月2日を投票日とする町長選挙が挙行されました。
有権者数1208人の小さな町の町長選挙の争点は、「自衛隊誘致の是非」となりました。
自衛隊誘致を唱えた現職町長の外間守吉候補が当選されたものの、誘致に反対していた次点候補者との票差は、僅か103票(外間候補619票-田里候補516票)でした。
仮に昨年の時点で外国人が地方参政権を持っていたならば、ごく一部の中国人が与那国町に住民票を移すだけで、町長選挙の結果を覆し、自衛隊配備を求めた要望を撤回させることも可能だったわけです。
次の事例です。
平成21年1月26日、長崎県の対馬市長と対馬市議会議長から、当時の浜田防衛大臣に対して、「対馬の自衛隊増強について」という要望書が提出されました。
対馬は、韓国まで49・5kmの国境離島で、ロシア、朝鮮半島、中国に対して国境最前線であり、防衛の要衝と言われてきた地域です。
対馬市は、主に「防衛施設の周辺に韓国資本が進出していること」、「北朝鮮の核や拉致の脅威」、「朝鮮半島有事の際の大量難民発生の懸念」、「中国の軍事力拡大や海洋権益の拡大の脅威」などの理由から、自衛隊の増強を求めていました。
ちなみに、対馬市の自衛隊増強要望に対する防衛省の姿勢については、私から防衛省防衛計画課に問い合わせを行ったところ、「対馬は、陸海空の全てを兼ね備えた重要な防衛拠点との意識で、沖縄と同様、重視しております。防衛省は、本年、これから行います『防衛計画大綱』見直し議論に活かす予定です。同様に、『中期防衛整備計画』策定の中で、離島を含めた防衛体制の方針を決定しますが、その中で考慮に入れていく予定です。もともと『防衛計画大綱』見直しは、昨年中に取り掛かるはずでしたが、1年間空いておりますのは、そういった理由からです」と、要望に応えるべく前向きに検討をしている様子でした。
この対馬市でも、昨年5月17日を投票日とする市議会議員選挙が挙行されました。
対馬市の有権者数は2万9162人(平成21年)ですが、最下位当選者と次点の方の票差は、僅か27票でした(685票-658票)。
この選挙で対馬市議会に議席を得た22人の得票数は、685票から1682票でした。
また、平成20年3月2日に投票が行われた対馬市長選挙では、当選者と落選者の差は5333票でした。(15065票-9732票)。
「対馬は韓国領土だ」と主張している韓国の国籍を持った永住外国人は、現在、日本国内に46万9415人も居られます(法務省『在留外国人統計』平成21年版)。
彼らに地方参政権を与えた場合、仮に対馬市に1万人の住民票移動をされてしまえば、市議会の過半数を「自衛隊増強に反対する議員」で占めることが可能であり、5000人余りの移動でも市長を取り替えることができるのです。
例え、民主党が過去に国会に提出した法案の通り「被選挙権を除いて選挙権だけ」を外国人に与えることにしたとしても、同じ思想を持つ日本人を候補者として擁立することや、1名の同胞を日本に帰化させて擁立することは可能です。
外国人への地方参政権付与が、国境防衛にも影響を及ぼすことは明らかです。
次回は、日本国全体の安全保障に及ぼす影響について書きたいと思います。