鳩山総理大臣の偽装献金事件を契機に、「金持ちしか国会議員になれない国」になる。
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昨日の党首討論でも、鳩山総理大臣の偽装献金事件が取り上げられました。
過日の公判では、鳩山総理の元秘書が「偽装」を認めるとともに、「総理の母上が、多額の寄附について、息子には伝えていなかった」という内容の上申書が読み上げられた旨が報道されていました。
党首討論で、鳩山総理は「責任を負うべき在り方は何かと自問自答してきた。政権交代で政治を変えたいという国民の期待に身を粉にして応え、その責めを果たしたい」と発言。
自らが代表者となっている政治資金管理団体や政党支部の収支についても全く把握していないと嘯く人に、一国の国家経営など任せられません。収入を考えずに莫大な支出を行って借金を増やしている現政権の姿勢にも通じるところがあります。
党首である鳩山総理の事務所が起こした偽装献金問題を放置したまま、民主党は政治資金に関する法改正を行うことで「政治改革」をアピールしようとしていますが、どんなに法律を変えてみたところで、政治家が守らないのでは意味がありません。
先ずは、「知らなかった」「秘書がやった」という総理の言動を反省し、事実関係を明らかにし、現行法を守る姿勢を明確にしていただきたいと思います。
今年1月のことですが、鳩山総理の政治資金問題に関係して、ある新聞社から不愉快な取材がありました。
私自身が支部長を務める自由民主党奈良県第2選挙区の一昨年の収支に関するもので、私が議員歳費の9割を党支部に寄附していたことから、「歳費の殆どを政党支部に入れて、どうやって生活しているのか?」という内容の取材でした。
一昨年は、福田内閣退陣以降いつ解散総選挙が行われるが分からない状態にあって、政党支部の活動が活発化していた時期です。
平時でも事務所の家賃や政党支部職員の給与・社会保険料の工面で大変な中、選挙に向けた党の政策広報などに多額のお金がかかる状況でした。
しかし、選挙前だからといって多額の寄附金が集まる訳ではありません。
私生活で節約して、歳費や銀行口座残高の殆どを事務所に入れなければ、月々の支払いができなかったのが現実でした。
鳩山総理のように実家が裕福であるか、大物議員だった親から政治資金を集める立派な後援会を引き継いだ2世議員でもない限り、多くの国会議員は歳費の殆どを政党支部運営経費に充てているのが実情だと思います(私のように寄附をしている議員も居れば、政党事務所への貸付金にしている議員も居ます)。
「国会議員の歳費をもっと減らすべきだ」、「国会議員は個人献金のみで活動するべきで、企業・団体による政治資金パーティーのチケット購入も含めて禁止するべきだ」というのが世論であり、世論迎合主義の民主党はそういった方向での見直しをされることだと思います。
しかし、少なくとも私自身の事務所事情では、党本部から送金される政党助成金も大幅に減額されており、これ以上の収入減が続くと立ち行かない状況に来ています。
資金繰りに行き詰る度に、何度も政界引退を考えました。
自民党議員は、民主党議員のように労働組合から多額の寄附を受けたり、秘書の派遣を受けたりすることはできません。
自分で私設秘書の給与・ボーナス・社会保険料を支払い、1軒ずつ個人宅を廻って寄附をお願いしているのが現状です。
このままでは、「金持ちしか国会議員になれない国」になるのだろうと思います。
また、「個人献金ならクリーンで、企業・団体からの支援は悪だ」という理屈も、現実とは違っていると感じます。
過去に、政治資金パーティーの会費を支払って下さった企業や団体から無理な陳情を受けたことは有りませんが、年会費3000円(私の事務所の場合)の個人献金をして下さる方の中には、「当然の権利」であるかのように様々な困難な頼みごとをしてこられる方が居られます。
むしろ個人献金の方が「しがらみ」を生みやすいのではないかと感じ、最近では個人への寄附のお願いも控えています。
夏の参院選に向けて政治資金に係る法改正の議論も活発化するかと思いますが、「最低限必要な政治活動とそのコスト」等の現実を見据えた冷静な議論を行うべきだと考えます。