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中国人が買った日本土産

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 チベット問題、東シナ海ガス田問題、毒入り餃子問題等、日本政府は、中国政府に対して毅然と主張すべきは主張せざるを得ない局面に来ていると思っています。
 福田政権の対中外交の舵取りは難しいものとなっており、永田町でも緊張感が高まっています。

 そんな中、日本の大手家電メーカーに勤めている中国人の友人が訪ねてきました。
彼の祖父は政治家、両親は国営企業の社長と副社長というエリート一家に育ち、本人は中学校から日本に留学して、日本の大学を卒業しています。

 これまでは日本の本社勤務だったのですが、勤務するメーカーが、中国の環境問題や食品安全問題改善への協力をする方針になったとかで、1年程度、中国の北京にある関連会社に出向することとなったそうです。
そんなわけで、しばらく会えないから・・と挨拶に来てくれたのです。いつもながらの世間話をしただけでしたが、興味深い話題もありました。

 餃子の件に話が及びますと、彼は、中国での食品衛生管理に必要なポイントをいくつか挙げました。

 まず、中国国内の輸送事情の改善。中国では、工業製品であれ食品であれ、輸送体制が整っていないことによる弊害が大きいと言うのです。
 工業製品ですと、交通網が十分ではない広大な国土内の輸送にコストがかかり、納期遅れなどの問題も発生するようです。
 食品ですと、「冷蔵」「冷凍」ができるトラックの数が少なく、加工食品の原料となる野菜や海産物が、加工工場に搬入される時には既に劣化している可能性を指摘していました。

 次に、有害物質含有を検査する機器の精度が低いこと。日本の検査機器なら検知できる物質も中国製検査機器では不可能な為、日本に輸出する場合にも、日本人が求める安全基準を満たしきれないのではないか・・と指摘していました。ここは日本の科学技術協力に期待したいとのことでした。

 ちなみに、彼は日本のお米が大好きで、最近は中国でも随所で日本米が買えるようになったことを喜んでいました。
 以前から、「日本米を美味しく炊くには、やはり日本の炊飯器が一番です」「日本のお米をもっと多く中国に輸出するには、日本製の炊飯器を中国で多く売って、中国人に日本米の本当の美味しさを知ってもらうべきなんですよ」などと言って、彼が勤務する家電メーカーの炊飯器を中国国内に普及することに努めていました。
 
 ところで、出向人事でしばし母国に帰ることとなった彼が、北京に住む両親へのお土産にと大量に買い込んだ「日本土産」は・・・なんと、「サランラップ」と「台所用洗剤」でありました。

 彼によると、中国にもラップはあるものの、中国製のラップは品質が悪く、食品にかけてレンジでチンすると、無残な状態になるのだとか。
 ご飯を食べ残した場合に、ラップをかけてお茶碗ごと冷蔵庫に入れておいて、そのままレンジで温めて食べるという日本で身についた習慣を続けるためにも、北京の実家に日本製サランラップが必要なのだというわけです。
 「そんなことなら、御社の炊飯器と電子レンジに、販促品でサランラップとレンジで解凍できるタッパーを付けて、新しい食生活の提案をしながら売ったら、もっと売れるんやないの?」と言いましたら、膝を叩いて大笑いしていましたが、彼のことですから来月あたりには実行しているかもしれません。

 台所用洗剤も、中国製洗剤は「環境や体に優しい品質ではない」と言うのです。
 彼の実家には、「野菜洗浄機」があって、農薬たっぷりの中国産野菜や果物を買ってしまった場合には、洗剤を入れてしっかり洗って食べるそうです。その折に日本製の洗剤なら安心だから・・ということで、この度、大量のご購入となったそうです。

 富裕層であり、長年に渡って日本で生活した彼だからこその話でしたが、中国には日本の科学技術をもって改善できる案件が多いこと、日本製品の市場としても様々な可能性があることを改めて感じました。
 
 日本企業の対中投資や貿易量の増大などで日中の経済関係が不可分になっている現実があり、また、有害物質入りの黄砂の飛来や水質汚濁、輸入食品安全問題など、日本人の安全を守る為にも対中技術協力が不可欠な状況となっています。
 一方で、領土・資源問題など、日本政府が決して譲歩するべきではない大きな課題も存在しており、対中政策の方向付けが益々困難な時代になってきました。

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