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サラリーマン増税報道の影響

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 7月3日に東京都議選挙の投票が終わってから、早くも10日余りが経過しました。自民党候補者の戦績は思わしくなく、残念なことでした。

 自民党候補に大きなダメージを与えた要因のひとつに、6月21日に政府税制調査会が発表した「個人所得課税に関する論点整理」があったと思います。
 この論点整理には、サラリーマンの給与所得控除や配偶者控除縮小の検討が含まれており、マスメディアでは「サラリーマン増税」と大きく扱われました。

 政府税調会長の記者会見をテレビで観た時、「何故、よりによって都議選投票日が迫った時期に、こんな内容を発表するのだろうか」と驚き、自民党候補への悪影響を心配しましたが、案の定、民主党の岡田代表はこの問題を都議選の争点として目一杯アピール。
 郵政民営化問題に関する自民党内のゴタゴタもさることながら、やはり、大都市東京で戦う自民党候補には、「サラリーマンの負担増」と「政権政党・自民党」のイメージが結びついてしまったことが不利に働いたと思います。

 そもそも、政府税調が発表したのは学者など専門家の方々の論点整理であり、政府の決定ではありません。
 実際に税制を変えるには、国会での法改正が必要です。将来、政府側から税制変更の提案が有ったとしても、自民党や公明党の税調でその是非や具体的内容が議論され、与党内協議が行われ、衆参両院での国会審議も経なくてはなりません。

 都議選終盤の7月1日には、自民党の武部幹事長が記者会見で、「政府税調のサラリーマン増税ありきを許さない」、「サラリーマンの皆さん方に所得税で過重な負担をお願いするという考え方は無い」、「税制を作り上げる責任は立法府である国会と与党にある」とコメントし、政府税調の論点整理を批判しました。
 しかし、マスメディアでの扱いは小さかったようで、私もこの記者会見の詳細は最近まで知りませんでした。

 6月下旬には、アルコールを一滴も飲んでいなかった小泉総理らが、「泥酔して本会議場に入った」容疑をかけられ、民主党国対委員長から激しく非難される騒ぎもありました。これもテレビ・ニュースで大きく報道されました。
 総理の日程は翌日の朝刊に出ていますから、注意深くこの欄を見ている人は、小泉総理が大量のお酒を飲む機会など無かったことを理解したと思います。私も、主人から当夜の様子を聞き、濡れ衣なんだなあ・・と気の毒に思っていました。
 後日、「委員会答弁の中で、小泉総理が民主党の岡田代表に抗議した」との簡単な報道は有りましたが、事実を検証して国民の誤解を解くような報道は有りませんでした。

 特定の個人や政党が、テレビや新聞で大きく報道される事柄によって誤解を受けても、名誉回復の機会には滅多に恵まれません。視聴者として読者として、イメージだけで事の真偽を判断してはいけないな・・と改めて考えさせられました。

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