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クール・ビズ始まる

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 6月1日は衣替え。夜のニュース番組では、各局が永田町や霞ヶ関の「クール・ビズ」初日の模様を伝えていました。
 男性ファッション誌の編集長が選んだ「クール・ビズ初日のベスト・ドレッサー」は、自民党の武部幹事長だったそうです。「男性は毎日同じ背広を着ていても、ワイシャツとネクタイを替えれば違って見えるから、洋服代がかからなくて羨ましいなあ」と思っていたのですが、これからは男性も毎日のスタイル作りに苦労しそうですね。

 ちなみに、我が家のダンナ様は、しっかりと背広を着てネクタイを締めて国会に向かいました。「だって本会議場は上着着用と決まったし、国会外で改まった行事にも出るし、結局は背広とネクタイを常備していないと仕事にならないもん・・」ということです。
 彼の背広に付いている全てのポケットは、常に書類、ボールペン、財布、鍵、薬、眼鏡や名刺入れ等で一杯です。背広が鞄代わりになっていますから、上着無しでは不便なのでしょう。
 また、上着を着ていると長身の主人は細身に見えるのですが、脱ぐと妙に暑苦しい体型なのです。お腹がポッコリ出ていて、シャツとズボンだけのスタイルでは、相当格好悪く見えます(シャツもベルトも安物だしなあ・・)。
 これは私も同じです。若い頃には、夏場は半袖のブラウス・スーツなどを愛用して薄着をしていましたが、年を取ってからは、少々暑くても長袖のカッチリしたスーツで体型を隠して外出しています。
 人それぞれに自分に合ったスタイルや出席する場に対する礼儀へのこだわり方も違いますから、あまり強制的なものにせず、冷房設定温度だけを上げて、後は各人が仕事の能率が上るように上着の着脱を考えればよいと思います。
 
 ある新聞で「多くの官庁の冷房設定温度は、昨年までは25度だった」との記事がありましたが、資源エネルギー庁を擁する経済産業省は、旧通商産業省の時代から28度設定でした。
 この役所に、政務次官、副大臣として2度勤務しましたが、夏場の苦しみがよみがえってきました。経済産業省のビルは、その形状から、全ての部屋は「朝日がよく入る」か「西日がよく入る」ようになっています。私の部屋も日当たりが良く、体感気温は30度を超えていたと思います。私自身も常に汗びっしょりでしたが、訪ねて来られるお客様も、「この役所は暑いですねえ」と汗をポタポタ落としながら話しておられました。
 職員の大部屋はパソコンの熱で更に暑く、夕方にクーラーが切れた後の仕事場は気が遠くなるほどの暑さでした。国会開会中は、早朝から深夜まで長時間労働になる為、暑さによる体力消耗は相当こたえました。
 「省エネ官庁の責任感はよく分かるけど、仕事の能率は落ちるし、扇風機を持ち込んでいる職員も居て省エネ効果も上っていないように感じるし・・。もう少し臨機応変に空調の対応ができないかしら。それが無理なら、赤外線カット・フィルムを窓に貼ったり、塗料を屋上に塗ったり、何か省エネ産業振興に繋がる方法で涼しくできないかなあ・・」などと、秘書官に愚痴を言ってしまったことを思い出しています。
 お客様への対応も上着無しでも失礼ではないということになると、職員の皆さんも少しは楽になるのかな。

 奈良県では、もう何年も前から、知事はじめ県職員が率先して、夏は「ノー・ネクタイ、ノー・ジャケット」の省エネ運動を展開しています。
 ただ、なかなか県民に浸透せず、知事は気の毒でした。各種行事の会場では、来賓として出席された知事1人が半袖シャツ姿の軽装で、他の出席者は背広姿。知事の来賓挨拶は、省エネ運動と自分の軽装への理解を求める話から始まるのが常でした。
 時には、主催者側の出席者が「知事は非常識だ。我々にとっては重要な記念行事にネクタイも締めずに出てくるなんて失礼だ。場をわきまえて欲しい」と陰口を叩くような場面にも出くわしました。
 また、正装で集う人が多いホテルの式典会場は、しっかりとクーラーが効いていて、半袖シャツの知事の腕に鳥肌がたっていることもありました。
 副大臣だった時に、APECやWTOの閣僚会合で中東や東南アジア等の暑い国に薄手のスーツで出かけると、会議場が冷凍庫のように寒く、スーツの重ね着をして耐えたことが多かったのを思い出します。

 「クール・ビズ」への理解が、日本国内はもとより世界に広く浸透して、軽装で現れる人が非常識のそしりを受けたり風邪を引いたりするようなことが無くなれば、政府が期待する省エネ・地球環境保全の効果が出てくるのだろうと思います。

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