歴史教科書のとんでもない記述
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中川昭一代議士が会長を務める歴史教科書問題を考える超党派国会議員の会というのが有ります。通常国会会期末には、検定済みの高校教科書の内容について勉強し、議論をしました。
相変わらず、自虐史観に満ちた教科書が多く、日本の歴史の影の部分を殊更に強調して、日本が誇るべき歴史上の人物の功績などは省いてあるという代物です。これらの教科書を読んだ高校生が感想を求められたら「日本はひどい国で日本人は最低の民族です」と答えるしかないでしょう。
「なんでこんな内容の教科書を検定で合格にしたんだっ」と文句をつける私たち国会議員に対して、文部科学省の担当課長が説明(というより言い訳)をするという暗い会合になりました。
例えば、南京大虐殺という頃には「中国側は、30万人以上の人々が日本軍によって虐殺されたと発表している」と書かれています。
この南京の事件の被害者数については数千人から20万人まで諸説様々ですが、少なくとも「当時の南京の人口が20万人しかなかったのに、どうやったら30万人も殺せるんだ?」という中国に対する反論は周知されているところです。しかし、この教科書を高校生が読むと、30万人という数字が頭に入るでしょう。
「明らかに間違いとされている数字を高校生に教えるなんて!」という我々国会議員の抗議に対して、文部科学省の課長は「中国側の発表した数字として書いてあるので例え数字が史実と違っていても問題ない」と反論されました。
また、「従軍慰安婦」という不正確な日本語を載せている教科書も複数有りました。
「従軍」とは「従軍看護婦」や「従軍記者」など軍属に付ける言葉ですから、「従軍慰安婦」などという言葉が戦争当時に存在しなかった(戦後の造語)というのが定説になっていますし、政府答弁でも同様です。
「いくらなんでも教科書にウソの言葉を書いたらあかんで」という我々の抗議に対して文部科学省は、「確かに存在しなかった言葉とされていますが、歴史事典の中には『従軍慰安婦』という言葉を書いてあるものも有りますので」と説明。
「本屋に売ってる事典に書いてあることやったらデタラメでも教科書に載せていいんかいっ」と議員たちは怒り爆発。
「現職総理の靖国神社参拝や国旗・国歌法の規定などは、復古的ナショナリズムのあらわれといえよう」と書いてある教科書も有りました。
「国会で大半の議員が賛成して成立した法律や現職総理の行為を批判する教科書は問題だろうがっ」と怒りだす議員たちに、文部科学省は「何を書こうが、『・・といえよう』と断定的でない表現を使っているので問題ありません」と反論。
他にも「明らかに事実と違う」「学説が分かれていることなのに、片方の学説のみ載せている」と各所に議員たちのクレームがつきましたが、文部科学省側は「教科書筆者の思想や表現の自由」だの「断定的表現でないから良い」だの言い続けていました。
確かに、「とされる」「ともいわれる」と巧みに断定的ではない表現が駆使されていました。しかし、高校生が「断定的表現でないから史実ではないかも」などと裏読みしながら勉強してくれるかしら・・?
歴史教科書は、採択現場を仕切る某教職員団体の影響から、自虐的で左翼思想に近い内容にする程、よく売れるとされてきました。教科書会社も「売れてなんぼ」ですから、自虐史観で書いてくれる作者を重用してきました。
しかし、日本はこれでいいのでしょうか。国を愛する心を育てる教育からは程遠くなってしまっていますが、せめて文部科学省は、正確な事を教科書に書かせる努力をすべきではないでしょうか。