タイの一村一品運動
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タイにも「一村一品運動」というのがあるのをご存じでしょうか。大分県の平松前知事が提唱して以来、日本国内では各地で特産品作りが定着しましたよね。
APEC閣僚会合でタイに行った折に、政府主催歓迎レセプション会場の横に、「一村一品運動展示場」というのが有って、そのレベルの高さに驚いたのです。
タイと言えばタイシルクが特産品。鮮やかなパープルやグリーンのシルクに銀の止め金をあしらったハンドバックは、洋装にも和装にもピッタリ合いそうなデザインで、「うわあっ、欲しいなあ」と思わず声を上げると同時に、「これは銀座の和光あたりやったら高く売れるんやろうなあ」と思いました。
私の隣では、マレーシアの女性閣僚が、早速シルク製品の買い付け交渉をしておられました。
タイのタクシン首相は、2001年2月の施政方針演説で「一村一品運動」を表明されました。4月には、大分県の平松知事をバンコクに招いて「一村一品セミナー」を開催、11月には来日して本場である大分県を視察されたのです。
翌2002年1月の日タイ首脳会談の場で、タクシン首相から小泉首相に、一村一品運動への協力を要請。
日本は早速、マーケティングとデザインの分野での協力を開始。日本の一流デザイナーによるデザイン権はタイに譲渡し、タイの農村生産者はサンプル品を作成しました。
更に、2002年9月には、東京で「タイ一村一品サンプル展」を開催して、その結果をタイにフィードバック。これを受けてデザイン専門家が高付加価値製品への向上協力をしたそうです。加えて、商談機会まで提供。
まさに、至れり尽くせりの協力をしたことによって、私が「欲しいっ」と思った通り、日本人のニーズにピッタリの品物が生まれたわけです。
実際、タイの一村一品商品については、高島屋が販売会を開催、ジュピターショップチャンネルではテレビショッピングで販売、高級ブランドの「ヨシエ・イナバ」が買い付けるなど、日本市場への進出を果たしつつあります。タクシン首相からは日本の協力に謝意の表明が有り、タイの報道でも大きく取り上げられました。
大きな成果を上げた対外協力ですが、日本の同業者にとっては手強い競争相手の誕生でもあります。経済産業省では、今後とも国内製造業の「商品デザイン力向上支援」に力を入れて取り組んでいく方針です。