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中国の留学生帰国推進策

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 2月のことになりますが、大勢の中国人の若者達が、私を訪ねて副大臣室に来られました。


 彼らは、日本の大学院に留学して博士号を取得した後も日本に残って企業の研究所等で活躍している山東省出身の方々でした。日本の高等教育を受けた優秀な頭脳を日本企業の為に生かして下さっているのですから、日本にとっては有難い存在であります。


 ところが、「22人全員で中国に帰る決意をした」というのです。
 なんでも山東省政府が留学後も外国に留まっている地元出身者に対して「帰国した場合は、国際ハイテク工業特区で1人当たり2万5000㎡のビジネス用土地の50年間使用権を与える」という「海外留学者起業支援プロジェクト」を打ち出したのだそうです。
 日本での生活も魅力的ではあるが、日本企業でサラリーマンとして使われるよりは、帰国して、広大な土地を活用して事業を起こしたい、というのが彼らの考えでした。


 彼らが私を訪ねてこられた目的は「陳情」でした。「そういうわけで、事業用の土地は確保できるが、我々にはお金が無い。そこで日本企業で中国に進出したい企業を紹介してほしい。我々ビジネス・パートナーになることで、彼らは土地を50年も使えるし、我々も工場の建設費を節約できる」という話でした。
 「日本にとって得のない話やなあ。貴方達の様な優秀な頭脳は日本から流出してしまうわ、日本の企業を連れていかれたら日本の産業空洞化は進むわ、なんでそんな話に私が協力せんならんの?」と返事をすると、彼らは苦笑しながら「そこを何とか」と食い下がります。
 既に中国進出を決断してしまっている日本企業を紹介する分には、日本の被害も最小で済みますので、ジェトロの担当者に紹介することで納得してもらいました。


 このような留学生帰国推進策を講じているのは山東省だけではありません。
 米国や日本に留学した若者が3割程しか帰国しない「頭脳流出」に危機感を持った中国政府は、現在、帰国者に対しては免税措置、大学での研究費支給、「留学生創業パーク」というベンチャー支援区での優遇措置を取っています。既に留学帰国者が創設した企業数は約4000社とか。
 中国は年率7~8%の成長を続け、GDPは世界第6位の経済大国。手強い競争相手となりつつある中国、恐るべし!

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