ガソリン値上げの理由
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イラク戦争開戦以来のこの3週間、日本経済への影響の観点から一番心配された原油価格は、比較的安定して推移していました。
前にも書いた通り、湾岸戦争時は、イラクのクウェート侵攻から開戦までは不安要因から原油価格が高騰しましたが、多国籍軍の攻撃開始直後には「先行きが読めた」として下落しました。
今回も、開戦直前の3月12日にはニューヨーク工業品取引所で1バレル当り38ドル近くまで高騰しましたが、開戦後に下落して、現在では28ドル前後。東京工業品取引所では更に安くて、約23ドルです。
「それにしては、ガソリン・スタンドでガソリンを値上げしてるやないか!これは便乗値上げと違うんか?」という文句の電話が、私の事務所にもかかってくるようになりました。
政府系金融機関に寄せられる相談でも、ガソリンスタンドや石油関連製品である塗料業者から、「石油価格上昇が見込まれるので今のうちに仕入れ資金を申し込みたい」というものもあり、多くの方が石油製品価格動向を心配されている様です。
実は、ガソリンなどの石油製品の原料となる原油は、約1ヶ月前に中東で船積みされたものなのです。その原油価格は、船積みされた月の原油スポット価格の月間平均に連動して決まります。従って、石油製品価格は、約1ヶ月前の原油価格を反映しているのです。
現在のガソリン価格が上がっているのは、原油価格が最も高騰していた3月中旬頃の影響を受けているわけです。
ガソリン価格形成には市場の競争環境も影響を与えますから、断言はできませんが、4月下旬以降は、3月20日の開戦後に下落した原油価格に連動する時期に入りますので、ガソリン価格も安くなる可能性が高いと思います。
今回の戦争によって、原油価格以外の要因で最も影響を受けているのが観光関連業界です。
海外への修学旅行キャンセルで資金繰りが厳しくなった旅行業者、米軍基地が有る為に観光客が減少している沖縄県のホテル、国際空港に出店している土産物店やレストラン等からの融資相談も寄せられるようになりました。
一方で、修学旅行が海外から国内へと変更されていることで需要が増加している業者も有るようです。
米軍のバグダッド進撃によって、米国市場や欧州市場を中心に株価は大幅上昇。東京市場でも米国市場の影響から上昇。為替も戦況によって動きが活発です。
1日も早い完全終結を願いつつ、職員ともども経済動向を注視しているところです。