憲法改正の為の国民投票法の必要性
更新日:
今国会の重要案件のひとつに、憲法改正時に必要な「国民投票」の手続きを定める法案の扱いがあります。
衆議院では、日本国憲法に関する調査特別委員会(中山太郎委員長)で、この問題を議論しています。
私も委員の1人です。最近では、3月23日、3月30日、4月6日と委員会で発言を行いましたので、委員会での論点と私の考え方を簡単にご紹介します。
現行憲法96条は「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする」と規定しています。
ところが、「国民の過半数の賛成」を得る為の投票を如何なる方法で行うのか、という法律が存在しないのです。
例えば、「憲法改正国民投票の有権者の年齢を何歳以上にするのか」「選挙違反などで公民権停止になっている人も投票してもらうのか」「日本国内の外国人や子どもにも選挙運動を認めるのか」「過半数とは、有権者総数の過半数なのか、有効投票総数の過半数なのか」「マスコミ報道に公平を期すための規制をかけるべきかどうか」「1条ずつ投票してもらうのか、1章ずつ投票してもらうのか、全文一括で投票してもらうのか」「改正条文を、どのような方法で、誰が主体者となって広報するのか」等々・・・何の規定も存在しないので、これらのルールを定めておこうという議論をしているわけです。
憲法改正そのものに反対している社民党と共産党は、国民投票手続法の制定にも反対の立場ですが、それ以外の会派から参加している委員達(自民、民主、公明、国民新党)は、法案細部について意見の相違はあるものの、法整備には概ね賛成という空気になっています。
私は、国民投票法の不備は、国民自らが主体的に憲法改正案を判断する権利を奪うものであり、「国民主権」の理念に反すると思います。
現行憲法は、96条で日本国民に憲法を改正する権利を認めていますが、実際に改正手続きをする為の法律が存在しないのでは、96条は「絵に描いた餅」でしかありません。
社民党から参加されている辻元清美委員のご主張は、「そもそも今の憲法を変える必要がない。よって『憲法改正国民投票法』制定の必要性を感じない」ということです。
しかし、社民党は「護憲政党」であり、現行憲法の実効性を確保することを大切に考えてこられた政党です。
真に現行憲法を尊重し、96条の実効性も大切に考えられるならば、憲法の規定に沿った国民投票法の整備にも賛成されるのが筋ではないかと思います。
また、社民党は「外国人参政権」や「子供の人権」にも熱心な党です。むしろ、本当に社民党の政策を実現したいのであれば、早急に憲法を改正してこれらの権利について根拠規定を作ろうと努力される方が現実的だと思います。
9条についても改正して、「自衛隊の武器携行や海外派遣を禁じる」条文にされた方が、社民党の目指されるものに合うのではないかと思えます。
「何が何でも憲法改正反対」「9条を守ります」というご主張も、社民党らしいとは言えるのですが、私は、「法というものは、法そのものが目的ではなく、国家国民の目標を達成する為の手段である」と考えます。
国民投票法の個別論点についても、簡単に触れます。
①まず、「投票権者の範囲」ですが、私は「成人年齢」を基準に考えるべきだと思っています。
社民党からは、昨年10月6日の委員会で「義務教育を修了した年齢でもよいという意見は傾聴に値する」との発言がなされましたが、16歳というのは早過ぎる気がします。
憲法は、国の最高法規であり、全ての法律は憲法の規定に反しない内容でしか制定されません。国会議員の身分や国会の役割の根拠法でもあることを考えると、数年ごとに国会議員や政党を選ぶ国政選挙よりも遥かに高度な判断力が求められるとも言えましょう。
少なくとも、私法上の行為能力を認める年齢や、公職選挙法の選挙権年齢より低くする理由はないと思います。
日本の法体系の中で「成人年齢」を18歳まで引き下げる場合には、憲法改正国民投票の有権者年齢も18歳以上でよいかと思いますが、現在は20歳以上とするのが現実的だと考えています。
②次に、国民の承認と認められる「過半数」の捉え方ですが、私は「有効投票の過半数」とすべきだと主張しています。
「有権者総数の過半数と解すべきである」と主張される委員も居られるのですが、そうしてしまうと、「棄権することで賛否を表明しなかった人」の数までも「改正案反対」と同じ効果を生じさせることになり、公平ではないのです。
私は、真剣に改正案を読み、判断に参加して下さる国民の意思を尊重すべきだと考えています。
③国民投票の方法について、「複数条文一括投票」にすべきか、「条文ごとの個別投票」にすべきか、という議論がなされています。
確かに、安全保障関連の条文と環境権関連の条文を一括投票してしまうのでは、「環境権新設には賛成だが、9条は今のままでよい」と考える方の意思を反映できませんから、「関連の無い条文の一括投票」には、私も反対です。
しかし、一方で、自民党が昨年発表した「新憲法草案」では、「天皇」について規定した第1章の第1条から第8条までの条文について数箇所の修正を提案してますが、その多くは「現代仮名遣いへの修正」と条文の書き方を現代の用語に分かりやすく直すだけのものです。この場合は、1条から8条までを一括して投票に付すのが現実的であり、1条ずつ別々に莫大な広報コストや人件費をかけて賛否を問うようなものではないと考えます。
よって、私は「独立した内容については1条ずつ投票」「関連する各条文については複数条文一括または章ごとの投票」を可能にするべきだと提案しています。
衆議院では、日本国憲法に関する調査特別委員会(中山太郎委員長)で、この問題を議論しています。
私も委員の1人です。最近では、3月23日、3月30日、4月6日と委員会で発言を行いましたので、委員会での論点と私の考え方を簡単にご紹介します。
現行憲法96条は「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする」と規定しています。
ところが、「国民の過半数の賛成」を得る為の投票を如何なる方法で行うのか、という法律が存在しないのです。
例えば、「憲法改正国民投票の有権者の年齢を何歳以上にするのか」「選挙違反などで公民権停止になっている人も投票してもらうのか」「日本国内の外国人や子どもにも選挙運動を認めるのか」「過半数とは、有権者総数の過半数なのか、有効投票総数の過半数なのか」「マスコミ報道に公平を期すための規制をかけるべきかどうか」「1条ずつ投票してもらうのか、1章ずつ投票してもらうのか、全文一括で投票してもらうのか」「改正条文を、どのような方法で、誰が主体者となって広報するのか」等々・・・何の規定も存在しないので、これらのルールを定めておこうという議論をしているわけです。
憲法改正そのものに反対している社民党と共産党は、国民投票手続法の制定にも反対の立場ですが、それ以外の会派から参加している委員達(自民、民主、公明、国民新党)は、法案細部について意見の相違はあるものの、法整備には概ね賛成という空気になっています。
私は、国民投票法の不備は、国民自らが主体的に憲法改正案を判断する権利を奪うものであり、「国民主権」の理念に反すると思います。
現行憲法は、96条で日本国民に憲法を改正する権利を認めていますが、実際に改正手続きをする為の法律が存在しないのでは、96条は「絵に描いた餅」でしかありません。
社民党から参加されている辻元清美委員のご主張は、「そもそも今の憲法を変える必要がない。よって『憲法改正国民投票法』制定の必要性を感じない」ということです。
しかし、社民党は「護憲政党」であり、現行憲法の実効性を確保することを大切に考えてこられた政党です。
真に現行憲法を尊重し、96条の実効性も大切に考えられるならば、憲法の規定に沿った国民投票法の整備にも賛成されるのが筋ではないかと思います。
また、社民党は「外国人参政権」や「子供の人権」にも熱心な党です。むしろ、本当に社民党の政策を実現したいのであれば、早急に憲法を改正してこれらの権利について根拠規定を作ろうと努力される方が現実的だと思います。
9条についても改正して、「自衛隊の武器携行や海外派遣を禁じる」条文にされた方が、社民党の目指されるものに合うのではないかと思えます。
「何が何でも憲法改正反対」「9条を守ります」というご主張も、社民党らしいとは言えるのですが、私は、「法というものは、法そのものが目的ではなく、国家国民の目標を達成する為の手段である」と考えます。
国民投票法の個別論点についても、簡単に触れます。
①まず、「投票権者の範囲」ですが、私は「成人年齢」を基準に考えるべきだと思っています。
社民党からは、昨年10月6日の委員会で「義務教育を修了した年齢でもよいという意見は傾聴に値する」との発言がなされましたが、16歳というのは早過ぎる気がします。
憲法は、国の最高法規であり、全ての法律は憲法の規定に反しない内容でしか制定されません。国会議員の身分や国会の役割の根拠法でもあることを考えると、数年ごとに国会議員や政党を選ぶ国政選挙よりも遥かに高度な判断力が求められるとも言えましょう。
少なくとも、私法上の行為能力を認める年齢や、公職選挙法の選挙権年齢より低くする理由はないと思います。
日本の法体系の中で「成人年齢」を18歳まで引き下げる場合には、憲法改正国民投票の有権者年齢も18歳以上でよいかと思いますが、現在は20歳以上とするのが現実的だと考えています。
②次に、国民の承認と認められる「過半数」の捉え方ですが、私は「有効投票の過半数」とすべきだと主張しています。
「有権者総数の過半数と解すべきである」と主張される委員も居られるのですが、そうしてしまうと、「棄権することで賛否を表明しなかった人」の数までも「改正案反対」と同じ効果を生じさせることになり、公平ではないのです。
私は、真剣に改正案を読み、判断に参加して下さる国民の意思を尊重すべきだと考えています。
③国民投票の方法について、「複数条文一括投票」にすべきか、「条文ごとの個別投票」にすべきか、という議論がなされています。
確かに、安全保障関連の条文と環境権関連の条文を一括投票してしまうのでは、「環境権新設には賛成だが、9条は今のままでよい」と考える方の意思を反映できませんから、「関連の無い条文の一括投票」には、私も反対です。
しかし、一方で、自民党が昨年発表した「新憲法草案」では、「天皇」について規定した第1章の第1条から第8条までの条文について数箇所の修正を提案してますが、その多くは「現代仮名遣いへの修正」と条文の書き方を現代の用語に分かりやすく直すだけのものです。この場合は、1条から8条までを一括して投票に付すのが現実的であり、1条ずつ別々に莫大な広報コストや人件費をかけて賛否を問うようなものではないと考えます。
よって、私は「独立した内容については1条ずつ投票」「関連する各条文については複数条文一括または章ごとの投票」を可能にするべきだと提案しています。