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核融合エネルギー開発推進の必要性

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 昨年の自民党総裁選挙では、主に「危機管理投資」と「成長投資」の必要性を訴え、国が投資するべき課題解決型の技術分野を、幾つか提案しました。

 エネルギー安全保障の観点からは、国家プロジェクトとして積極的に投資するべき案件の例として、2020年代後半に向けては「SMR(小型モジュール原子炉)の地下立地」、2030年代に向けては「核融合炉の開発」を挙げさせて頂きました。

 

 現在の原子力発電所では、ウランとプルトニウムが必要ですが、採掘が困難で精製にコストがかかる上、放射性です。

 

 「核融合炉」では、ウランとプルトニウムは不要で、必要なのは重水素とトリチウムです。これらは海中から得られる無尽蔵の燃料です。

 高レベル放射性廃棄物も出ませんし、二酸化炭素の排出は無く、将来のクリーンエネルギーとして期待されています。

 しかも、燃料1gで石油8t分に相当する高効率エネルギーです。

 

 「核融合炉の開発に成功した国が、世界の覇権を握れる」とまで言われてきました。「核融合炉」関連のスタートアップは、昨秋時点でも、欧米では約50社でした。

 

 近年は、「エネルギー安全保障」「地球温暖化対策」など政策的重要性から、主要国が政府主導での取組みを推進するとともに、核融合ベンチャーへの投資も拡大するなど、国際競争が加速しています。

 

 中国は、ITER(35ヵ国が参画するITER機構の実験炉)と同規模の核融合工学試験炉を建設し、これを、2030年代までに発電炉(原型炉)に改造する計画を推進中です。

 英国は、昨年(2021年)10月に、『国家核融合戦略』を発表しました。

 米国も、今年(2022年)3月に、商業核融合エネルギーの実現を加速する為の10年戦略を策定することを宣言しました。

 まさに「協調」から「競争」の時代へと移ってきていると認識しています。

 

 日本としても、核融合発電に必須な機器の研究開発、核融合炉のコンパクト化や原型炉の実現に向けた研究開発を加速し、諸外国に対する技術的優位性を確保するとともに、産業競争力強化に繋げる必要があります。

 

 去る9月12日、政府の統合イノベーション戦略推進会議の下に、「核融合戦略有識者会議」を設置しました。

 

 有識者会議は、核融合技術の専門家に加え、事業化に精通した専門家により構成し、今月下旬以降に第1回会議を開催し、検討を進めて頂くこととなりました。

 

 有識者会議では、「核融合の研究開発」に加え、「核融合開発に国として取り組む意義」「発電の実証時期を含む核融合技術の開発戦略」「核融合関連産業の育成戦略」「推進体制」などを含む幅広い検討を行って頂き、来年の4月頃に向けて、我が国の戦略を取り纏めていく予定です。

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