日本の国防⑤:永世中立国スイスの防衛と人的基盤強化の重要性
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自国の領土と主権を守る為に、各国はそれぞれに制度を整え、努力をしています。
例えば「永世中立国」のスイスは、NATO(北大西洋条約機構)にもEU(欧州連合)にも加盟していませんが、「軍事防衛」と「民間防衛」による国土防衛を基本としており、「徴兵制」も維持しています。
「良心的兵役拒否制度」もあるものの、憲法上、スイス市民権を持つ全ての男性に兵役義務があります。
20歳の男性で身体検査に合格した人は、18週間から21週間の初任訓練を受けた後は「予備役」として扱われ、生涯で兵役に就かなければならない日数は300日だそうです。
スイスは、人口867万人(2020年時点)の小さな国です。
「軍事防衛」では、現役2万1450人、予備役13万4800人の人員を擁し、対地攻撃戦闘機や偵察用無人機などの装備も保有しています。
「民間防衛」では、20歳から40歳の男性の中から毎年約6000人を採用し、全体規模は約12万人です。
2017年には、憲法に「食料安全保障」の条項を追加しました。
欧州では、オーストリア、フィンランド、スウェーデンも、「徴兵制」を採用しています。
(以上、参照:『ミリタリー・バランス』等を参考に作成された政府資料)
ウクライナに対して、ロシアは「中立」と「軍備放棄」の両方を求めていましたが、同盟国を持たない「中立」を選んだ国が「軍備」無しで国民や領土を守り抜くことは、現実的には困難な国際環境です。
日本には「徴兵制」はありませんが、国防に係る「人的基盤の強化」は重要です。
先ずは、来年度以降の自衛官定員増が必要です。
加えて、宇宙・サイバー・電磁波など新領域に対応できる専門人材の確保、予備自衛官の体制強化、豊かな専門知識と経験を有する元自衛官の再雇用など、いずれも処遇改善を含めて対応していかなくてはなりません。
今後、内閣では必要な装備についても検討して頂けると思いますが、無人機やAIなどを活用した省人化にも期待しています。