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何故、事業仕分けの「説明者」が官僚なのか?

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 11月11日から、一般公開で行政刷新会議による「事業仕分け」が始まり、連日、大きく報道されています。

 「納税者に見える場所で、税金の無駄遣いを無くす作業をする」という試みには敬意を表しますが、鳩山政権がアピールしている「脱・官僚依存」「政治主導」からは程遠い実態も散見されます。

 事業仕分け作業の現場では、事業執行官庁側の「説明者」が、「仕分け人(評価者)」である民主党国会議員や民間有識者から厳しい口調で責め立てられながら、必死の形相で「当該事業予算の必要性」について説明をしておられます。

 この「説明者」は、事業執行官庁の「局長または審議官クラス」とされていて、何故か「官僚」が説明を行うこととなっています。

 しかし、そもそも来年度予算の概算要求額を決定したのは政務三役であったはずです。

 鳩山政権では、政策決定者を大臣・副大臣・政務官の「政務三役」としており、本来は、この度の事業仕分けの対象となっている諸事業の予算要求に責任を負う政務三役が「説明者」となるべきだと思うのですが…?

 仕分け作業の座席図を見ても、副大臣・政務官の座席は、可哀想な「説明者」とは反対サイドになっており、裁判官と検事のように見える「とりまとめ役」や「コーディネーター」の横です。
 各事業執行官庁の最高責任者である大臣については、座席すら用意されていません。
 これでは、「官僚たたきショー」と名付ける方がよさそうな見世物です。

 鳴り物入りで「脱・官僚依存」を掲げて、役所内の詳細な意思決定に至るまで権限は政務三役が保持しながら、都合の悪い場面では説明責任を逃れる政務三役の姿勢には、疑問を感じざるを得ません。

 また、内閣総理大臣が議長を務めておられる行政刷新会議の事業仕分けなのに、既に、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣、防衛大臣が、この作業に反発する発言を行ったことが報じられています。

 普天間飛行場移設問題でも酷い有様でしたが、鳩山内閣のバラバラ感は、益々増しているように感じます。

 事業仕分けでは、「仕分け人」による一方的質問に終始し、「説明者」が意見を言う機会が殆ど与えられなかったという不満も漏れており、また、驚くほど短時間で判定が下っていきます。

 仕分け人から「国が行う必要はない」「地方が単独で行うとしても、国の補助金は出さない」と言い切られた事業の中には、私の選挙区の山村で、子供たちの教育と伝統文化継承に大きな効果をあげている事業もありました。全国的にも高い評価を受けた取組みです。
 数十万円の予算であっても、小さな村が自己負担で続けていけるのかどうかというと、困難なことだと思います。収益事業ではなく民間企業では出来ないからこそ、国の文化政策・教育政策として行ってきたのです。

 「仕分け人は、事前にどれ程の勉強をして下さっているのだろうか」「仕分け人は、一度でも事業の現場を見て下さったのだろうか」「仕分け人となっている都会の国会議員は、地方の実情をどれだけ理解して下さっているのだろうか」「予算を切り込みたい財務官僚が机上で電卓を叩いて作ったシナリオに沿って、山村に生きる人々が希望を繋いでいる事業がゴミ屑のように切り捨てられていくのではないだろうか」などと考え込んでしまい、不安と怒りが交錯する嫌な気分です。

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