食と私①「ご先祖様のお下がり」
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過日、「日本農業新聞」に「食と私」というエッセイを5回連載しました。日本農業新聞編集部のお許しを得て、このページにも、掲載させていただきます。
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食と私①【ご先祖様のお下がり】
物心ついた頃から、全ての食事は、ご先祖様とともに頂くものでした。
早朝、母の声が響きます。「早苗ちゃん、ご先祖様に朝ご飯を食べていただいてね」。
炊き上がったばかりのご飯とともに、最初に入れたお水とお茶をお仏壇に運んで、「ご先祖様、お早うございます」と手を合わせることが、私の日課でした。
夜になると、朝にお供えしたご飯は硬く干からびてしまっています。母は必ず、お仏壇から下げたご飯をお茶漬けにして食べていました。
幼かった私は、「埃をかぶった硬いご飯を食べなくても、炊き立てのご飯を食べればいいのに」と思ったものでしたが、今では母の思いが分かります。
ご飯粒ひとつも無駄にせず、ご先祖様に感謝しながらお下がりを頂く母の姿は、私や弟にとって、最高の「食育」だったのかもしれません。
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食と私①【ご先祖様のお下がり】
物心ついた頃から、全ての食事は、ご先祖様とともに頂くものでした。
早朝、母の声が響きます。「早苗ちゃん、ご先祖様に朝ご飯を食べていただいてね」。
炊き上がったばかりのご飯とともに、最初に入れたお水とお茶をお仏壇に運んで、「ご先祖様、お早うございます」と手を合わせることが、私の日課でした。
夜になると、朝にお供えしたご飯は硬く干からびてしまっています。母は必ず、お仏壇から下げたご飯をお茶漬けにして食べていました。
幼かった私は、「埃をかぶった硬いご飯を食べなくても、炊き立てのご飯を食べればいいのに」と思ったものでしたが、今では母の思いが分かります。
ご飯粒ひとつも無駄にせず、ご先祖様に感謝しながらお下がりを頂く母の姿は、私や弟にとって、最高の「食育」だったのかもしれません。