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「小山議員逮捕」

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 小山孝雄参議院議員が逮捕されてしまいました。

 私は、小渕内閣時にともに政務次官を務めていたこともあって、小山議員とは親しい方でしたが「彼ほど私心が無く清潔な議員はいない」と思っていました。
 彼は、例え一般受けしないような案件であっても、国家の為に必要と確信したら、まっしぐら。「そんなことに時間を使っても票にも金にもならんがな」と協力を渋る同僚議員にでも必死になって説得をするのです。常に「国家国民の為」という切り口で熱弁を奮う小山議員に反論するのは難しく、私自身も彼の骨太の国家観に感動して幾つかの政策案件に協力しました。私の中では彼は「完璧な正義の味方」だったのです。
 容疑は「受託収賄」とのこと。「受託」にあたるのは、彼が委員会で質問した「ものつくり大学設置」や「外国人労働者技能実習期間の延長」だということですが、この両案件がKSDからの要望らしいということは、今回の報道で初めて知りました(恥ずかしながら、KSDという団体の存在すら知らんかった)。

 私自身も、地元が古都である為、寺社仏閣の修理など伝統的技術を保持されている方々や地場産業の技術者から「もの作りの為の専門大学を創ってや」というお声を聞いておりました。
 また、外国人の技能実習生を受け入れている方々からは「2年では短か過ぎて成果が上がらない」との不満を聞いていました。党本部でこの件を検討した会議で意見陳述をされたのはKSDの人などではなく農業関係の皆さんでした。

 小山議員は、逮捕に際して「国会質問も自分の基本的な政治活動方針に基づくもので、KSDの依頼に基づくものではない」とコメントを発表しました。前述の様に、彼の質問内容は多くの国民や団体の声を受けて多くの国会議員が実現に努力したものですから、彼の説明はあながちウソじゃないと感じます。
 問題は「収賄」です。国会質問とKSDの依頼が無関係なものなら「受託収賄罪」には問われませんが、政治資金管理団体や政党支部で受け取れる献金の枠を越えたお金を受け取っていたとすれば「政治資金法違反」に問われます。
 また、KSDのような「公益法人」の政治献金は96年の閣議決定で禁止されていますが、「豊明会」という任意団体を使っての献金という抜け道があったことも看過できません。
 森総裁や党執行部、そして自民党所属議員が取り組むべき課題は多いと思います。「小山氏の離党届けを受理したから関係ない」というわけにはいかないのです。

 私たち国会議員は、個人や自治体や各種団体から多くのご要望を受けます。自分の専門外の案件なら現場のプロの意見を参考に政策を構築するのが常であり、実現に導くには国会質問も手段の一つで、それも「代弁者」としての大切な仕事なのです。つまり「受託」は日常茶飯事ですから「どこで倫理的線引きをするのか?」「2万6千もある公益法人の財務チェックを徹底する方法は?」「党員集めのノルマは改める必要はないのか?」等々、議論しなければ抜本的な解決にはなりません。

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