多言語音声翻訳システムの進化
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総務省では、所管の研究機関である「国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)」で、多言語音声翻訳システム「VoiceTra(ボイストラ)」を開発しています。
自動翻訳の分野には、グローバル大手ICT企業も注力していますから、日本で、しかも、国が主導して取り組むことの意義について、「成果が出るのですか」という御質問を受けることもあります。
実は、この取組みにこそ、日本がICTやAI(人工知能)などを活用する「第4次産業革命」で躍進できるヒントがあると思っています。
第1に、重点化です。
よく「選択と集中」と言われますが、特に国が関わる事となると、本当に絞り込むのが難しい場合もあります。
「VoiceTra」は、先ずは「旅行会話」という分野に絞り込んで、データを蓄積し、日英中韓の4言語間の旅行会話で、実用レベルの翻訳精度を達成しました。
私が所管大臣になってからは、妙に関西弁に強くなったというオマケ付きです。
第2に、パートナーシップです。
NICTは、翻訳の核となる部分を提供し、製品化やサービス開発は自らでは手がけず、民間や自治体に広く開放しています。
初期にパートナーになっていただいた企業では、「メガホンに向けて話すと、違う言語になって出てくる」という、初めて体験された方がびっくりする、そして、夢のある商品を開発して下さいました。
自治体にも、パートナーとして御協力をいただいています。
例えば、東京都には、東京シティマラソンの会場で積極的に多言語音声翻訳システムのサービスを使っていただき、騒音の中では翻訳が上手くいかなかったケースなどの課題を教えていただきました。
4月13日に、自由民主党の情報通信戦略調査会(川崎二郎会長)の主催で、多言語音声翻訳システムのデモンストレーション展示会が開催されました。
昨年の展示会では、限られた数の試作品が展示されていたのですが、このところ自動音声翻訳システムが話題になることが多いからでしょうか、今年は多くの実用サービスが紹介されていました。
当日、デモンストレーションされた翻訳サービスを、幾つかご紹介させていただきます。
【自動翻訳システムと電話通訳のハイブリッドサービス「鉄道翻訳」】
鉄道駅での利用を想定した翻訳サービスです。
鉄道駅では、定型的なやりとりが多いので、自動翻訳システムが有効に機能しているということです。
更に、自動翻訳システムで対応が困難な場合には、翻訳オペレータにつながる仕組みになっています。翻訳オペレータが対応した会話のデータは、翻訳ベータベースに蓄積され、翻訳精度の向上に繫がっているそうです。
【館内アナウンス用翻訳システム】
手元のスマートフォンに予め母国の言語を設定しておくと、館内アナウンスが流れた際に自動的に母国語に翻訳された内容を表示することができます。
訪日外国人にとって非常に便利なサービスであるだけでなく、聴力が弱い方にとっても、音声のアナウンスを文字で表示することができるため、バリアフリーに繋がる技術だと思います。
【多言語翻訳対応ロボット】
道に迷ったりして困っている方に対して、様々な言語で案内ができるロボットです。
聞き手の表情や仕草から、今話している言語を理解しているかどうかを判別し、聞き手が理解できる言語で案内をします。
聞き手に応じて日本語・英語を使い分けるなどといった対応もすることができる優れものです。
【テレビ字幕自動翻訳システム】
我が国のデジタル放送は、多くの番組で字幕放送が行われていますので、その内容を翻訳して表示するサービスです。
対応するチューナーを設置するだけで、自動翻訳システムで生成された字幕が画面の下部に表示されますので、外国人の方も簡単に日本のテレビ番組を楽しむことができます。
【メガホン型翻訳機「メガホンヤク」】
見た目はいわゆる拡声器です。日本語で話すと、設定された言語に翻訳して、様々な言語で多くの方々に一斉にその内容を伝えることができます。当然、メガホンなので大音量で伝えることができます。
空港や駅や港湾、観光地、災害時など、同じ内容を様々な言語で伝えたい場面は多いと思います。そんな時に役に立つ一品です。
総務省では、この「VoiceTra」の性能をさらに高め、2020年までに社会実装することを目指す「グローバルコミュニケーション計画」に取り組んでいます。
訪日外国人観光客が多い国の10言語について、旅行会話に加え、医療会話など生活会話一般において、実用レベルの翻訳を達成するための研究開発に取り組むとともに、社会実証を推進しています。
「VoiceTra」を全国津々浦々で活用していただき、地方創生に繋げていくとともに、日本の成長エンジンの1つとなるよう、強力に推進していきたいと思っています。
自動翻訳の分野には、グローバル大手ICT企業も注力していますから、日本で、しかも、国が主導して取り組むことの意義について、「成果が出るのですか」という御質問を受けることもあります。
実は、この取組みにこそ、日本がICTやAI(人工知能)などを活用する「第4次産業革命」で躍進できるヒントがあると思っています。
第1に、重点化です。
よく「選択と集中」と言われますが、特に国が関わる事となると、本当に絞り込むのが難しい場合もあります。
「VoiceTra」は、先ずは「旅行会話」という分野に絞り込んで、データを蓄積し、日英中韓の4言語間の旅行会話で、実用レベルの翻訳精度を達成しました。
私が所管大臣になってからは、妙に関西弁に強くなったというオマケ付きです。
第2に、パートナーシップです。
NICTは、翻訳の核となる部分を提供し、製品化やサービス開発は自らでは手がけず、民間や自治体に広く開放しています。
初期にパートナーになっていただいた企業では、「メガホンに向けて話すと、違う言語になって出てくる」という、初めて体験された方がびっくりする、そして、夢のある商品を開発して下さいました。
自治体にも、パートナーとして御協力をいただいています。
例えば、東京都には、東京シティマラソンの会場で積極的に多言語音声翻訳システムのサービスを使っていただき、騒音の中では翻訳が上手くいかなかったケースなどの課題を教えていただきました。
4月13日に、自由民主党の情報通信戦略調査会(川崎二郎会長)の主催で、多言語音声翻訳システムのデモンストレーション展示会が開催されました。
昨年の展示会では、限られた数の試作品が展示されていたのですが、このところ自動音声翻訳システムが話題になることが多いからでしょうか、今年は多くの実用サービスが紹介されていました。
当日、デモンストレーションされた翻訳サービスを、幾つかご紹介させていただきます。
【自動翻訳システムと電話通訳のハイブリッドサービス「鉄道翻訳」】
鉄道駅での利用を想定した翻訳サービスです。
鉄道駅では、定型的なやりとりが多いので、自動翻訳システムが有効に機能しているということです。
更に、自動翻訳システムで対応が困難な場合には、翻訳オペレータにつながる仕組みになっています。翻訳オペレータが対応した会話のデータは、翻訳ベータベースに蓄積され、翻訳精度の向上に繫がっているそうです。
【館内アナウンス用翻訳システム】
手元のスマートフォンに予め母国の言語を設定しておくと、館内アナウンスが流れた際に自動的に母国語に翻訳された内容を表示することができます。
訪日外国人にとって非常に便利なサービスであるだけでなく、聴力が弱い方にとっても、音声のアナウンスを文字で表示することができるため、バリアフリーに繋がる技術だと思います。
【多言語翻訳対応ロボット】
道に迷ったりして困っている方に対して、様々な言語で案内ができるロボットです。
聞き手の表情や仕草から、今話している言語を理解しているかどうかを判別し、聞き手が理解できる言語で案内をします。
聞き手に応じて日本語・英語を使い分けるなどといった対応もすることができる優れものです。
【テレビ字幕自動翻訳システム】
我が国のデジタル放送は、多くの番組で字幕放送が行われていますので、その内容を翻訳して表示するサービスです。
対応するチューナーを設置するだけで、自動翻訳システムで生成された字幕が画面の下部に表示されますので、外国人の方も簡単に日本のテレビ番組を楽しむことができます。
【メガホン型翻訳機「メガホンヤク」】
見た目はいわゆる拡声器です。日本語で話すと、設定された言語に翻訳して、様々な言語で多くの方々に一斉にその内容を伝えることができます。当然、メガホンなので大音量で伝えることができます。
空港や駅や港湾、観光地、災害時など、同じ内容を様々な言語で伝えたい場面は多いと思います。そんな時に役に立つ一品です。
総務省では、この「VoiceTra」の性能をさらに高め、2020年までに社会実装することを目指す「グローバルコミュニケーション計画」に取り組んでいます。
訪日外国人観光客が多い国の10言語について、旅行会話に加え、医療会話など生活会話一般において、実用レベルの翻訳を達成するための研究開発に取り組むとともに、社会実証を推進しています。
「VoiceTra」を全国津々浦々で活用していただき、地方創生に繋げていくとともに、日本の成長エンジンの1つとなるよう、強力に推進していきたいと思っています。