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民主党に日本の安全保障は任せられない。

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 先週末に選挙区で開いた6箇所の国政報告会で、参加して下さった方々との意見交換では、安全保障・外交政策への関心が高くなっているのが特徴的でした。

 普段でしたら、経済政策、農業政策、福祉政策についてのご質問が多いのですが、この土日は、北朝鮮弾道ミサイルへの備えやソマリア沖海賊対策について、活発な意見交換となりました。

 民主党の小沢代表の秘書が逮捕されてからというもの、「もう、自民党にも民主党にも期待していない」というお声が多く、政党政治への信頼が失われていることへの危機感を募らせていました。 
 しかし、このところ、「安全保障や外交政策については、圧倒的に自民党の方が安心できる」と言って下さる方が多くなっていることが、せめてもの救いです。
 
 「国民の生命と財産・領土・独立統治を守る」という国家の最も重要な使命を果たす為に、政府与党の一員として真剣に取り組み、ご期待に応えなければならないとの思いを、改めて強くしました。
 
 民主党の安全保障政策や外交政策については、小沢代表個人のご意見と政党としての政策の区別がつきにくく、もしも政権政党になられた時にどういう変化が起こるのか、予想しにくい…と感じています。

 例えば、北朝鮮への経済制裁の是非については、民主党政権ならばどういう判断をされるのでしょうか。

 平成16年1月、『週刊朝日』のインタビューで、小沢一郎氏は次のように発言されています。
「『北朝鮮に経済制裁を』という人、自民党にも民主党にもいるが、僕は言うんです。『あなたたちは何を考えてるんだと』と。北朝鮮は、経済制裁を決定した国は宣戦布告とみなすといっている。冗談ではないですよ。彼らは命がけだから。そのとき、日本はどうなるか。北朝鮮のテロが起きたら、アルカイダどころの騒ぎじゃないですよ」。
 記者からの「民主党のマニフェストには、経済制裁すると書いてあるが・・・・・・」という問いに対しては、「まだ、民主党はパーフェクトではないから」というお答えでした。

 ところが、平成18年8月『剛腕維新』では、「日朝間の物的、人的、金銭的流れを断てば、絶大な効果があるだろう」と、一転して経済制裁を容認しておられます。

 また、小沢氏は、「国連主導の活動」については「武力行使」も含めて積極的な姿勢を維持しておられます。
 平成16年1月の『週刊朝日』では、「国連の合意があれば、多国籍軍という形をとろうが、PKOの国連軍という形をとろうが、要請を受けたら派遣すべきだと僕は言っているんですけどね」と発言しておられました。
 平成17年1月の『週刊ポスト』では、「(民主党は)PKO(国連平和維持活動)、PKF(国連平和維持軍)までは自衛隊を出しますとなっている。じゃあ、国連決議による多国籍軍はどうなんだというと、そこは言ってないわけです。自由党は、多国籍軍にもちゃんと出すといっていた」と、民主党左派への苛立ちを見せておられます。

 小沢氏は、平成16年2月号の『現代』で、「自衛隊は専守防衛という役割に徹して、自衛隊とは別個に、国連のために用立てる部隊を作ったらどうかということなのだ」、「僕が描いているイメージは、将来、この待機部隊を国連に預けてしまい、国連の『御親兵』にしたいというものだ」として、「国連待機部隊」設置を提言しておられました。
 「国連待機部隊は、日本有事の際には出動可能か?」という問いに対しては、「性格上は、『国連部隊』に徹すべきだ。ただ、普段の訓練は自衛隊と一緒にやらなければならないだろうし、人員や装備の融通性もあるでしょう。だから、勝手に出動することはできないけれど、国連から『緊急事態だから、まずは日本の待機部隊も参加せよ』という命令が下れば、そのときは出動すれば良い」と回答されました。

 民主党の『政策リスト300』では、「自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9条に則って行使することし、それ以外では武力を行使しません」としています。
 また、「国連の平和活動は、国際社会における積極的な役割を求める憲法の理念に合致し、また主権国家の自衛権行使とは性格を異にしていることから、国連憲章41条及び42条に拠るものも含めて、国連の要請に基づいて、わが国の主体的判断と民主的統制の下に、積極的に参加します」と記されています。

 小沢氏が主張するような「国連の命令」で動く部隊と、民主党が主張する「わが国の主体的判断」で動く部隊は、全く別物であると考えられますので、この問題についても、政権獲得後の方向性が予測できません。

 私自身は、国連至上主義的考え方には賛同できません。安全保障理事会決議を根拠に日本の選択を決定することは危険だと思っているからです。

 「軍事組織を海外に派遣するかどうか」ということは、国家にとって重大な決断です。
各国とも、派遣の是非については、「自国の国益」を基準に、「コスト」「リスク」等の利害計算をして判断しているのが現実でしょう。
 安保理決議の有無などというものは、「国際的な正統性担保」「国際社会における自国のプレゼンス堅持」などの利害計算をする上での判断要素の1つに過ぎないのだと考えます。

 「軍を使い、ある程度の犠牲やリスクを冒してでも達成しなければならない『国家の目標』とは何か?」ということから考えて、目標達成に必要な手段を選択していくことが正道だと思います。

 昨年は、民主党が、海上自衛隊による補給支援活動継続に強く反対していました。
 小沢代表も、インド洋上での補給活動には反対でしたが、アフガニスタンへの派遣、国際治安支援部隊(ISAF)輸送支援には、積極的な姿勢でした。
 ISAF輸送支援は、部隊の安全に対するリスクが高く、海自の活動と比較して、ハイリスク・ローリターンとなることはほぼ確実です。
 ISAFに派遣する場合も、国連決議の有無に拘わらず、「国内的な適法性」は担保されなければなりません。その際、「輸送支援」と「ISAFによる武力行使の一体化」を弁別するための措置が必要となりますが、アフガン国内を非戦闘地域とすることが可能なのでしょうか?
 イラク復興支援活動においても、イラクにおいて自衛隊が活動する地域(空港及び空路)を「非戦闘地域」とすることを批判していた民主党が、どのような理屈で整理するのかが予想できません。

 安全保障政策や外交政策がテーマの討論番組で、民主党議員が「それは、小沢代表個人の意見であって、党としての方針は別のものになる予定だ」と発言されたり、右派と左派の民主党議員が一緒に出演されてそれぞれ正反対の意見を主張されたりといったことが、度々あります。
 
 国家の命運を左右する問題について、思想的な幅があまりにも広いメンバーの寄り合い所帯である民主党に、日本を任せるわけにはいかないと思っています。
 自民党に欠けているとされる点については率直に反省し、改善を続けながら信頼していただける政党にしていきたいと決意しています。

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