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IoT時代のICT

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 2015年は、日本電信電話公社がNTTに民営化された1985年の「通信自由化」から、30周年の節目にあたる年です。

 この30年間で日本のICTは大きく進化・発展してきましたが、現在の日本のICTについては、様々なご意見を耳にします。

 「日本のICTは非常に先進的である」というお話を伺う一方で、逆に「地盤沈下が止まらない」という問題提起をいただくこともあります。

 「どういうことなのかな?」と考えてみますと、一括りにICTと言っても、どこを見ているかによって意見が違ってくるという場合が多いように思います。

 分かりやすくする為、ICTを、
①ベースとなる「技術」
②構築されたインフラの「提供」
③便利な生活のための「利用」
という3つに分解してみます。

 ICTのベースとなる「技術」ですが、2013年の調査では、日本の研究費の対GDP比率は3.75%、人口1万人あたりの研究者数も52人と、OECD加盟国の中でも高い水準となっています。

 ICTの「利用」を見てみると、どうでしょうか。
2014年の国連電子政府ランキングでは6位、2015年の世界経済フォーラムICTランキングでは10位となっています。
 かつて何とかグローバルトップ20に滑り込んでいた状況から見ると、日本の競争力はかなり上昇しています。

 一方、ICTインフラの「提供」においては、厳しい状況です。
 通信事業者は、いわゆる「土管」にならないよう様々な模索をしている状況です。また、機器やシステムのICTベンダーについては、グローバル市場での競争力が低下しています。

 ここに、大きな論点があります。
 車や家や産業機器を始め、様々なモノがつながるIoT(Internet of Things)の時代に、ICT業界はどう変わっていくべきなのか、ということです。

 日本発のICTにはこだわらず「利用」に徹したらいい、という意見もあります。
 また、日本には素晴らしい技術があって、あれもこれもやるべきだという意見もあります。

 インダストリー4.0(第4次産業革命)というムーブメントが、ドイツで活発化しています。
 発端は、ICT業界の危機意識でした。それが、製造業や研究機関に共有され、官民学一体の取組みになりました。

 根本にあるのは、「ICTの活用によって産業の生産性や付加価値が決まり、強いICT産業を持つことが国の発展につながる」という信念だと思います。

 ただ、数あるIoTのT(Things:モノ)の中で、「工場」と「製品」に優先度を置き、標準化や他国との連携を巧みに仕掛けるなど、単なる想いだけではない、練り込まれた戦略があります。

 日本でも、ICTは経済成長、特に「生産性向上」に一貫して貢献してきました。業界全体で400万人の雇用を持つ、最大の産業です。
 この業界がどう変わっていくのか。

 日本が注力すべき「T」は何か。

 どのような技術が鍵となるのか。

 企業や研究機関、地域がどのように主体的に関わっていくのか。

 国際的な連携をどう進めるのか。

 変革の結果、雇用をどう生み出していくのか。

 人材をどう育成するのか。

 IoT時代の本格的な到来は、2020年頃と見込んでいます。あまり時間はありません。
 スピード感を持って、これらの問いにしっかり答えを出し、目に見える形で実現してまいります。

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