予算委員会質疑報告④:国民の生命を守り抜ける国へ
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≪平成25年3月7日 予算委員会質疑報告④:国民の生命を守り抜ける国へ≫
【高市委員】
先ほど総理には、国民の命を守り抜ける政治、国づくりというものをお願いしたところでございます。
平成24年度の補正予算そして25年度予算案では、学校、医療施設などの耐震化が盛り込まれております。
ところで、現在、全国の自衛隊官舎の約15%が築40年を超え、25%は築30年から40年だと聞いております。
老朽化による非常に劣悪な住環境に加えまして、耐震構造に問題があるという指摘もあるやに聞いております。
自然災害などの発生直後から、初動として動いていただかなきゃいけない、国民を守るために活動していただかなきゃいけない自衛官、そしてまた警察官、消防署員などが発災時に負傷して動けないようなリスク、これは最小化しておかなければならないと思いますし、任務に没頭していただくためには御家族の安全確保も必要でございます。
これも、公務員宿舎など公的な機関の施設の建設や改修というのは厳しい国民世論もございますけれども、しかし、今は冷静に必要な対応を講じておかなければならない、そういう時期に来ているかと思います。
これは、総理になりますか、防衛大臣になりますか、安倍内閣には、緊急時の初動に係る公務員の身体の安全を守るために必要な施策として、この官舎の耐震化も進めていただきたいんですけれども、今後の方針をお伺いいたします。
【小野寺国務大臣】
東日本大震災におきましても、自衛隊員、大変な活躍をしていただきました。
先ほど御指摘ございましたが、実は、防衛省・自衛隊の宿舎については、民間の借り上げ住宅を除く5万3000戸のうち、戦前戦中に建てられたものも含め約2割に当たる1万2000戸が築40年を超過するなど、老朽化が進行しております。
このため、23年度より全国の宿舎を対象に耐震調査を行っておりまして、25年度の予算要求におきましては、宿舎の新築建設及び既存宿舎の補修、整備等の必要な経費ということで、228億円を計上させていただいております。
我が省としましては、しっかりとした使い道を明確にした中で、耐震補修にこれからも努力をしてまいりたいと思います。
【高市委員】
ありがとうございます。ぜひとも、よろしくお願いいたします。
そして、国民の命を守り抜くために必要な政策といたしまして、防災教育、防犯教育、交通安全教育、これを強化しなければならないと考えておりますけれども、これに対しまして、予算措置も含めて十分な対応をとる御予定がおありかどうか、文部科学大臣に伺います。
【下村国務大臣】
お答えいたします。
東日本大震災などの自然災害や登下校中の子供が巻き込まれる交通事故が発生しておりまして、学校における安全の確保が重要な課題になっております。
このような中、平成24年4月には、学校保健安全法に基づき、各学校における安全に係る取り組みを総合的かつ効果的に推進するため、学校安全の推進に関する計画が閣議決定されたところでございます。
この計画を踏まえまして、25年度予算において、学校安全の充実に総合的に取り組む子ども安心プロジェクト、予算案は3億4000万円でございますが、これを措置いたしまして、1つ目に、東日本大震災の教訓を踏まえた新たな防災教育の指導方法の開発普及、そして2つ目に、教職員や児童生徒等の防災、防犯、交通安全に対する意識の向上を図るため、学校安全教室の講師となる教職員を対象とした講習会の開催、3つ目に、通学路の交通安全を確保するため、専門的な見地から必要な指導助言を行う通学路安全対策アドバイザーの派遣、このような事業を実施することとしております。
今後とも、子供の安全を確保するため、学校における安全教育に積極的に取り組んでまいります。
【高市委員】
下村大臣、御就任以降、次々に、我が党の政権公約に書いた事項も含め、そしてまた、これは下村大臣御自身が教育再生本部の本部長としてまとめられたことでございますけれども、しっかりと実行に移していっていただいている。強く期待を申し上げております。ぜひとも安全教育、よろしくお願いをいたします。
海外に滞在する日本人の命を守り抜く、これも政府の重大な責任でございます。
ことし1月には、アルジェリアで、本当に昼夜を分かたず働いておられる10名もの日本人が、卑劣なテロによって尊い命を落とされました。改めまして御冥福をお祈り申し上げます。
このアルジェリアの事件、これは非常に鮮烈な印象を私たちは受けたんですけれども、平成16年の4月にも、ボランティアや絵本作成を目的としてイラクに入国された3名の日本人が拘束された事件がありました。
このときには、事件発生から8日目に3名の方々は解放されたんですが、同じ年の10月には、ニュージーランドからイスラエル経由でイラクに入国された若者がテロ組織に誘拐され、このときには、殺害されてしまうという、大変つらい、最悪の結果となりました。
現在、朝鮮半島情勢も必ずしも安定した状況ではない、リスクが高い状況だと考えるのですが、韓国にも約3万2800名の日本人が滞在しておられます。
今や、在外邦人の安全をいかに確保するか、そして、万が一犯罪に巻き込まれたときにいかに救出をするかということは、避けては通れない問題になっていると思っております。
私は、政調会長就任後でございますが、自民党の政調の中に「在外邦人の安全確保に関する特命委員会」を設置いたしました。「インテリジェンスに関する特命委員会」も設置いたしました。
また、自公の与党政策責任者会議にも「在外邦人の安全確保に関するプロジェクトチーム」というものを設置し、これは、政府と連携しながら、今さまざまな対応を取りまとめているところでございます。
とにかく、できることから早急に順次実行していく、これが大変重要なことだと考えております。
まず、在留届の提出義務の周知徹底について伺います。
旅券法第16条は、居所を定めて海外に3カ月以上滞在する日本人については、領事館に届け出なければならないと規定をしております。この届け出は義務ではありますけれども、罰則規定はございません。
仕事や留学などで海外に滞在される日本人が自分で身を守るためにまず必要なのは、滞在地域の治安情報でございます。この在留届を提出された方は、そこに記載したメールアドレスに在外公館から治安情報や自然災害情報などが送信をされております。
外務大臣に伺います。
この在留届の提出義務というものが法律に定められているということについて、御存じない方も多いんじゃないかと思うのですけれども、在外邦人の安全確保のために、まず、この周知徹底をされる御用意がおありかどうか、伺います。
【岸田国務大臣】
御指摘のように、在留届の提出につきましては、旅券法第16条によって、3カ月以上海外に滞在する方に義務づけられております。
この在留届につきましては、海外における事故ですとか事件あるいは災害等緊急事態の発生の場合に、危機情報の提供ですとか安否確認、こうしたことのために、できる限り正確な情報の保持は極めて重要だと認識しております。
この広報啓発に努めなければならないという御指摘、そのとおりだと認識をしております。
そういったことから、より周知徹底を図るために、例えば、インターネットを通じた在留届を提出することができる在留届電子届け出システム、ORRネットの活用促進、さらには、在留届を出された方も、帰国とか転出された際にそのままにされることによって在留届の正確性が低くなってしまう、こういった事態もあります。
こういった事態の周知徹底、これにまず努めなければいけないと思っていますし、さらには、治安の悪い地域においては3カ月未満の滞在の方の情報把握、これも重要だと思っています。この部分につきましては、検討が必要だということで、今検討を行っている、こうしたことであります。
【高市委員】
今、問題意識を持っていただいたので、外務大臣におかれましては、ぜひとも早急にその対応をしていただきたいと思います。
民間のツーリストですとか交通機関関係の会社にも協力を依頼する。そして、海外に展開される企業にもこの内容を徹底していただく、これは経済産業大臣にも御活躍をいただかなければいけない点かもしれませんが、ぜひともよろしくお願いいたします。
外務省は、各国の渡航情報というものを海外安全ホームページに掲載し、随時更新をしております。例えば危険情報もこの中に入るんですね。
平成16年のイラク邦人拘束事件の折にも、外務省は、イラクにおけるテロ攻撃や誘拐の危険についての注意喚起をずっと続けておりました。
事件発生前年の2月14日以降で見ますと、イラクに滞在する全邦人に対して退避勧告、これを継続して発出し、そして、日本からイラクへの渡航については、どのような目的であれ延期と勧告をしておりました。
当時、本当に危険な状況にある国については、勧告などではなくて、渡航禁止命令ですとか退避命令のような強制的な措置というのはとれないのだろうかと思いまして、外務省に問い合わせたことがございました。
しかし、憲法第22条が保障する海外への移転の自由に抵触するということ、そして、仮に、一般旅行者に対して渡航禁止措置をとれても、邦人保護のために渡航される政府の職員ですとか、それからまた、報道のために出られるマスコミの方々を例外にするということになると、これは、憲法第14条が保障する法の下の平等に抵触する、こういった理由から、強制的な措置というのは不可能だということでございました。
仮に憲法を改正してこの制約がなくなったとしても、運用面では、第3国経由で危険地域に入る国民をとめる方法がない、こういった限界もございます。
しかしながら、海外で誘拐事件、拘束事件が発生した場合には、邦人を救出する、保護するために莫大なコストもかかり、また人員も要することでございます。
私は、日本国憲法が国民に保障している自由や権利というものについて、憲法第12条では、濫用してはならないこと、常に公共の福祉のために利用する責任というものを求めているわけでございますので、個人の権利に対して一定の制限をかけることは可能なのではないかと考えているものでございます。
外務大臣に伺いますが、重大な危険が予測される場合でも、政府が渡航禁止命令や退避命令を出すということは、憲法第12条の規定にのっとっても、やはり憲法違反になるんでしょうか。
【岸田国務大臣】
危険地域への渡航禁止命令、さらには避難命令については、憲法で保障されている渡航の自由との関係もあり、法的な面も含めて、さまざまな視点から慎重に検討する必要があるとは考えています。
ただ、こうした渡航の自由とて、これは無制限に認められるものではないと思います。合理的な制約が可能なのかどうか、こうした視点で慎重に検討していく必要がある課題だと思っています。
【高市委員】
慎重に検討していくという言葉がどっちの方向なのかよくわかりませんが、ただ、合理的な制限、これが可能なのかどうか、ぜひとも、大変難しい問題ではございますけれども、岸田大臣の間に検討を進めていただければありがたいと思います。
それより何よりも、やはり時代に合わなくなった憲法の改正を私たちはしなければならないと思います。
日本国憲法は、本当に、強い私権、個人の権利を認めております。これは、ある意味で、私たちにとって恵まれたことでもあるんですけれども、最近起きているさまざまな事象を見ますと、その規定によって、いろいろと対応できない問題が出てきているのも事実であると思います。
例えば、外国資本が自衛隊または海上保安庁の基地の周辺の民間建物を買っている、場合によっては部隊の展開などが丸見えである、こういった場所もございます。
これに対応する議員立法をということで作業を進めてまいりましたけれども、かなりこれは財産権との関係で難しい作業になっております。
これまでも、森林法の改正案、これも外資による水源林の買収という問題が進んでおりましたので、これも議員立法で提出し、何とか、民主党を初め各党の御協力も得て、最後は委員長提案という形で成立をいたしました。
しかし、これはなかなか難しい問題も多々残されておりますので、ぜひとも、時代に合った憲法、そして日本の心と、そして日本人の手による、そういった憲法をつくってまいりたい。これは私の決意でもありますし、多くの国会議員がそう考えていることだと思っております。
さて、自衛隊法の改正について、お答えになりにくいかもしれませんけれども、防衛大臣に伺います。
現行法では、海外で私たちが危険な状態に巻き込まれたとしても、とにかく現地の空港までは自力で脱出をしなきゃいけない。そこまでは自衛隊機が迎えに来てくれたとしても、やはり陸路の移動というのが大変難しい問題になっております。
そこで、平成22年、これは大臣が代表提出者であり、私自身も提出者の1人でございますけれども、議員立法で自衛隊法改正案を自民党は提出いたしました。
野党議員が提出した議員立法であったということもあり、国会の中では、委員会につるされたままそれが続きまして、結局、昨年の解散で廃案となったものでございます。
当時は、朝鮮半島情勢の悪化、これを念頭に、一刻も早くということで立法作業を急いだわけでございます。
自衛隊法を仮に改正したとしても、自衛隊をそのときに海外に本当に派遣するかどうか、これはその時々の政権が的確に判断されるべきものでございます。
しかしながら、仮に、当該国、相手の国に日本人を守ってくださる人員がない、能力がない、こういった事態も想定しながら、やはり備えとしての法整備、リスクの最小化、これはしっかりと確立しておかなければなりません。
法律に規定がなければ自衛隊もそのための訓練も行えませんから、私たちは大変急いでおります。
また、これは議員立法で出したんですけれども、しかしながら、実力部隊が場合によっては海外に展開するという性質のものですから、やはり閣法として提出されるのがベストだと私は考えております。
あすにでも危険な状態が起こる、邦人が危険に巻き込まれるという可能性はゼロではないわけでございますので、今国会に必ず自衛隊法改正案を閣法として提出していただきたい、こう望んでおります。
小野寺大臣、いかがでしょうか。
【小野寺国務大臣】
在外邦人の保護というのは、政府の重要な責務であります。その体制については、不断に検討を行うことが必要だと思っております。
私も、高市委員もそうですが、3年前に、在外邦人保護の強化のための自衛隊法改正の議員立法、これを提出したことがございます。
今御指摘がありました自衛隊法84条の3でありますが、これによりますと、邦人の輸送というのはあくまでも航空機もしくは船舶に限られております。
ですから、先ほどお話がありましたように、空港まで来てくれれば運べるというような状況になっております。
今般、アルジェリア事件の検証報告でも述べられておりますように、防衛省としては、派遣先国においてさまざまな輸送ニーズに対応できるよう、陸上輸送も含む現地での自衛隊の運用について研究し、現行法制で十分か検討したいと考えております。
この際、派遣される隊員が現場で困ることのないように、不測の事態への対処、そして何より、武器使用のあり方についても研究する必要があると認識をしております。現在、与党の中で議論されていると伺っておりますし、省内でも検討させていただいております。
今後、官邸や与党とも相談をしながら判断をしていきたい、そのように思っております。
【高市委員】
今国会での提出をぜひともお願いいたします。
全力で、また各党と御相談を申し上げながらサポートいたしますので、強い決意で臨んでいただきたいと思っております。
☆この後の質疑・答弁は、次回にご紹介します。