原発等の重要インフラ警備
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小野寺防衛大臣には、去る3月7日の衆議院予算委員会で、在外邦人避難警護の為の「自衛隊法改正案」を今国会に提出していただくように求めたところでした。
自衛隊法改正案は、野党時代に既に議員立法で提出していたものの、解散により廃案となっていました。本来は政府提出法案(閣法)で対応するべき内容ですので、与党である現在、先ずは内閣による対応を要請しました。
その上に追加的なお願いをするのは申し訳ないと思いつつ、先週の火曜日(3月19日)、小野寺大臣に、「重要施設の警備」についても自衛隊の任務に追加することを検討してみて欲しい旨を伝えました。
例えば原子力発電所の警備については、現状では、警察と海上保安庁が実施しています。
警察力では治安を維持することができない「緊急事態」が発生した場合には、総理大臣が自衛隊に「治安出動」が命じ、自衛隊と警察と海上保安庁が連携して対処することになっています。
しかし、「治安出動にまでは至らないが、深刻な不安が存在する場合」に、大事をとって自衛隊にも警備に参加してもらうことは、現在の自衛隊法ではできません。
過日、原発立地県である福井県の県議会で、自民党議員が「自衛隊による原発警備」を求める発言をされたことが地方紙で報道されていました。
地元関係者に伺うと、北朝鮮の暴走によって東アジア情勢が混沌とする中、武装したテロリストが海から上陸して原子力プラントに侵入し、オペレーションルームを占拠するようなケースが最も怖いと感じるということでした。
米国を襲った9・11テロの直後にも、官邸警備や原発警備の在り方が課題となったことがありました。
当時は、私を含む多くの自民党議員が「自衛隊による警備」を主張していましたが、「国民に銃を向けるのか!」という感情論が主流となり、実現はできませんでした。
本来は「自衛隊の能力と装備を活用した方が、実効性が担保できるケース」であっても、一部の世論の反発を恐れて、「できるだけ自衛隊を使わない様にしよう」とばかりに「セカンドベストの選択」を続けてきたツケが、ここ数年で一挙に廻ってきたと感じています。
昨年、自民党は、総合政策集「J-ファイル2012」に、「自衛隊が原発施設等の重要施設を警護できるような法的措置を行います」と明記して、総選挙に臨みました。
この考え方については、国民世論の賛否が大きく分かれることかと存じます。
しかし、内外情勢の緊迫状況に応じて「自衛隊に警備に加わってもらうかどうか」は、その時点で内閣が判断できることですので、前もって「自衛隊が重要施設警備の任務につくことを可能にする」ための法改正は、備えとして行っておくべきだと確信します。
具体的な条文改正内容については、既に中谷元・元防衛庁長官が、良い案を出して下さいました。
自民党政調会では、岩屋毅・安全保障調査会長と中山泰秀・国防部会長に、政府への申し入れ案の作成を依頼中です。