首相の言葉の軽さ
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先週は金曜日の夜間、今週は月曜日の早朝から…と、タイムリミットを意識しながら税と社会保障の一体改革関連法案について真剣な議論を交わしてきた自民党所属国会議員の多くは、脱力感の中に居ると思います。
私自身も、前回のコラム欄に書きました通り、先週の「3党合意」とやらの内容には大いに不満を感じ、総務会でも意見を申し上げました。
しかし、今週の総務会で示された各法案の条文を読み込んでみて、「この書き方ならば、自民党が政権を取り戻せば、政策実施前には改善できる」と考えて矛を納めたのです。
各党の主張を併記した上に「検討する」と曖昧な表現にした条文は、法律としては潔くなく、美しくもありませんが、自民党の交渉担当議員が私たちの主張に配慮しながら懸命に頑張ってくれたことが理解できる書きぶりでした。
ところが、昨日21日に行われるはずだった衆議院での採決は延期。
昨日の昼過ぎの段階では、延期したとしても今日には採決という話でしたが、結局は来週の火曜日になったそうです。
石原幹事長のお話によると、野田首相が「6月21日に衆議院の特別委員会で採決するのは政府民主党の務め、責務である」と言われ、民主党の輿石幹事長も「はい、その通りです」と言われたそうで、両者の発言を受けて自民党は誠意をもって対応してきたのです。
昨年の本会議の首班指名選挙では、自らの1票をもって野田首相を誕生させた与党・民主党の国会議員たち。
彼らを説得する前に、内閣の政策を早々に国際社会に公約し、国民にも繰り返し宣言してきた野田首相。
平成21年の政権交代以降、あまりにも頻繁に目にする政府と与党のバラバラ感は異常です。
最近では「政府与党」という言葉を使うことも憚られ、議院内閣制そのものが崩壊しつつあるように見えます。
「首相の言葉の軽さ」と「マニフェスト詐欺の顕在化」に、ポピュリズム政治の恐ろしさを感じます。
派手で面白い政治よりも、地道に正直に責任を果たす政治へ。流れを変えなければ、取り返しがつきません。