大連立で「ぬるま湯国会」?国家観は譲れない
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我が党の石原伸晃幹事長が「大連立」に前向きな発言をされた旨の新聞報道に接し、驚いています。
自民党内では、一度だって「大連立の是非」について全議員で話し合ったこともありませんし、大連立によって一体何が改善されるのかについても不明です。
自民党は野党ですが、3月以降、東日本大震災対策に資する法案や補正予算案採決では反対したことがありません。
特に、菅内閣が編成した第1次補正予算案は、被災地の切実な声からかけ離れた余りにも不十分なシロモノでしたし、事前に自民党から申し入れた補正予算案に関する提言を無視した内容だったことに腹も立ちましたが、それでも、少しでも早く被災地で使えるお金を動かす為に、涙を飲んで賛成したのです。
しかも、東日本大震災発生以降は、自民党議員の総力を結集して、菅内閣が対応するべき支援策や法改正について577項目もの提言を取りまとめ、3回に分けて内閣への申し入れを行ってきました。
自民党は、閣外にあっても、震災被災者の救済や被災地の復興、福島原発事故被害者の救済などについては、常に良識と責任感を持って取り組んできたつもりです。
これからも震災対策については、民主党政権に全面的に協力します(勿論、不十分な施策ならば、改善は求めますが…)。
それなのに、何故、国家観が180度違う民主党と連立を組まねばならないのか、どうしても分かりません。
震災対策だけが日本の政治課題ではありません。
国防・領土保全やテロ対策を軽視する姿勢、中韓への土下座外交、国への依存心を煽るバラマキ政策、外国人参政権…。私自身は、どうしても民主党の政策には賛同できません。
ましてや民主党の岡田克也幹事長が言うように「全ての野党に大連立を呼びかける」という方針から社民党や共産党も含むような大連立となるならば、自らの政治理念や国家観を捨て去ることになります。
仮に「大連立」となって、自民党も政権与党に組み込まれてしまうと、民主党の首相や閣僚の言動や政策に問題があると感じたとしても、委員会質疑や質問主意書で追求することも許されなくなり、国会のチェック機能は失われます。
また、仮に新首相が「自民党議員も賛成できる法案のみを国会に提出する」という方針に変更した場合には、自民党の厳格な法案審査手続(1人でも反対者が居たら国会提出が認められない)を経ることになり、民主党が議席数に任せてどんどん強行採決をするようなスピード感は期待できなくなります。
新首相は、最大野党の追及も受けない「ぬるま湯状態」の中で政治を行いますから、まずまず高い支持率を維持することは可能かもしれません。
自民党が応援をして、「上手くいけば民主党の手柄、失敗すれば自民党の責任」という絵が目に浮かびます。
内閣サイドからは、「『震災対策』だけではなく『社会保障と税の一体改革』も行う大連立」との構想が漏れ聞こえます。
しかし、「弱者のフリをした人が得をして、真面目に働いて納税義務を果たす人の負担が過重になるような民主党の社会保障政策」、「未来への責任を考えずに、票目当てのバラマキを続ける民主党の政治理念」には、少なくとも私は絶対に乗れません。
自民党は、震災対策については十分に協力するという姿勢を貫いて、「閣外協力」に留まるべきだと考えます。