前原外相辞任と政治資金規正法
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昨夜、外国人から寄附を受けていた問題によって、前原誠司外務大臣が辞任の意向を発表されました。
前原大臣は、野田財務大臣とともに松下政経塾で一緒でしたので、余りに早い辞任表明には、個人的には残念な思いもありました。
しかし、外務大臣という職務上、「政治資金規正法」の中でも、よりによって第22条の5に違反してしまったことの重大性を、認識された結果だと受け止めました。
政治資金規正法第22条の5は、「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない」と規定しています。
この規定の趣旨については、「我が国の政治や選挙が、外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨から設けられたもの」であることが、『逐条解説 政治資金規正法 第二次改訂版』に明記されています。
在日外国人の方が「日本名」を名乗っておられる場合に、議員側が寄附者の国籍を把握できるかどうかということについては、困難が伴います。
過去のケースでも、故意ではなかった場合には立件されなかった事情は、ここにあるのでしょう。
議員側が秘書も含めて細心の注意を払うこととともに、寄附者側にも十分に法律を理解していただくことが必要です。
今回の件では、「前原大臣が寄附者の国籍をご存知だったかどうか」、「小沢一郎衆議院議員の政治とカネの問題を批判していた立場から、政治資金収支報告書を自らチェックする努力をしていたかどうか」、「そもそも外務大臣として最も留意しなければならない第22条5の規定を十分に理解していたかどうか」というあたりが論点だったのではないかと思います。
ところで、「我が国の政治や選挙が、外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止する」という政治資金規正法の趣旨を考えますと、民主党が目指す「外国人への地方参政権付与」については、是非とも考え直していただくことを希望します。
政治資金規正法第22条の5は、「地方議員」を適用除外とはしていませんから、「地方政治が外国の勢力によって影響を受けることも、未然に防止する」意図があると考えられます。
前原大臣は、民主党代表だった頃には、民団(在日本大韓民国民団)に対して「外国人参政権の実現」を約束しておられました。
しかし、昨年11月の衆議院予算委員会では、私の質問に対して、(外国人への参政権付与については)「慎重に検討すべきだと思う」と答弁して下さっていたので、「色々と勉強されて、考え方が変わったのかな」と、安心していたところでした。
ともかく、重要な国際会議が目前の時期ですから、官房長官の外相兼務というのは現実的ではなく、菅総理大臣には、一刻も早く新たな外相を決めていただきたいと希望します。