「森林法の一部を改正する法律案(議員立法)」の内容
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昨日のコラムで国会提出についてのご報告を致しました「森林法の一部を改正する法律案」について、内容解説文をアップします。
先ずは、森林所有者の国籍には関係なく「森林の整備や保全が十分には行われている」とは言い難い現状があることから、水源涵養機能や災害防備機能など「森林の有する公益的機能」を維持する為に必要な規定を盛り込みました。
林野庁ですら外資による森林買収の実態そのものが把握できないという現状を改善するとともに、東京都のように水源地の公有林化を進める地方公共団体を支援する制度も盛り込み、外資が買収したとしても無秩序な立木伐採や植栽放棄ができないように一定の歯止めをかけることが可能な内容にするなど、「外資による森林買収対策」も念頭に置きながら、下記の各規定を書き込みました。
第1に、「森林所有者等となった旨の届出の制度」を創設しました。
現状では、行政において、森林所有者等を十分に把握することができず、「指導監督を適切に行うことが困難な場合」も見受けられます。
そこで、地域森林計画の対象となっている民有林について、「新たに森林所有者等」なった者に、「市町村長への届出」を義務づけることとしました。
併せて、この法律の施行の際、「現に森林所有者等」である者についても、「附則」において「届出義務」を課しており、今後は「森林所有者等を行政が的確に把握できる仕組み」を整えています。
「保安林」については、森林法上、指導監督を都道府県が行うこととなっていますので、市町村長を経由して、都道府県知事に届出の内容が「通知」されることとなっています。
第2に、「伐採の中止及び伐採後の造林命令」を創設しました。
現行の「森林法」では、民有林を伐採する時には届出が必要とされ、「届出をした者」については、市町村長が、「届出の計画に従った伐採」や「伐採後の造林を行うこと」を命令できる制度があります。
しかし、「届出をしない者」については、伐採の中止を命じたり、造林を命じたりすることができる旨の規定がありません。
そこで、「届出をしない者」についても、伐採の中止及び伐採後の造林命令を可能とする規定を設けることとしました。
第3に、「命令をした場合の代執行」の規定を整備しました。
都道府県知事及び市町村長が、「植栽」(植林)等を命じた場合に、「命令を受けた者」がその命令に従わないときには、行政が代わって植栽等を行い、その費用を強制的に徴収できることとしています。
第4に、「罰金刑の上限」を引き上げました。
「植栽命令違反」については、現行では50万円以下の罰金となっています。
ところが、植栽にかかる費用は、1haあたり180万円から250万円。最初の5年では、1haあたり約100万円とされています。
「真面目に植栽した場合の費用」よりも「罰金額」の方が低いということでは実効性に欠けますので、罰金刑の上限を100万円に引き上げました。
「無届伐採」等の罰金刑の上限についても、30万円から50万円に引き上げることとしました。
第5に、「国及び地方公共団体が講ずる措置」を規定しました。
①農林水産大臣及び都道府県知事は、保安林指定の目的が確実に達成されるよう、「保安林の指定に係る権限」を適切に行使するべきことを規定しています。
②国は、全国の森林の土地について、「地籍調査の実施」の一層の促進を図るなど、「境界の画定」が速やかに行われるよう必要な措置を講ずるものとしています。
③国及び地方公共団体は、「森林に関するデータベースの整備」その他「森林に関する正確な情報を把握するために必要な措置」を講ずるものとしています。
④国及び地方公共団体は、「森林の施業の集約化」等の事業が推進されるよう、これらの事業を担うことができる森林組合等の「主体の育成」、「当該事業への支援」その他の必要な措置を講ずるものとしています。
また、国及び地方公共団体は、これらの事業を実施するために必要な「人材の養成」のために必要な措置を講ずるものとしています。
⑤国は、「間伐又は保育が不十分な森林」であって「森林所有者等が不明」なものについて、「間伐又は保育を実施できることとする制度の創設」その他必要な措置を講ずるものとしています。
⑥国は、「地方公共団体が保安林等の森林の買入れ」(公有林化)を行うことができるよう必要な「財政上の措置」を講ずるものとしています。
今年度、東京都が水源地の公有林化を進めるという報道がありましたが、地方公共団体のこうした取組みを応援するものです。
以上、条文掲載では内容が分かりにくいので、解説形式に致しました。
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