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予算委員会報告④:科学技術政策

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 今日は、去る11月9日の予算委員会に於いて、「科学技術政策」に関して私が行った質疑と内閣の答弁について、その概略を紹介し、最後に私の感想を書かせていただきます。


【高市早苗】
 

○町村委員から、経済について、日本の成長についての話もあった。科学技術の話に移りたい。
 

○最近、暗い。総理がおっしゃる「最小不幸社会」という言葉も暗い。夢を持てない。去年の事業仕分けの時の「何で1番じゃなきゃいけないのか、2番じゃだめなんですか」という御発言に対しても、何かおかしいなと思った。
 民主党が盛り上げた「格差社会ブーム」。ある意味では大事なことかもしれない。日本国憲法が保障している「健康で文化的な最低限の生活を国民に保障する」というナショナルミニマムとしての福祉は必要だ。
 しかし大事なことは、教育にしても、産業にしても、「出る杭も伸ばしていく」ことだと思う。特に科学技術は非常に大事だ。
 

○平成18年、安倍内閣が発足した時、私は科学技術政策担当大臣だったが、あの内閣でだけ設置されたイノベーション担当大臣でもあった。
 あの年には、中国が2020年までの科学技術を振興するための長期プランを発表した。日本には長期プランがなかったので、『イノベーション25』、2025年までの技術革新戦略と、技術革新の成果を国民に広げていくためにはどういう制度改正をしたらいいか、そういった長期戦略を作った。
 何とか日本を元気にしよう。福祉をちゃんとやるためには富を生み出す部分がやはり必要だ、そんな思いだった。
 

○日本の科学技術政策というのは、「科学技術基本法」の下、5年ごとの「科学技術基本計画」によって進行されている。
 ちょうど今、総理をトップする総合科学技術会議が、来年度からの5年間をターゲットにした「第4期科学技術基本計画」の策定作業に向けた検討に入っている。
 

○その「答申案」は、昨日までパブリックコメントに付されていたので、私も拝読した。
 イノベーションという基本をきちっと押さえた上で、推進政策を盛り込んでいただいていることについては、高く評価をさせていただく。
 ただ、最も重要な「政府の研究開発投資目標」の数字がペンディングになっている。つまり、「対GDP比何%」というところが真っ白の状態だ。
 

○鳴り物入りの「新成長戦略」も、「政府研究開発投資目標については、対GDP比1%と書こう」ということになっていたのに、財務省の抵抗でだめになったという話を聞く。「何が政治主導だ」と、がっかりした。
 

○海江田大臣が担当者だ。この「第4期科学技術基本計画」には、第3期を超える野心的な目標を盛り込んでいただけるのか。
 非常に財政状況は厳しい。自民党でも、やりたいと目標を掲げても出来なかったことも、確かにたくさんある。
 それでも、野心的な目標を世界に向けてきちっと示すと、それが日本の研究者や産業界を元気にしていく。志を持てる。
野心的な数値、これについてどう考えておられるか、伺う。


【海江田科学技術政策担当大臣】
 

○私も、高市委員が、安倍内閣で私と同じ内閣府特命担当大臣、科学技術担当ということで御活躍をしていた様子は、つぶさに拝見していた。
 そうした高市委員の意思もしっかりと酌んで、私も、やはり科学技術というのは我が国の、本当に唯一のとも言える資源だと思っているので、これを充実発展させて、そして資金的な裏づけをしっかりしたものにさせていきたいと考えている。
 

○その中で、高市委員御指摘のように、今年度末までに「政府研究開発投資」の目標について、はっきりとした数値を出そうというところで、今まさに議論をしているところだ。
 

○第3期までは、「平成18年度より22年度までの政府研究開発投資の総額を25兆円とする」、そしてその25兆円を、(注)としまして、「GDPの1%」という書きぶりだった。
 ところが、その時見込んだ成長率が少し落ちているので、残念ながら、この第3期の末で、25兆円というところには少し届かないかな、というところが現状。そういった第3期の書きぶりも踏まえながら、しっかりとした方向性を出していきたい。
 

○それから、あと1つだけつけ加えると、私どもの「新成長戦略」の中では、「2020年までに官民を合わせた研究開発投資を4%以上にする」、これは官だけではなく民間も含めた数字だが、こういう数値を書いている。


【高市早苗】
 

○日本の研究開発投資は、民間に負っているところが多い。今回の「答申案」でも、「官民合わせて4%」というのは既に書いてあるけれども、そこにも「ペンディングマーク」がついている。
 とにかく、「理系総理」ということも鳴り物入りだったと思うので、菅総理にも、総合科学技術会議を仕切っておられるお立場から、ぜひともしっかりと科学技術予算については取り組んでいただきたい、これを希望する。


【本件の質疑応答について:高市早苗の感想】
 

 「政府研究開発投資の拡充」については、川端・前科学技術政策担当大臣兼文部科学大臣が、記者会見など機会があるごとに「GDP比1%を目標として掲げたい」と発言しておられました。
 

 現在の海江田科学技術政策担当大臣や高木文部科学大臣も、その方針を受け継がれ、同様の発言をされていると承知しています。
 

 菅内閣が真に「有言実行内閣」であるならば、政治主導によりこれを確実に実行すべきだと思います。
 それが実現できない場合、民主党政権は、「科学技術創造立国」を掲げた自公政権とは正反対に、「科学技術を軽視する政権」として、科学界、産業界、国民の大きな失望を招くことになるでしょう。
 

 中国、米国、EU諸国の「科学技術政策予算」や「法律改正」については、私も常にチェックをしていますが、諸外国の科学技術・イノベーション政策への力の入れようは半端ではありません。まさに大競争時代に突入しています。
 

 既に財源の裏付けも怪しくなった「バラマキ政策」ばかりに心血を注いでいては、将来の雇用も生み出せません。
 日本の競争力強化と雇用増大が実現できなければ、法人税収も所得税収も減る一方で、民主党のバラマキ政策に必要な財源の殆どが増税によって賄われることになりかねません。
 

 「第4期科学技術基本計画」によって日本の科学技術政策を強化し、その確実な実行に向けて「政府研究開発投資」を拡充することは、不可欠だと思います。
 

 海江田科学技術政策担当大臣は、予算委員会で前向きな答弁をして下さいました。
 この後、海江田大臣は、事務方に対して「高い目標設定」を指示されたと仄聞しており、感謝をしています。
 大臣のリーダーシップに大いに期待したいと思います。
 

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