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鳩山内閣の口蹄疫対策に怒り③:政務3役の知識不足

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 私が5月21日の衆議院経済産業委員会で指摘した第2の点は、「政務3役の知識不足」です。
 

 『口蹄疫・現地対策本部(日報)』と題された書類によると、5月18日の11:30から、山田農林水産副大臣は、宮崎県川南町に於いて、川南町長、都農町長、川南町農業担当課長、県担当者、JA職員と、打合せをしておられます。
 

 『口蹄疫・現地対策本部(日報)』には、次の会話が交されたことが記録されています。
 

☆都農町長「四月段階から両町で消毒を徹底しているが、蔓延が止まらない。獣医が足りないので、明日からの作業ができるかどうか分からないといわれる。(中略)疑わしい症状が出た時点で獣医師が派遣されず、経過観察を求められる。その間に感染が拡大することを懸念」。
 

☆副大臣「農家が自分で採取できるだろう。そうすれば作業が進む」
 

☆県対策本部「検体採取は獣医師でないとできません。家伝法上できない」
 

☆副大臣「綿棒で取るだけなら自分でできるだろう。細かいこと言うな!」
 

 私は、経済産業委員会でこの会話記録を読み上げた上で、次の質疑を行いました。
(委員会速記録の通り記載)
 

○高市委員「町長が、疑わしい症状が出たら、家畜から検体採取をする獣医師が足りないということを訴えておられるのに対して、山田副大臣が、綿棒で取るだけなら自分でできるだろう、細かいこと言うなということで、農家が検体採取をするべきだという考えを述べておられるんです。法律上、農家が自分で検体採取をすることは可能なんでしょうか。根拠条文とともに伺います」
 

○佐々木大臣政務官「農家自身が検体をとるということについては、個人の財産ですからそれは可能でありますが、しかし、獣医師が足りないということは、それもまた、今増員をして…(後略)」
 

○高市委員「それでは、農家が検体をとって検査に回すということは法律上何の問題もない、各農家でやっていただければいいということで間違いございませんね」
 

○佐々木大臣政務官「それは問題ありませんが、できれば専門家がとった方がより望ましいというふうには思います。問題はありません」
 
 しかし、「検体を採取すること」は、「口蹄疫の発生を確認するための検査に含まれる行為」であるはずです。
 家畜伝染病予防法の第5条第1項、31条第1項の規定を読む限り、検査に含まれる行為である検体採取については、「家畜防疫員」が行うべきものであると解されます。
 
 そもそも家畜伝染病予防法には、「農家が検査に係らない検体を採取すること」などについては規定されていませんから、経済産業委員会に於ける私の質疑も、当然に「農家が検体をとって検査に回す」ことの合法性・有効性を尋ねたものでした。
 

 家畜から検体採取をする獣医師が足りないことを訴えた都農町長に対して、山田副大臣は「農家が自分で採取できるだろう。そうすれば作業が進む」と答えています。
 これを佐々木大臣政務官の「問題はありません」という答弁と併せると、「農家が自分で採取した検体を家畜防疫員に提出したとしても、家畜伝染病予防法第8条に規定された『証明書』の交付が受けられる」ということになります。
 

 しかし、家畜伝染病予防法第8条の条文を読む限り、「証明書の交付」は「家畜防疫員による検査」が前提であり、証明書が交付された検査のみが効力を有すると解されます。
 本当に、農家が自分で採取した検体を提出したとしても、検査結果が有効とされ、証明書が発行されるのか…という点については、大いに疑問です。
   

 また、農林水産省の「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づく発生予防及びまん延防止措置にあたっての留意事項」(平成16年12月1日付、農林水産省消費・安全局長通知)に示された「検体採取にあたっての準備(携行用具の用意等)」、「採取の実施」、「記録」、「送付」等の検体採取手順は、一般農家が自力で行うには余りにも困難な作業であると思えます。
 

 仮に山田副大臣や佐々木大臣政務官が言う通り「農家が検体をとって検査に回すこと」によっても有効な検査が実施できるということであれば、それを知らずに家畜防疫員を待っておられる宮崎県の畜産農家に対する広報や検体採取作業への支援が必要になると考えますが、恐らくそのような動きは無いでしょう。
 

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