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鳩山内閣の口蹄疫対策に怒り②:無責任な発言と撤回の繰り返し

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 去る5月21日の衆議院経済産業委員会で私が指摘したのは、第1に、「鳩山内閣の閣僚や副大臣による無責任な発言と撤回の繰り返し」についてでした。
 

 口蹄疫の発生が確認されてから即刻打っておくべき手も打たず、感染が拡大してしまってから現場に入って指揮を執り始めた山田農林水産副大臣や、視察に出かけた平野官房長官の言動は、余りにも無責任なものでした。
 

 私の手元には、「口蹄疫・現地対策本部(日報)」という書類があります。
 

 口蹄疫現地対策本部は、宮崎県に設置されており、山田副大臣が本部長を務めています。

 
 「口蹄疫・現地対策本部(日報)」によると、5月18日の15:00から、山田副大臣と小川総理補佐官は、宮崎県新富町に於いて、町長、副町長、町議会議長と打合せをされています。
 

 先週このコーナーで書きました通り、防疫措置にあたって最も困難な課題は、「殺処分した家畜を埋却する土地不足」です。
 殺処分を行ったとしても、埋却をしないことにはウィルスの拡散は止まりません。
 

 この点について、「口蹄疫・現地対策本部(日報)」には、次のような会話が記録されています。
 

☆町議長「豚・肥育牛中心の畜産団地なので、埋却地は容易には見当たらない」
 

☆副大臣「土地は国で買い上げるとしても見当たらないか」
 

☆副町長「甘藷の苗床として使われている土地を買おうとしているが、その苗を用いて営農を計画している農家への補償問題が生じている。家伝法では、こういうところの補償までカバーされていない」
 

☆副大臣「県有地、国有地はないのか」
 

☆町長「ない」
 

☆副大臣「1年間の補償をすれば売ってくれるのか」
 

☆町議長「来年以降の生計を失うので、売却側は迷うだろう」
 

☆補佐官「しかし埋めなければ先に進まない。国が買い上げる場所は1つもないのか」
 

☆副町長「1年間の補償をして、来年度以降の代替農地があれば、可能かもしれない。しかし、補償をしっかり国が支えて欲しい」


 ところが、翌日の「口蹄疫・現地対策本部(日報)」を読むと、山田副大臣の態度は大きく変化しています。

 新富町を訪問した翌日、5月19日の16:15から、山田副大臣は宮崎県知事や県担当職員との会談を行っています。
 その折の会話記録は次の通りです。
 

☆県次長「埋却地の買い上げを財政支援してもらえれば、どんどん設定できるが」
 

☆副大臣「ここ2日間調整したが、買い上げは難しい」


 新富町では、国による埋却地の買い上げが可能であるような発言を繰り返して地元の期待を煽った挙句に、翌日には否定。
 つまり、鳩山総理を本部長とする国の口蹄疫対策本部への連絡や財務省との財源調整も行わないまま、山田副大臣が思いつきで発言していたということなのでしょう。


 平野官房長官も同様です。
 

 平野官房長官は、5月16日の10:00から、宮崎県都城市で通行車両の消毒ポイントを視察されました。
 その折の記録です。
 

☆都城JA組合長「事業団の種雄牛49頭も殺処分の対象となっているが、種牛を作るのに最低でも5年はかかる。超法規的措置で49頭を殺処分しないように出来ないか。何とかよろしくお願いしたい」
 

☆官房長官「ああ、そうですか。ちょっと今のことをメモしておいて」(と同行の事務方に指示)
 

 同日12時過ぎから、平野官房長官は、宮崎県庁講堂でマスコミのぶら下がり取材に応じました。
 

☆記者「種牛49頭を処分するのか」
 

☆官房長官「後のことを考えれば、時間軸として5年から10年かかる。慎重にする必要がある」
 

 この官房長官の発言を受けて、地元の方々は大きな期待を持たれたと思います。
 

 しかし、その後間もなく、鳩山内閣は「種牛49頭を処分するべきだ」という方針を打ち出しています。
 

 普天間移設問題でも同じですが、「全体計画」も「調整」もないままに、地元に期待感を持たせる発言をして、後で撤回する。そして、言葉が軽い。
 これは鳩山内閣の体質なのでしょうか。

 
 以上の問題意識を示しての私の質疑に対して、佐々木農林水産政務官の答弁は次の通りでした。
 

(国による埋却地の買い上げに関する山田副大臣の発言について)
「現地のそうした詳しい報告を受けているわけではありませんが、山田副大臣が現地の本部長として、いろいろな関係者の皆さん方とお話し合いをされ、いろいろなあらゆる可能性を探ろうということで、いろいろな皆さんとお会いをされている。その中で、可能性の、いろいろな中のお話としてお話をされたものではないかというふうに存じているところでございます」
 

 松野官房副長官の答弁は次の通りでした。
 

(49頭の種牛の殺処分に関する官房長官の発言について)
「今先生ご指摘のお話、今の段階で細かくつかんでいるわけではございませんけれども、今政府の中で検討しているのではなかろうかというふうに思っています。ただ、やはり法の問題がございますので、そこのところはしっかり見ながら検討していく必要があるのではないかというふうに思います」
 

 お2人の答弁に共通していたのは、まるで「他人事」だという姿勢です。

 委員会でも反論させていただきましたが、口蹄疫対策に責任を持つべき政務3役が現地対策本部の日報や上司の発言記録にも目を通していないということは、大きな問題です。
 

 私自身も、閣僚を1回、副大臣を3回、政務次官を1回務めましたが、少なくとも同じ役所の認証官(大臣・副大臣)が出張先や記者会見で発言した記録には、全て目を通していました。
 内閣が国民に対して発信する情報には統一性が必要だと考えていたからです。
 

 あらゆる課題に共通していますが、鳩山内閣の大臣や副大臣は、閣内での調整も行わないままにパフォーマンスで好き勝手な自論を展開することが多過ぎます。
 自らの発言の影響力や、発言に伴う実行責任というものへの意識が希薄なのでしょう。
 

 国民やその代表である国会議員は、誰の発言を内閣の方針だと理解すればよいのでしょうか?
 

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