普天間移設は「沖縄県民の気持ちを何よりも大事にしながら」と答弁書に書いた鳩山総理の変節
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一昨日(5月22日)には、沖縄県名護市の辺野古周辺部を埋め立てる方式で普天間飛行場の代替施設を建設する内容の大筋合意が日米政府間でなされた旨が報道されました。
そして昨日、鳩山総理が沖縄県を訪問されましたが、鳩山内閣の方針を不満とする多数の県民が抗議の声を上げておられる模様が報道されていました。
自民党政権は、長い年月をかけて沖縄県や米国と協議を重ね、辺野古キャンプシュワブ沿岸部にV字型滑走路を建設する計画に決着させ、海の埋立に係る環境影響評価も昨年度に終了していました。
前政権までの工程表に沿って作業を進めていたならば、今秋には着工、4年後の2014年末には移設完了という予定でした。
昨夏の総選挙では、票目当てで無責任な見直し論を展開し、全て「ゼロベース」に戻してしまった民主党と党代表である鳩山総理の罪は重いと思います。
日本国のリーダーとして責任ある地位に就いた後にも、「国外。最低でも県外」と強弁して沖縄県民の期待を煽り続け、8ヶ月を無駄にした挙句に、結局は辺野古案に回帰。
この間、日米関係も目に見えて悪化しました。
鳩山総理の変節に対する国民の怒りは当然のことです。
そして、鳩山総理の無責任な発言によって、今年1月には、有権者人口約4万人の小さな地方都市である名護市の市長選挙の最大の争点が「普天間飛行場の代替施設の受け入れの可否」になってしまいました。
政治生命をかけて前政権の方針に協力して下さっていた島袋前市長は落選されました。
「島袋前市長は、一昨日からの報道をご覧になって、どんなに無念で悔しい思いでおられるだろうか」と考えると、気の毒でなりません。
私は、昨年の秋以降、普天間飛行場移設に関する質問主意書を3回提出しています。
私の質問主意書に対して鳩山由紀夫内閣総理大臣の名前で衆議院議長宛に送付されてきた3つの答弁書を、昨日、改めて読み直してみました。
質問主意書に対する答弁書は「閣議決定」(全閣僚が賛同して署名する)をされてから衆議院に送付されますから、鳩山内閣の統一方針であると言えます。
今年3月31日に「普天間飛行場移設先につき現行計画を白紙に戻した理由に関する質問主意書」を提出したところ、4月9日に鳩山総理からの答弁書が戻ってきました。
この答弁書には、次のように記載されていました。
「鳩山内閣としては、普天間飛行場の移設問題について、沖縄県民の気持ちを何よりも大事にしながら、過去の日米合意や平成21年9月9日の『連立政権樹立に当たっての政策合意』を踏まえつつ、再度検討することが必要であると考え、特定の前提を置かず、あらゆる選択肢を幅広く真剣に検討することとしたものである。いずれにせよ、この問題については、地元の理解を求めつつ、米国とも調整をして理解を求めた上で、本年5月末までに政府として具体的な移設先を決定する考えである」
昨年11月6日に提出した「普天間飛行場移設問題に関する質問主意書」については、11月17日に答弁書が戻ってきましたが、この答弁書の記述は次の通りでした。
「普天間飛行場の代替施設への移設及び同飛行場の返還を含む在日米軍再編については、(中略)沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆様の思いをしっかりと受け止めながら、真剣に取り組んでいく考えである」
いずれの答弁書にも、沖縄県民の気持ちを重視して移設先を決定するという鳩山内閣の方針が強調されていました。
鳩山内閣が「何よりも大事にする」とした沖縄県民の気持ちとは、一体、どのような気持ちのことだったのでしょうか。
昨年11月2日の衆議院予算委員会では、鳩山総理は「普天間問題に対しても、日米と沖縄県民の皆さん全てが分かったと理解できるような形を作りたい」と答弁しています。
鳩山総理は、昨日示した方針を「日米と沖縄県民の皆さん全てが分かったと理解できるような形」だと考えておられるのでしょうか。
昨年11月24日に提出した「普天間飛行場移設問題に関する再質問主意書」に対しては、12月4日に答弁書が戻ってきていますが、そこには次の記述がありました。
「現在、鳩山内閣総理大臣の指示の下、外務省と防衛省において、過去の日米合意などの経緯を検証しているところであり、最終的な判断は、現在行っている検証作業の結果等を踏まえ行うこととなる(後略)」
就任後早々から勢いよく「最低でも県外」と打ち出していた鳩山総理ですが、実は昨年12月の段階でも「お勉強中」だったことが分かります。
口蹄疫対策においても、官房長官や農林水産大臣はじめ政務3役の知識不足から、国会でも宮崎県の現場でも無責任な発言を繰り返し、畜産農家や宮崎県の行政関係者に期待を持たせた挙句に撤回…といった状況です。
今日は、口蹄疫対策を質す質問主意書を3本提出しました。
朝鮮半島情勢も緊迫しており、この内閣に国民の命を預けることは実に危険だと考えています。
野党の立場では、委員会質問や質問主意書の提出でしか対抗できないもどかしさと悔しさがありますが、限定された手段の中で全力を尽くしてまいります。