コラム

  1. TOP
  2. コラム
  3. 大和の国から 平成15年11月~平成17年8月
  4. 「食育基本法案」に期待

「食育基本法案」に期待

更新日:

 もう何年も前のことですが、お孫さんの参観日に小学校に行って「今時の親は何を考えているのやら・・・」と嘆きながら帰ってきたという方の話を伺いました。
 給食の時間に、両手を合わせて元気一杯「いただきまーす」と声を揃えた子供たちを見て、学校に抗議をした保護者がおられたそうです。抗議内容は「給食費を払っているのは親である。もしも参観日以外の日にも『いただきます』と言わせているならけしからん。一体、誰に対して感謝させているのか」ということだったそうです。
 
 私の子供時代を振り返りますと、「いただきます」の意義については、両親や学校の先生の教えから自分なりの理解をしていた様に思います。例えば魚料理であれば、「お魚さんの命や漁師さんや魚屋さんや調理して下さった給食のおばさんに感謝するんだ」といった具合に・・。
 
 前記の参観日の話を聞いたのと同じ頃、テレビ局のロビーで、料理番組でお馴染みの服部幸應先生に声をかけられました。「私は今、『食育』の必要性を訴えているんです。是非、文部科学省でも検討してもらえるように頼んでみて下さい」と服部先生。
「食育って何ですか?」と、当時は耳馴れなかった単語に思わず聞き返した私でしたが、服部先生の説明を伺ううちに、栄養バランスの崩れがキレやすい子供を増やしたり、国民医療費高騰の要因になっていることも理解でき、早速、当時の遠山大臣に資料をお届けしたものでした。
 
 その後、「食育」の必要性については多くの国民が賛同するところとなり、現在では、政府予算にも「食育施策予算」が計上され、国会では今月中にも「食育基本法案」が提出される見込みとなりました。
 給食時間中に僅か5分間でも、先生がその日の食材について、主な産地や収穫の季節、含まれる栄養素と人体への働きを説明してあげて、最後に感謝の気持ちを込めて「いただきます」と言うだけで、健康教育だけでなく地理の勉強や徳育にもなるでしょう。
 
 民間企業でも既に「食育」について先進的な取り組みがなされています。
 トマト・ケチャップのカゴメ株式会社では、1993年から「『食』の体験イベント・食の冒険グランプリ」を実施。トマトの苗を大切に育てる小中学校の活動を応援。苗を育てる中で、子供たちが様々な発見をしたり、工夫をしたり、いたわりの気持ちや、驚き、喜びに出会う過程を大切に考えておられるようです。
 イオン・グループでも、「食育体験学習会」を開催。子供たちに、ジャスコ各店の食品売り場で「見て、聞いて、触れて、作って、食べる」という体験をさせることで、食の大切さや素晴らしさを理解してもらおうという試みです。
 東京ガスでは、「子供料理教室」や「親子料理教室」を開催し、子供たちにもしっかりと包丁や火の扱いを教え、食材選びから後片付けまで体験させているようです。
 さて、「食育基本法案」には、更に包括的に、学校・家庭・地域における食育推進の責務や食品の安全確保における食育の意義が盛り込まれる様です。政治の取り組みに大いに期待するとともに、連続3日間もカップ麺生活してしまった今週の食生活を反省中であります。

前のページへ戻る

  • 自民党
  • 自民党奈良県連
  • リンク集