地方選挙で驚いたこと
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知事選や県議選の前半戦、市町村長選や市町村議会選の後半戦、と長かった統一地方選挙もやっとこさ終わり、ゴールデン・ウイーク中の地元行事では、真新しい議員バッジを着けた新人県議や市議の皆様と多数ご一緒しました。
奈良市議会議員選挙では、ある場所の公設掲示板から、幾度か選挙ポスターが剥がされるという事件がありました。
選挙妨害かと思いきや、なんと犯人は鹿だったと判って一件落着。鹿の身長で届く場所のポスターだけが食べられてしまっていた様です。実に「奈良らしい」話でしょ?
同じ奈良県内の大和高田市という所では、ちょいと物騒な事件が。投票所で、ペットボトルに入れた灯油を市職員にかけたり床にまきちらした男が、逮捕されました。
この市では、4年前の市長選挙でも、何故か候補者が防弾チョッキを身につけ、開票所には機動隊が配備され、某全国紙に「カンボジアなみの選挙」と書かれてしまっておりました。
さて、残念なのは、全国各地で選挙違反の逮捕者が続出していること。候補者本人が票の取りまとめを依頼して有権者に現金を渡したなどという、実に解りやすく悪質なケースも有りました。
しかし、私が日頃感じているのは、「同じ公職選挙法、政治資金規制法の適用を受けるはずなのに、国政選挙に較べると地方選挙候補者の法律への認識が緩いのではないか(もちろん厳格に法を守っておられる方も多いのですが)」「一部の有権者も、地方議員が身近な存在であるだけに、金品や飲食の提供を期待しがちになっているのではないか」ということです。
地域の行事に招かれた時に、会費制でない場合にも「御祝儀」や「日本酒3本」といった差し入れを堂々とされている地方議員の方もいらして、手ぶらで行った国会議員が肩身の狭い思いをすることは多々あります。
今回も地方選挙の応援に廻っていて、驚いたことが度々ありました。
選挙事務所で準備できる食事は、定められた選挙運動員の昼食や夕食だけで、金額も定められています。ところが、事務所に訪ねて来る支援者に「お昼ご飯食べていってくださいよ」と勧めている事務所が結構ありました。これは違反です。
また、当選確定後に、派手にお酒やお料理を振る舞っている陣営も有って、これも会費を徴収しないと違反になるはずです。
挙げ句には、居酒屋さんで見ず知らずのお客様に「今度、市議会議員に出馬する**です。今夜の皆さんの食事代は全て私が払います」とやっていた候補者までいると聞いて、びっくり。
選挙関連法は、地方の選挙管理委員会や警察がどう解釈し対応するかがまちまちで、候補者にとっても「この行為は違反か合法か」の判断が難しい場合が多いのです。
総務省に問い合せても「個別の案件について判断はできません。それは県の選管に聞いてみてください」と言われ、選管に電話すると「さあ、そうなんでしょうか。何とも言えませんね。総務省や警察はどう言ってましたか?」と言われ、警察に電話すると「選管に聞いてください」と言われ、わけがわかんなくなっちゃう場合が多いもんね。
多くの法律は、具体的運用方法については、別途省令で定めたり、省ごとにガイドラインを作ったりするのですが、選挙関連の法律は、実にわかりづらいのです。
それは兎も角、あまりにも解りやすい金銭や飲食提供ケースについてくらいは、なんとか国の方で広報を充実させて、候補者や有権者への周知徹底が図れないものかなあ、と思います。