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私が怖がったニュー・ビジネスの話 

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 人が亡くなって火葬されると、約3Kgの遺骨になるのだそうです。
 関西では骨壷のサイズが比較的小さいので、遺族が骨壷に入れて火葬場から持ち帰れる遺骨の量は、僅か3割分だとか。
 「それでは、残りの7割の遺骨はどうなるの?」という素朴な疑問が発生しますよね。


 過去に私が読んだ書籍には「遺灰はゴルフ場の芝の育成に活用されている」と書いてありましたが、火葬場の残骨の殆どは「産業廃棄物」となって、業者を通じて処分されるのだそうです。


 この話を聴いた私は、弟に「姉ちゃんが先に死んだら、3Kgサイズの特大骨壺を注文して、全部の骨をお骨に入れてね。火葬場に骨を残してゴミ処理されるのは嫌やで」と頼み込み、すっかり呆れられてしまいました。
 もしも、私の様なことを言い出す人だらけになりますと、日本中で毎年約3000トンもの遺骨埋葬場所が必要になり、大変な事になってしまうのだそうです。


 こういった遺骨ゴミ事情に目をつけて、「海域入葬」というニュー・ビジネスを始めた友人がいます。
 遺骨に固化剤や鉄イオン溶剤を混ぜて、丸い骨岩石にし、これを船の上から海に沈めます。遺族には「住民票(海図)」や「海域入葬証明書」が発行されます。
 所謂「海への散骨」とは違い、遺骨を沈めたポイントが明示される為、遺族は何年経っても船上からお参りが出来ます。長期に渡って慰霊旅行需要が発生するという経済効果もあるわけです。
 また、鉄イオン溶剤を混ぜることで、沈めた骨岩石には海藻が生えて、故人は永遠に海洋環境保全にも寄与できるのだそうです。
 つまり、骨壺に入り切れない遺骨を狭い国土で処分するよりも、世界6位の広さを持つ日本の排他的経済水域にて海藻岩礁とすれば、漁礁にもなるし、ゴミ問題の解決にもなるという理屈です。


 スキューバ・ダイビングを趣味とする私には、海底で多くの骨岩石に遭遇した時の恐怖を想像しただけで泣き出したくなるようなビジネス・プランでしたが、友人のもとには全国の葬儀会社から問い合わせが相次いでいるそうです。

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