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消費税率と総裁選挙

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 自民党総裁選挙中に私の事務所に届いたお手紙の中で、最も多かったご質問は、「谷垣さんは消費税率10%を明言されていますが、安倍さんと麻生さんは何故はっきりと税率をおっしゃらないのでしょうか?」という内容のものでした。
 このご質問に限りましては、個別に財政資料を同封してお返事を出させていただきましたが、このページにも、簡単に私なりの解釈を書かせていただきます。

 3候補ともに小泉内閣の閣僚ですから、どなたが総理大臣になっても、「2011年にプライーマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化」という小泉内閣が決定した目標は実現しなければならないお立場です。

 つまり、「借入を除く税収等の歳入」=「過去の借入に対する元利払いを除いた歳出」という形にして、毎年の税収の範囲内で一般歳出を行ない、新たな借金増をストップします。
 財政赤字の大半は利払費ですし、金利の低下余地は乏しい時期ですから、国民の為に使えるお金を増やす為には、断行しなければならない改革です。

 政府与党の試算では、2011度にこの目標を達成する為に不足する額は16・5兆円。このうち、最低11・4兆円以上は歳出削減で対応するということになっています。
 そうしますと、どのくらいの歳出削減が可能かにもよりますが、2011年時点で不足する財源は2兆円~5兆円ということになります。
 これを消費税だけで賄うと1%~2%のアップが必要だという計算になります。

 さらに2012年度以降は、単年度の赤字を無くすだけではなく、子孫の為に過去の債務残高も減らしていかなければなりません。
「どれくらいのペースでこの大仕事に取り組むのか」、「財源は消費税だけに頼るのか、他の税源にも頼るのか」、「税に頼るだけではなく、2012年度以降も更に歳出削減をするのかどうか」という選択によって、未来の消費税率は決まってきます。

 そして忘れてはならないのが、経済成長による税の「自然増収見込み」です。
 例えば、昨年度は、景気回復によって財務省が見積もったよりも5兆円も多くの税収が得られました。この状況が続くならば、早期に税率を上げる必要が無くなるのかもしれません。
 
 また、私たちは、消費税率アップ直後に消費が冷え込み、株価も暴落して、却って税収が減ってしまったという苦い過去の経験を持ちますから、タイミングや税率の検討は、景気動向の注視抜きには語れません。

 安倍候補は、「消費税率を語るべき段階ではない。まずは『歳出削減』を徹底すると同時に、『継続的な経済成長』を実現する」と言っておられます。
 麻生候補も、「消費税率アップで逆に税収が減ってしまった過去の経験に学ぶべきだ」と言っておられます。
 いずれも、上に記しましたような背景を考えてのご判断だと拝察しています。

 2011年のプライマリーバランス達成という目標以前に、2009年の「基礎年金国庫負担2分の1への引き上げ完了」に必要な財源手当てが求められますから、「2006年度の景気動向と税収」「歳出削減計画の進捗状況」を睨みながら、2007年度~2008年度に消費税を含めた税制改正を行なうことの要否が議論されなければなりません。

 安倍候補が「消費税の議論から逃げるつもりはないが、消費税に逃げ込むつもりもない」と表現されたことに尽きる現況だと思います。

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