消費者保護の為の規制強化
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もう5年も前のことになりますが、通商政務次官だった当時、忙しさによるストレスと不規則な食生活の為でしょうか、私は「激太り」してしまいました。
9号だった洋服のサイズが11号になり、13号になり、とうとうそれも窮屈になってしまいました。
そんなある日、議員宿舎のポストに某エステ・サロンの「痩身コースお試し1000円券」というチラシが入っていました。そのチラシを握り締めて夜遅くにエステ・サロンに駆け込んだ私は、情けない目に会いました。
数人のエステシャンに囲まれて「トドのような体ですよ」「ひどいデブね」「ここまでひどいと自分でのダイエットは不可能ですね」などと、他のお客に聞こえる場所で屈辱的な言葉を浴びせ掛けられ、数十万円の痩身コースの契約を求められたのです。
翌年、訪問販売法(現在の特定商取引法)が改正され、長期間・高額負担を伴う継続的役務契約について、消費者保護規制が規定されました。
具体的には「エステ・サロン」「語学教室」「学習塾」「家庭教師」の4役務が指定され、「契約後8日間は無条件に解約可能」「その後も制限された費用で解約可能」「契約書面交付の義務付け」「誇大広告禁止」「不実告知禁止」「威迫・困惑等の不当勧誘行為の禁止」が規制されました。私が経験したようなひどい言葉による勧誘もダメになったのです。
この他、割賦販売法でも、前述の4役務に加えて「住宅リフォーム」など、計8役務が規制対象になってます。
平成11年の法改正直後、役所の公務で、大手エステ・サロンの社長さん達とお会いしました。「規制が厳しくて困る」と文句を言われるかと思いきや、「通産省が取り組んで下さった法規制のお陰で、悪質なサロンが商売しにくくなり、業界全体の信用が高まりました」とお礼を言って下さいました。
去る4月3日に、消費経済審議会の特定商取引部会と割賦販売部会の合同会合が開催され、苦情相談が急速に増加している「パソコン教室」と「結婚情報サービス」の2役務を新たに規制対象に追加すべきとの審議結果が出ました。具体的規制内容については、今後更に検討が続けられることとなりました。
「増毛・育毛サービス」も、この日の審議の対象でしたが、業界が自主規制の努力をされていることもあって、今後の消費者トラブル状況を注視して、必要な場合には直ちに指定すべく再検討することとなりました。
このような取り組みは規制緩和の時代に逆行している、と思われるかもしれませんが、消費者保護の観点に加え、本当に良心的な企業に頑張っていただく為にも、現状では止むを得ないのかな・・と思います。
ちなみに、消費者の苦情相談は、国民生活センターで受け付けております。(ネットで調べられます)