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中国等による模倣品製造

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 中国に製造工場を出していたA社で、幹部として登用していた中国人が突然退職。数ヶ月後、その中国人は、自分の工場を建てて、A社から持ち出した設計図をもとに、A社と全く同じ製品を作り始めました。
 B社では、夜間や日曜日など日本人スタッフが不在の時間に、中国人労働者だけでこっそりB社製品を製造。別のブランド名で安く販売してしまいました。
 C社では、中国企業のD社に機械を一台輸出。中国人はその機械を分解して製造法を習得し、全く同じ機械をD社ブランドで売り出しました。
 E社では、製品の一部を中国企業F社に発注。打ち合せの時に製品全体の設計図を見せたのが命取りになり、しっかりコピーを取られて、今では製品丸ごとF社が作って輸出しています。


 このようにして、日本企業が莫大な研究開発費やパテント料を投じて作り出した製品の模倣品や海賊版が氾濫。それらの品々は北米や欧州にも安価で輸出され、価格破壊を起こすのみならず、不良品による日本企業のブランド・イメージ低下などの腹立たしい被害が出ています。年間被害総額が10億円を超える企業は、経済産業省で把握しているだけで22社もあります。
 産業機械や電子・電気機器の被害が最も多く、雑貨、医薬品、化粧品、繊維、陶磁器、化学品など、被害はあらゆる分野に及んでいます。
 模倣品製造国は、中国33%、韓国18%、台湾17%の順で、この3者で7割を占めます。

 
 昨年の臨時国会では、知的財産基本法案が審議され、多くの国会議員が、特に中国による被害への対応強化の必要性を指摘されました。
 欧米企業は、ビッグ・ローファームと契約したり企業連合を組んで共同取締を続けてきましたが、比較的日本企業は寛容で、「有名税」と諦めていたところも有った様です。

 
 しかし、中国がWTOに加盟したこともあって、日本政府もWTOの場で厳しく中国側の問題点を指摘するようになりました。経済産業省でも、大臣、副大臣が中国側幹部と会談する折に強硬に抗議を続けています。私自身も、昨年のAPEC閣僚会合やWTO非公式閣僚会議の場で、中国と台湾の代表者には強く改善を要求致しました。
 更に、現地JETRO事務所に専門家を配置して日系企業と協力しつつ模倣品摘発や情報提供をしています。
 これまでは、政府に相談しても「民事不介入」と言われて埒があかなかったケースが多かったと思いますが、官民挙げての取り組みが始まっています。海外で知的財産権被害を受けられた方は、お気軽に経済産業省にご相談下さいね。

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