APEC閣僚会合で思ったこと
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副大臣としての通商交渉デビューは、10月下旬にメキシコで開催されたAPEC閣僚会合への出席でした。
21エコノミ― (香港や台湾もメンバーなので21カ国とは言わない) の経済閣僚と外務閣僚が参加して、貿易システムやテロ対策や経済協力・技術協力の在り方について、かなり激しい議論が展開されました。閣僚会合の何日も前から、審議官クラスによる 高級事務レベル」 協議が続いており、それでもどうしても合意出来なかった点について、閣僚会合で議論をして結論を出していく仕組みです。
自分で言うのも厚かましいのですが、デビュー戦としては、かなり鮮烈なイメージと存在感を示せたと思っています。誰よりも多く発言をし、議論の流れを変えた場面も多く、日本提案を応援してくれるエコノミーを増やす為に、場外での根回しも頑張ったつもりです。
特に、アンチ・ダンピング措置濫用防止の為の規律強化を訴え、これはアンチ・ダンピング措置発動を多発している米国と激しく対立。模倣品や海賊版による知的財産権侵害対策を提案した折には、中国の強硬な反対を受けました (中国は、模倣品加害者側ですから消極的で当然かも)。
APECの性質上、1エコノミーでも反対すると合意は難しく、知的財産権侵害対策は実施延期になってしまいましたが、官僚連も私自身もベストを尽くせたと思っています。
ところが、帰りの飛行機中で日本の新聞を読んでがっかり。朝日新聞には「足元見られた大臣欠席」と見出しが打たれ、「中国1国が反対した件は大臣が出席しなかったから」「共同記者会見でも日本への質開は無かった」といった扱い。記者さん達は閣僚会合に入れないので、激しい議論の末に妥協点を見出した苦悩は理解して下さいませんし、共同記者会見では多くの国の記者が自国の閣僚に質問をするケースが殆どでしたが、日本からは朝日新聞のみが米国に質問されたのでした。
「閣僚が居ないと法案審議はできない」と言わずに、大事な国際会議には閣僚を送り出していただく野党のご理解を期待したいと思いますし、困難な交渉の末に日本提案が受け入れられたプラスの部分も報道して欲しいナと思いました。