コラム

  1. TOP
  2. コラム
  3. 9期目の永田町から 令和3年11月~
  4. 奈良県知事選を巡る報道について

奈良県知事選を巡る報道について

更新日:

 奈良県知事選挙に関して「自民党分裂」の旨を報道するメディアの記事に、あまりにも誤った情報が多い上、私の所には取材にも来られないので、今まで我慢していましたが、正当な手続きを経て自民党奈良県連が推薦を決めた平木しょう氏に迷惑がかかりますので、県連会長として、順次、反論させて頂くことにしました。

 

 第1に、「奈良県連は、独自に実施した世論調査の結果をもって平木氏の支援を決めた」「県連が実施したという世論調査の結果を党本部は認識しておらず、世論調査の信憑性にも疑いを抱いている」(自民党関係者)との報道は、誤報です。

 

 世論調査は、自民党本部が昨年10月22日~23日に実施したもので、奈良県連独自の世論調査など実施していません。

 

 10月に「荒井知事が立候補するなら、維新が『多選批判』を掲げて候補者を立てるようだ」という噂が流れ、自民党本部が10月22日~23日に世論調査を実施してくれました。荒井知事・維新候補(候補者不明)・共産党候補(候補者不明)の3択の調査でした。

 平木しょう氏が立候補を決意する前の調査です。

 

 10月に党本部が実施した世論調査では、維新は候補者未定でも荒井知事に対して2桁台のリード。16年間の荒井県政を「評価していない」+「どちらかといえば評価していない」が過半数…という厳しい結果でした。

 

 奈良県選出自民党国会議員団の思いは、「私達が選挙の度に応援し、長年の激務をこなされた荒井知事に、落選という形では終わって欲しくない」というものでした。

 党本部の厳しい世論調査結果を受けて、奈良県選出自民党国会議員団で話し合い、荒井知事には「名誉の勇退」をお勧めした方が良いという結論になりました。

 

 知事から見ると「若造」である私からお話するのは失礼なので、私より年配の県議会議長が、党本部の調査結果を携えて知事に会って下さいました。

 しかし、荒井知事は県議会議長の説得には応じられなかったそうです。

 

 維新相手の厳しい選挙戦でも「必要なら、出馬する」と仰って下さる若い首長も居られたことから、奈良県選出自民党国会議員団は、私達が応援してきた知事が多選批判に晒されたり落選で引退されたりする事態を回避する為、新人候補者を検討するべきだとの結論に達しました。

 

 第2に、「もともと党本部から、知事の多選はだめだというお達しがあった。そこで高市先生が、総務相時代に秘書官だった平木氏を引っ張ってきた」(県連幹部)という報道も誤報です。

 

 私が平木しょう氏に出馬依頼をしたという事実はありません。たまたま私が総務大臣だった時に3年間も地方自治担当の大臣秘書官を務めてくれた方ですが、その優秀さを知っているからこそ、もっと総務省で活躍し続けて欲しかった人材ですから。

 

 平木しょう氏の名誉の為に書きますが、彼は、自らの故郷である奈良県の知事選出馬を決断した後に、過去に上司だった私に挨拶に来ました。

 「念願だった自治財政局の課長になれたのに、退官は勿体ない」「自民党も含めて、どの党も推薦しないかもしれないよ」と、出馬を思い止まるよう説得した程でした。

 

 総務省の幹部も「平木君は総務省のエースです。局長コースに乗っているのに、選挙に出るなんて勿体ない」と言っておられました。

 

 しかし、12月初旬に平木しょう氏は退官し、完全に退路を断って奈良県に帰って来てしまいました。早々に知事選出馬の記者会見を行い、自民党を含む各政党に推薦依頼を出しました。

 

 平木しょう氏の出馬会見後の12月議会で、県議会議員が荒井知事に出馬の意向を質問されましたが、知事は熟慮する旨の答弁で出馬表明はされませんでした。

 「着手した仕事を後進に委ね、名誉ある勇退をされるのだろう」と、東京に居た奈良県選出自民党国会議員団は安心しました。知事を応援してきたからこそです。

 

 ところが、年明けに突然、荒井知事が出馬会見をされ、自民党に推薦依頼を提出されました。

 私は、党本部のルール通り「知事推薦は3期まで」にするべきだと考えますが、4期目だった前回の知事選挙では「やり残した仕事があり、あと1期」という御本人の意向もあり、他の候補予定者も居なかったことから、奈良県連の前執行部が例外的に推薦を決めたという事情を聞きました。

 

 第3に、奈良県連の平木しょう氏推薦決定について、「選対委員会で採決もしていないそうです」(自民党関係者)と、手続きに瑕疵があったかのような報道も、誤報です。

 

 奈良県連が1月15日に開催した選対委員会では、じっくりと時間をかけて御意見を伺いましたが、平木しょう氏を推す委員が圧倒的多数でした。

 私は投票箱を用意させていましたが、「県連会長一任」の声が上がり、皆が了承されました。選対委員の皆様の御意見を伺っている限り、投票をしたとしても結果は明白でした。

 投票をしてしまうと、記者ブリーフで報道陣に結果を発表しなくてはならなくなります。票数が報じられると知事に恥をかかせることになってしまうという「武士の情け」が、「県連会長一任」の声だったのです。

 

 権限が集中しがちな知事について、自民党は、多選(4期以上)の候補者には党本部推薦を出しません。荒井知事は多選ですから、党本部推薦は出せません。正当な手続きを経て奈良県連推薦を決定した新人の平木しょう氏にも未だ党本部推薦が出ない理由は不明です。

 

 自民党本部推薦が遅れて困るのは、他党との関係です。

 

 公明党には県本部推薦という制度が無く、町村議会議員まで全て党本部推薦なのだそうです。公明党奈良県本部は、自民党本部より先に推薦するわけにもいかないと気を遣って待って下さっています。

 

 立憲民主党奈良県連は、平木しょう氏への「支持」を決定されました。「子育て負担の軽減」や「教育への投資拡大」など、県連と平木氏の基本政策が一致したことを理由に挙げておられました。荒井知事を推薦しない理由は「多選」とのことでした。

 

 平木しょう氏の早期の自民党本部推薦を求めて、2月には、奈良県から、幹事長はじめ県連役員、市長会長、町村会長、議会議長会長、県議会議長、党友好団体代表など多数の方々が度々上京しては、茂木幹事長や森山選対委員長を訪問して下さっています。

 

 最新の党本部世論調査でも、維新、平木しょう氏、荒井知事、共産党の順。なかなか厳しい状況です。

 奈良県政を維新に取られてしまうと、荒井知事が苦労して蒔いて下さった良い種も芽吹かなくなる可能性を心配するお声も多々伺っています。

 

 平木しょう氏と荒井知事の1本化をしない私を批判する報道も多々拝見しました。

 知事には面会を申し込みましたが、拒否されています。立候補の権利は保障されていますので、奈良県の未来を誰に託すのかは知事のご判断です。

 

 知事選の告示日まで1ヵ月を切った今も、自民党本部推薦は出ていません。

 

 それでも、元々、「自分の身一つでも、故郷の為に働きたい」と心を定めて総務省を退職した平木しょう氏。毎日、早朝から駅頭演説や地域廻りに、明るく元気に励んでいる様子が聞こえてきます。立派だと思います。

前のページへ戻る

  • 自民党
  • 自民党奈良県連
  • リンク集