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いわゆる「赤ちゃんポスト」について

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 お久しぶりです。私の個人用パソコンのトラブルにより、しばらくこのコーナーに書き込めなかったことをご容赦下さい。

 今朝は、「熊本市の慈恵病院の『こうのとりのゆりかご』(いわゆる「赤ちゃんポスト」)に、運用初日に男児が預けられていたことがわかった」との報道がなされました。
閣議後記者会見では、記者から感想を求める質問がございましたので、私なりの思いをお話ししたところです。

 慈恵病院理事長が「こうのとりのゆりかご」設置を発表されて以来、「子供の命を守るためには『赤ちゃんポスト』を全国各地に設置すべきだ」といったご意見を新聞の読者欄で目にしたり、私宛のお手紙でいただいたりもするのですが、私は全国各地に同様のものを設置することには賛成できません。理由は下記の通りです。

 第1に、赤ちゃんポストの仕組みや運用によっては、子供の生命に関わる重大な事態を招きかねない可能性があることにも、思いを致して欲しいのです。
慈恵病院では、外から赤ちゃんを保育器に入れるとナース・ステーションのブザーが鳴り、助産師や医師が駆け付けるということで、万全の対応に留意していただいていることとは思います。
しかし、全国各地に同様の設備を作ったとして、万が一、機器の故障でブザーが鳴らなかったりして、赤ちゃんが長時間放置されてしまうような事故が起こらない可能性は否定できません。
不幸な事態が起こった時に、赤ちゃんを「赤ちゃんポスト」に入れた親の行為は、「児童虐待防止法」や「刑法(保護責任者遺棄罪)」等違反に問われるはずです。

*児童虐待防止法;「児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又 は長時間の放置」「保護者としての監護を著しく怠ること」を児童虐待と して禁じています。
*刑法218条(保護責任者遺棄);「幼年者等を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかった時」は、3月以上5年以下の懲役に処するとしています。
*民法820条(監護及び教育の権利義務);「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と規定しています。

 第2に、匿名で子供を赤ちゃんポストに入れるという行為によって、子供の出自が永久に不明になってしまうことには、大いに問題があると思います。

 第3に、子供を育てるという親の責任を放棄することを、世の中全体で容認してしまってはいけないと思います。
 
第4に、「未成年者が望まぬ妊娠をした場合に、赤ちゃんポストが必要」とのご意見もありましたが、そもそも新しい生命を授かることの尊さを認識していただくことが重要だと考えます。道徳教育や性教育のあり方は政治の場で議論されるべき課題ですが、それ以前に「妊娠してしまったらポストがあるし・・」という環境を整えるべきだとは思いません。

児童福祉法30条は、「保護者は、経済的理由等により、児童をそのもとにおいて養育しがたいときは、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所、児童福祉司又は児童委員に相談しなければならない」と規定しています。
どうしても親が養育できない状況の場合には、必ず児童相談所等に相談していただきたいと思います。乳児院で養育する、里親を探すなどの対応も考えられますので、未成年の方であっても勇気を出して足を運んで下さい。子供を捨てることは犯罪です。

いわゆる「赤ちゃんポスト」については賛否両論の意見があり、とても難しい問題ですが、ご批判を覚悟で私の考え方を書きました。

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