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「森総理に残された大仕事」

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 「なんだか暗くて陰湿でいやな感じだナア」と思うのは、私だけでしょうか?

 「森総理退陣表明へ」とマスコミが早々と報じてから数日後の土曜の夜、官邸に自民党五役が集まっての話し合いがありました。対外的には総理の方から「自民党総裁選挙前倒し」を党五役に指示した、との説明でしたが、その後も森総理は「私は退陣表明はしていない」と必死に訴えておられます。

 党五役が集まる3日前の水曜日、総理に電話すると「退陣はしないよ。教育関連法案を仕上げなきゃならんし」と言ってらしたもんなあ・・。

 しかし、前日の金曜日、ちょっと気になることがありました。
 夕方、委員会審議を終えて出てきた私を、委員会室の前で新聞記者さんが待っていました。

 「高市さん、明日いよいよ総理が退陣表明をすることになりました」と告げる記者さんに、私は「森内閣の目玉の教育関連法案が1本も通ってないのに退陣表明なんてありえませんよ。そんな情報を一体誰から聞いたの?」と尋ねてみました。
 すると「A先生が『退陣表明は明日だ』とおっしゃいました」と橋本派の大幹部の名前を挙げるのでビックリ!

 慌てて安倍官房副長官に電話すると、彼も悔しがっていました。「新聞に『森総理が北朝鮮に信書をFAX』って記事が出て、総理が委員会で叩かれただろ?あれも全くの誤報だから、書いた新聞社の記者を問い詰めたら、これも『橋本派のA議員に書けと言われた』と言うんだよ」とのこと。
 こうなると、森総理は、野党からというよりも、党内から着々と外堀を埋められちゃった様です。

 さて、事ここに至って、私が森総理に望むことは2つだけです。

 第1に、内閣総理大臣である間は、最後の1日まで全力で職責を果たし、「教育改革」と「IT革命」という内閣の掲げた2本柱に結果を出すこと。

 第2に、自民党総裁として、後世への遺産と呼べるだけの党改革の道筋をつけること。

 特に、森総理は本会議場で記名投票によって内閣総理大臣に選出されたにも関わらず、その前になされるべき自民党総裁選挙を省いたばっかりに「密室で少数に選ばれた総理」という汚名を引きずり、党内外での求心力を持ち得ませんでした。そんな森さんだからこそ説得力を持って出来る改革があるはずです。

 まずは、自民党総裁選挙の新しいルール作りです。
 この数か月で痛感したのは「いくら立派な政策を作っても、内閣総理大臣に実質的な『権力』が無ければ実現できない」ということでした。「実際の政権担当者(総理)」より「派閥の幹部」が力を持っている現状が問題なのです。

 自民党国会議員と都道府県代表者のみで総裁選挙を行なうと、トータルの票数が少ないですから、大派閥に擦り寄った候補が当選出来るのは自明の理。それで総理になれたとしても、総理の生殺世与奪権は大派閥幹部が握るので、リーダーシップなど期待できません。

 活発な政策論争の後に全党員による選挙で総裁を選出することとし、更に一般党員票のシェアを引き上げれば、確実に変わります。これなら派閥が押さえられる票のシェアが下がりますから、フタを開けるまで結果は分かりません。
 総理が組閣人事や政策を決断する上での派閥の影響力が低下すると同時に、総裁任期中は全国の多くの党員が総裁選出責任を負って支えてくれるわけですから、総理総裁の求心力は増します。

 一時的な「支持率」や「派閥の意向」に翻弄されずに、国家の未来の為に必要な政策を断行出来る「強い総理」を創る改革こそ、森総理の最後の大仕事だと思います。
 

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