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民法&戸籍法改悪阻止シリーズ②:婚外子と実子の相続権同一化に疑問

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 昨日のこのコーナーでは、千葉法務大臣が準備中の「民法及び戸籍法の一部を改正する法律案」の概要を紹介しましたが、同法案では、夫婦別氏以外の項目についても、現行民法が担保している「一夫一婦制」や「法律婚主義」を危うくしかねないものが散見されます。
 

 例えば、現在は実子(嫡出子)の2分の1である婚外子(非嫡出子)の相続分を、実子と同一にする規定です。
 

 推進論者は「お父さんの不貞は困りものだが、子供に罪はない」と主張されます。
 

 しかし、個人商店で、夫婦と息子の3人が力を合わせて働き、やっと店構えを大きくしたものの、不幸にして夫が急死した場合を考えてみましょう。
 

 一家の主たる財産の形成に全く寄与していない婚外子が実子と同一の相続権を持ったとしたら、生業の継続が困難になるケースも想定できる上、財産形成に貢献した正妻や実子の心情を考えると複雑なものがあります。
 

 法務省の官僚が自民党の法務部会で配布した法改正の必要性を説明する資料には、「平成8年当時に婚外子の相続分に差異を設けていたフランスとドイツは、法改正によって差異を解消した」旨が紹介されていました。
 

 国立国会図書館の社会労働調査室が作成した資料によると、平成20年時点の婚外子の割合は、日本が2・11%であるのに対して、フランスは52・56%、ドイツは32・07%です。
 婚外子が圧倒的に多い国を理想として同様の法改正をしようとする着想自体が、私には理解できません。
 

 女性の再婚禁止期間を現行の6ヶ月から100日に短縮する規定についても、危うさを覚えます。
 

 再婚禁止期間短縮推進論者からは、「離婚届けを出す前に別居して、次の夫となる人と生活している場合も多い」、「今の医療技術なら、離婚後100日あれば前夫の子供か後夫の子供かの判別は可能だ」、「前夫の子供として出生届を出したくない為に、無戸籍の子供が増えている」といった主張が聞こえます。
 

 しかし、私の知人にも離婚を決意した後に夫の子供を妊娠してしまった例がありましたし、婚姻解消時に妊娠に気付かないまま再婚してしまうケースも起こり得ます。
 

 嫡出推定にDNA鑑定を使うべきだという声もありますが、法制度の中にDNA鑑定を持ち込んでまで「前夫の子供か、後夫の子供か」を判別しなければならないような夫婦関係は、私の理解を超えています。
 

 6ヶ月の再婚禁止期間を定めた民法の規定には、「父子関係を確立することによる子の保護」という意義だけではなく、家族構成が変わってしまうという大きな変化に際しての「人間関係の冷却期間・調整期間」としての意義もあるのだと思います。
 

 「民法及び戸籍法の一部を改正する法律案」の審議にあたっては、「選択的夫婦別氏制度導入」の規定だけではなく、その他の多様な項目について、1つずつ丁寧に検証する作業が必要だと考えます。 
 

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