北朝鮮への対応の在り方
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年明けから度々、北朝鮮の動きが報道されています。「平沢勝栄議員に対して拉致被害者の家族を三月末までに帰国させる可能性を伝えた」とか「外務省の田中氏とミスターXのルートでの交渉か」とか・・。一体、ミスターXって何やねん?
大切な事は、あくまでも正規の政府間ルートで決着を着ける事だと思います。非公式ルートで小出しに譲歩をちらつかせる相手の甘言に惑わされることで、拉致問題と核問題の「包括的な解決」は遠退きます。相手はしたたかな犯罪国家です。非公式ルートで一部の問題が解決したとしても、まだ安否すら判明しない他の多くの拉致被害者の問題を幕引きにされてしまう可能性が大きいと思います。
昨年8月末の6者会合(6ヵ国協議)で北朝鮮側は「拉致問題を含めた日朝間の問題は平壌宣言に則って1つ1つ解決していきたい」と発言。その後、日本は日朝間の話し合い設定を北京大使館ルートで求めましたが、北朝鮮政府からの回答は無いままでした。そんな中での非公式アプローチを受けて日本側が焦るのは当然ですが、北朝鮮側も相当に危機感を持っているはずです。
開会中の通常国会では「外為法改正案」と「特定外国船舶入港禁止法案」が審議され、成立するでしょう。不正送金や北朝鮮向け輸出や北朝鮮籍船舶の寄港を阻止することは十分な圧力になります。
この他にも、金融庁が不良債権返却を求めたり、経済産業省が直接投資を完全に禁止したり、法務省や外務省が出入国管理を強化して再入国拒否を行なうなど、誠実な対応をしない北朝鮮への制裁として国家が為し得る事は沢山あります。
更に万が一の事態に備えて、海上保安庁の専管水域警備予算は倍増すべきですし、防衛庁は石破長官の「燃料充填作業が無通告で始まった時は、日本への攻撃準備と見做して先制攻撃をしても憲法違反ではない」との答弁に沿って、ミサイル基地限定精密爆撃のマニュアル作りもすべきでしょう。
ここで注意しなくてはならないのは、「せっかく非公式ルートで家族を帰国させると言ってきているのに、圧力をかけるような法案を通すことで全て駄目になる上、北朝鮮が暴発するのではないか」と恐れて譲歩することだけは避けること。恐怖に屈することで、日本人が永久に北朝鮮の恐怖を感じ続ける結果を招くからです。
当然の事乍ら「日本を威嚇すれば援助を貰える」も論外です。拉致という罪を犯しながら条件取引をするなど、とんでもない話です。
一番つらい思いをされている拉致被害者家族会の皆様が、政府に毅然とした交渉と対北圧力を求めておられるのです。政府には腰の引けない対応を願っています。
対北圧力の強化については、「せっかく6ヵ国協議という国際的枠組みで解決の努力をしている時に、日本単独で行動するのは得策ではない」という反論もあります。
しかし、私は「拉致問題は結局、日本が独自で解決する他なく、6者会合に過大な期待をするのは禁物だ」と考えています。
米・中・ロ・韓はいずれも、まず「核問題」での形式的な前進をアピールすることに専心するでしょう。特に米国では、既に大統領選予備選挙が本格化しており、ブッシュ大統領は北朝鮮問題には早く区切りをつけたいはずです。大統領選挙までに核兵器放棄が実現
したり査察が完了する必要はなく、政治的には北朝鮮が新規核開発を公言している状況を止めることだけで十分なのです。米・中・ロなどの核保有国にとって北朝鮮の核は日本にとって程の脅威にはなりません。無理に拉致問題を持ち出せば、核問題についても区切り
がつかなくなり、ブッシュ大統領は政治的に持たなくなります。
日本にとって最悪のケースは、6者会合で北朝鮮が核放棄を口約束し、米国が北朝鮮の安全を保証してしまうことです。94年の米朝核合意(核開発をしない)も守られませんでしたし、イラクで大量破壊兵器を見つけられない米国の核放棄査察能力にも期待できません。核の脅威も無くならない上、北朝鮮の「安全を保証」するということは、米国も含めた国際社会が金正日体制に存続の保証を与えることとなりますから、拉致問題解決は遠退くのです。
拉致問題は日本の問題です。国際社会に理解を求め協力を要請する努力は必要ですが、率先して最大限の努力をすべきは日本なのです。今は、日本独自で為し得る対北圧力施策を続け、毅然とした国家の姿勢を崩さないことが大切だと思います。
今後は「海外における邦人保護手段」についても、国会で論議していただきたいものです。自国民の生命と財産を守ることは国家の最大の責務ですから、本来は国民の生命が危険にさらされた時には軍事力を使ってでも救出するのが主権国家として当然の権利です。米国人が拉致・誘拐されたなら、迷いなく米軍は救出行動を取ります。
残念ながら、日本では、自衛隊による海外での自国民救出行動は認められないとの解釈が圧倒的ですが、私は海外であっても国家の構成要素の1つである「国民」を守ることは「広義の自衛権発動」に該当すると思っています。
今後の課題として、海外における邦人保護体制を確立し、少なくとも「潜入捜査」を可能にする法的担保は早急に必要だと考えています。
大切な事は、あくまでも正規の政府間ルートで決着を着ける事だと思います。非公式ルートで小出しに譲歩をちらつかせる相手の甘言に惑わされることで、拉致問題と核問題の「包括的な解決」は遠退きます。相手はしたたかな犯罪国家です。非公式ルートで一部の問題が解決したとしても、まだ安否すら判明しない他の多くの拉致被害者の問題を幕引きにされてしまう可能性が大きいと思います。
昨年8月末の6者会合(6ヵ国協議)で北朝鮮側は「拉致問題を含めた日朝間の問題は平壌宣言に則って1つ1つ解決していきたい」と発言。その後、日本は日朝間の話し合い設定を北京大使館ルートで求めましたが、北朝鮮政府からの回答は無いままでした。そんな中での非公式アプローチを受けて日本側が焦るのは当然ですが、北朝鮮側も相当に危機感を持っているはずです。
開会中の通常国会では「外為法改正案」と「特定外国船舶入港禁止法案」が審議され、成立するでしょう。不正送金や北朝鮮向け輸出や北朝鮮籍船舶の寄港を阻止することは十分な圧力になります。
この他にも、金融庁が不良債権返却を求めたり、経済産業省が直接投資を完全に禁止したり、法務省や外務省が出入国管理を強化して再入国拒否を行なうなど、誠実な対応をしない北朝鮮への制裁として国家が為し得る事は沢山あります。
更に万が一の事態に備えて、海上保安庁の専管水域警備予算は倍増すべきですし、防衛庁は石破長官の「燃料充填作業が無通告で始まった時は、日本への攻撃準備と見做して先制攻撃をしても憲法違反ではない」との答弁に沿って、ミサイル基地限定精密爆撃のマニュアル作りもすべきでしょう。
ここで注意しなくてはならないのは、「せっかく非公式ルートで家族を帰国させると言ってきているのに、圧力をかけるような法案を通すことで全て駄目になる上、北朝鮮が暴発するのではないか」と恐れて譲歩することだけは避けること。恐怖に屈することで、日本人が永久に北朝鮮の恐怖を感じ続ける結果を招くからです。
当然の事乍ら「日本を威嚇すれば援助を貰える」も論外です。拉致という罪を犯しながら条件取引をするなど、とんでもない話です。
一番つらい思いをされている拉致被害者家族会の皆様が、政府に毅然とした交渉と対北圧力を求めておられるのです。政府には腰の引けない対応を願っています。
対北圧力の強化については、「せっかく6ヵ国協議という国際的枠組みで解決の努力をしている時に、日本単独で行動するのは得策ではない」という反論もあります。
しかし、私は「拉致問題は結局、日本が独自で解決する他なく、6者会合に過大な期待をするのは禁物だ」と考えています。
米・中・ロ・韓はいずれも、まず「核問題」での形式的な前進をアピールすることに専心するでしょう。特に米国では、既に大統領選予備選挙が本格化しており、ブッシュ大統領は北朝鮮問題には早く区切りをつけたいはずです。大統領選挙までに核兵器放棄が実現
したり査察が完了する必要はなく、政治的には北朝鮮が新規核開発を公言している状況を止めることだけで十分なのです。米・中・ロなどの核保有国にとって北朝鮮の核は日本にとって程の脅威にはなりません。無理に拉致問題を持ち出せば、核問題についても区切り
がつかなくなり、ブッシュ大統領は政治的に持たなくなります。
日本にとって最悪のケースは、6者会合で北朝鮮が核放棄を口約束し、米国が北朝鮮の安全を保証してしまうことです。94年の米朝核合意(核開発をしない)も守られませんでしたし、イラクで大量破壊兵器を見つけられない米国の核放棄査察能力にも期待できません。核の脅威も無くならない上、北朝鮮の「安全を保証」するということは、米国も含めた国際社会が金正日体制に存続の保証を与えることとなりますから、拉致問題解決は遠退くのです。
拉致問題は日本の問題です。国際社会に理解を求め協力を要請する努力は必要ですが、率先して最大限の努力をすべきは日本なのです。今は、日本独自で為し得る対北圧力施策を続け、毅然とした国家の姿勢を崩さないことが大切だと思います。
今後は「海外における邦人保護手段」についても、国会で論議していただきたいものです。自国民の生命と財産を守ることは国家の最大の責務ですから、本来は国民の生命が危険にさらされた時には軍事力を使ってでも救出するのが主権国家として当然の権利です。米国人が拉致・誘拐されたなら、迷いなく米軍は救出行動を取ります。
残念ながら、日本では、自衛隊による海外での自国民救出行動は認められないとの解釈が圧倒的ですが、私は海外であっても国家の構成要素の1つである「国民」を守ることは「広義の自衛権発動」に該当すると思っています。
今後の課題として、海外における邦人保護体制を確立し、少なくとも「潜入捜査」を可能にする法的担保は早急に必要だと考えています。